AMD、Zen 6世代の高性能APU『Medusa Halo』を開発中止?ロードマップから姿を消す
AMDは2025年初めにノートPCなどへの搭載を想定したAPUとして高性能GPUを搭載した「Strix Halo」と呼ばれる製品を投入しました。
このStrix Haloは最上位モデルはノートPC向けとしては初めてのチップレット構造を採用し、Zen 5コアを8コア備えるCCDを2基で合計16コア、内蔵GPUなどを含むI/OダイにはRDNA3.5アーキテクチャーで構成されるCompute Unitを40コア備え、Infinity Cacheを32MB、メモリバス幅も256-bitとノートPCのグラフィックス性能を大幅に向上させる製品として注目と期待を集め、実際にノートPCやミニPCでもこのStrix Haloを備える製品が続々とラインアップされています。
そのため、このStrix Haloに対して、Zen 6アーキテクチャーを備え、さらに内蔵GPU性能を進化させた次世代製品の『Medusa Halo』についてもスペックや性能が注目されていましたが、AMDはこのMedusa Haloなど高性能APUを備えるHalo系APUについて開発を中止した可能性が浮上してきています。
MDS Halo probably won't be launch either… It's already disappeared from the roadmap. https://t.co/iXLm9apOFE
— HXL (@9550pro) July 17, 2025
Medusa HaloはZen 6世代のノートPC向けAPUとして投入が予定されている製品で、CPUにはZen 6コアを12コア備えるCCDを2基とIOD内蔵のZen 6 LPを2コアの合計26コアを備えています。GPU側にはRDNA 3.5+で構成されるCompute Unitを48コア、そしてバス幅は384-bitに拡大されるなど正統進化とも言えるスペックがリークされていました。
しかし、リーカーのHXL氏によるとMedusa HaloについてAMDが示しているロードマップ上から消えたとのことで登場が危ぶまれる状況になっているとのことです。
リークでは「恐らく開発中止になった」と書かれるなどまだ状況は流動的な様子ですが、現行のStrix Haloについては高いグラフィックス性能を持つことから話題になり、既にStrix Haloの最上位モデルを搭載するGMKTek EVO-X2は20万円以上する価格の中で1カ月で数百台以上を売り上げたり、Framework Desktopも2025年出荷分が売り切れるなど販売状況は決して悪くなく高性能APUは省電力性能の高さからまだまだ育つ市場であることは間違いないと言えます。
AMDの Zen 6 搭載APUのラインアップやスペックがリーク。一部モデルはRDNA5 (UDNA) を搭載する可能性も – GAZLOG
しかし、高性能APUにはコストという課題がつきまといます。Strix Haloは現行の4nmおよび5nmプロセスで製造されていますが、それでも高価な製品です。特に、GPUやメモリコントローラなどを集積したI/Oダイは、その機能の多さからダイサイズが大きくなり、コストを押し上げる主な要因となっています。もしMedusa Haloが過去にリークされていたようにCPUに2nm、I/Oダイに3nmといった最先端の製造プロセスを採用した場合、コストはさらに跳ね上がり、消費者が購入できる価格帯での提供が困難になる可能性があります。
こうしたコスト面の課題から、AMDはMedusa Haloの投入計画を再考しているのかもしれません。とはいえ、高性能APUの市場が今後も拡大することを見越せば、現行のStrix Haloのように登場が遅れたとしても、開発を継続し市場に投入されることが期待されます。
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