AMD Zen 6からはNPUが廃止? あまり意味がなかった模様
AMDの現行のノートPC向け製品であるRyzen AIなどのAPU製品にはCPUと内蔵GPUに加え、新たにCopilot+などのAI処理を担うNPUであるXDNA 2が搭載されており、今後登場するZen 6系APUではXDNA 3など新しいNPUの搭載が予想されていましたが、どうやらAMDはZen 6系のMedusa Pointなど製品全体でNPU搭載を取りやめる方向のようです。

当初、AMDはStrix Pointに16MBのInfinity Cache的な機構「MALL(Memory Access at Last Level)」を搭載する方針でした。しかし、MicrosoftがCopilot+の要件として「45 TOPS以上のNPU性能」を急遽追加したため、AMDはMALLを削除してXDNA 2を搭載する設計に変更し、実際にその仕様で発売しました。
しかし、Kepler_L2氏によるとAMDはMALLに加え、NPUも廃止する方向で将来製品は計画しているとのことです。
内蔵GPUが高性能でNPUは不要? ダイエリア節約の狙いも
Copilot+の要件としてMicrosoftは45 TOPS以上のNPUを必須としていますが、その目的は省電力性能の確保や買い替え需要喚起にあると見られます。

一方で、内蔵GPUはすでに200 TOPS以上の演算性能を持つのに対し、NPUは50〜100 TOPS程度にとどまります。用途もCopilot+などに限定されており、Kepler_L2氏は「存在意義が乏しい」と指摘しています。
さらにZen 6以降の製品は、TSMCの高コストな3nmや2nmプロセスを用いることになります。収益性を確保するにはダイサイズを小さくする必要があり、機能が重複しているNPUを削除し、その分を内蔵GPU強化や他機能の性能向上に回す方針だと考えられます。
Copilot+の不振も影響? NPUに将来性なし?
AMDがNPUを削除する理由として、MicrosoftのCopilot+の不振も影響している可能性があります。Copilot+は2024年の登場時には大きな話題を呼びましたが、2025年時点では小規模なアップデートしか行われておらず、Microsoftも積極的なアピールを控えている状況です。
そのためAMDとしても、将来性の乏しいCopilot+専用にダイエリアを割くのは得策ではないと判断している可能性があります。
現時点ではCopilot+は内蔵GPUでの動作に対応していませんが、AMDがMicrosoftと協力してGPUによる対応を模索している可能性も否定できません。ただ、少なくともZen 6世代ではXDNA系NPUは廃止される見込みです。
2024年にはIntelやQualcommと共に注目を集めたNPUですが、今後の行方は不透明であり、PC市場においてどのような扱いになるのか注目されます。
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