AMDが Zen 6 向けI/Oダイでサムスン製採用を取りやめ? 歩留まりなど要求を満足できず?
AMDは2026年にZen 6アーキテクチャーを搭載したデスクトップ向けやノートPC、サーバー向けに投入される製品を投入予定としており、このZen 6のCCDなど主力チップレットはTSMCの最新鋭プロセスである2nmまたは3nmを採用することが噂されています。ただ、TSMCへの過度な依存を回避するためサーバー向けCPUのEPYCで搭載されるI/Oダイはサムスンの4nmプロセス(SF4X)などが用いることをAMDが検討していることが過去のリークで明らかにされていました。しかし、どうやらAMDはサムスン製のI/Oダイについて採用を中止することを決定した可能性が新たなリークで明らかになりました。
Update: AMD has decided not to use Samsung Foundry’s SF4X process. https://t.co/89L8UneRTz
— Jukanlosreve (@Jukanlosreve) May 4, 2025
AMDがサムスン製I/Oダイを採用すると言うリークは2025年2月下旬に登場しており、特にEPYCなどで採用されるI/Oダイは巨大かつ最大コア構成の256コアモデルの場合、2~4個のI/Oダイが必要になるなど非常に高コストな設計になるほか、サプライチェーン面でもTSMC一社依存は可能な限り回避する意味でサムスン製を採用するメリットがAMD側にはあると考えられていました。
しかし、リーカーのJukanlosreve氏によるとAMDはサムスン製のSF4Xプロセスを採用したI/Oダイの採用見送りを決定したことを明らかにし、代わりにAMDはアリゾナ州に建設したTSMC Fab21工場で4nmプロセスを用いたI/Oダイを製造する見通しとのことです。
サムスン製SF4X採用のI/Oダイが見送られた理由などの詳細は明らかにされていませんが、サムスン4nmについてAMD側が要求した歩留まりや性能、あるいは開発スケジュールを満足できなかったなど技術面、品質面での問題が考えられるほか、Zen 6が投入される2026年は関税政策の動向が読みにくいトランプ政権下で投入されることから、コストや品質面で比較的安定しているTSMCアリゾナで製造した方がリスクが低いと考えた可能性が考えられます。
Samsungファウンドリにとって、AMDのような大手企業からの受注は、ファウンドリ事業における実績作りと収益拡大の大きなチャンスでした。今回の採用見送りが事実であれば、同事業の収益改善やTSMCとの競争において痛手となる可能性があります。今後、AMDの他の製品(例えば低価格帯チップセットなど)でSamsungファウンドリが採用されるのか、あるいはIntelやNVIDIAといった他の大手顧客を獲得できるのか、その動向が注目されます。
Jukanlosreve | X (Twitter)
コメント
コメント一覧 (2件)
歩留まりだろうなぁ、製品が出来なければ直接損失はAMDが被る事になるから。
まぁ誰も信じないでしょうけど、大真面目にAMDはIFS委託を検討すべきでしょうね。
というか、まともな企業なら、大抵の大手IPベンダーはそうしているでしょうけど。
どうしてもIntelのCPU部門が競合関係にあるので「有り得ない」選択肢に見えると思います。
ですが、もしIFSが真面目にローンチしたいのなら、そんなことに構っていられないはず。
そして、IFSが真面目にやっていくには、分社化以外有り得ないはずです。
と言っても、売却ではなく「持ち株会社の下にIFSとしてCPU設計部門と独立してぶら下がる」形なら問題ないかと。