AMDでは3D V-Cache技術を活用して、合計768MBのL3キャッシュを搭載したサーバー向けCPU、EPYC Milan-Xを間もなく投入する予定ですが、このEPYC Milan-Xの価格情報が出現しました。
3D V-Cache搭載、EPYC Milan-X
AMDでは3D V-Cacheを搭載したサーバー向けCPU、EPYC Milan-Xを2021年11月に発表しており、間もなく投入が行われると見られています。
このEPYC Milan-XではすべてCCDを8基搭載するモデルとなっており、各CCDに搭載される32MBのL3キャッシュに加えCCD上部に重ねられたV-Cacheが64MBの合計96MB、8基のCCDで合計768MBのキャッシュを備えるモデルとなっています。この変更によりパフォーマンス面ではDDR5よりも高速にアクセスが可能な大容量キャッシュを搭載する事で通常のEPYC Milanに比べて作業内容によっては66%高速化できる作業もあるようです。
今回、そんなEPYC Milan-Xの価格情報に関するスライドが出現し、メーカー希望小売価格が明らかになっています。
3D V-Cache Milan-Xは通常のMilanに対して最大2.7倍ほど高価に
VideocardzではEPYC Milan-Xのメーカー希望小売価格が記載されたスライドを入手したようで、その情報が公開されています。
このスライドによると、ラインアップとしては従来から出現している情報の通り3D V-Cacheを搭載するEPYC Milan-Xは64コア、32コア、24コア、16コアの4モデルが登場予定となっています。
EPYC Milan-X最上位モデルであるEPYC 7773Xでは価格は8,800ドルがメーカー希望小売価格(MSRP)となっており、日本円で換算すると114万円となっています。似た仕様のEPYC 7773Xから3D V-Cache非搭載のモデルとなるEPYC 7763ではMSRPが7890ドルとなっているため、このモデルでは約12%の割高な設定になっています。
また、32コアのEPYC Milan-X 7573XではMSRPが5590ドルで75F3と比べると15%割高になっています。このように、64コアモデルと32コアモデルでは3D V-Cacheを搭載しても価格が大幅に上昇することはないようです。
ただ、24コアや16コアモデルでは3D V-CacheをのEPYC 7473Xでは3900ドルで74F3の2900ドルに対して1000ドル、34%の価格差があり、16コアモデルのEPYC 7373Xに関しては4185ドルで24コアの7473Xより7%、16コアの通常EPYCである73F3に対しては約2.7倍という価格になっています。
3D V-Cacheを搭載するEPYCではCCDが8基搭載されるようになっていますが、既に64コアのEPYC 7763や32コアのEPYC 75F3では8基のCCDが搭載されています。一方で24コアと16コアモデルでは通常のMilanではCCDは最大4基搭載されるモデルしか存在しておらず、コア数が3コアや2コアしか有効でないCCDでも、CCD自体を2倍搭載している関係上、値段が大幅に上がる傾向にあるようです。
EPYC Milan-Xについては作業によっては通常のMilanに比べて最大66%程度の性能向上が見込めるため、64コアや32コアモデルに関しては新規導入時やアップグレードでMilan-Xを選択するのは良いかもしれません。一方で、24コアや16コアモデルでは通常のMilan-Xと比べると価格が大きく跳ね上がるため、大容量のキャッシュが活きるかつ、動作クロックが高い方が良い環境では最適と言えそうですが、それ以外の環境では通常のMilanを選んだ方がコストパフォーマンスは圧倒的に高いと見られています。
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