AMDではZen4アーキテクチャーを採用したRyzen 7000シリーズとデータセンター向けのEPYC Genoaを2022年中にリリース予定ですが、今回データセンター向けのEPYC Genoa 32コアモデルのベンチマークが出現しました。
最大96コア、Zen4アーキテクチャーを搭載したEPYC Genoa
AMDではTSMC 5nmで製造されるZen4アーキテクチャーを搭載したコンシューマー向け製品のRyzen 7000シリーズとデータセンターなどエンタープライズ用途のEPYC Genoaを2022年中に市場投入を行う予定となっていますが、今回この中でEPYC GenoaのGeekbenchベンチマークが出現しました。
EPYC Genoaは既存のEPYC Milanの最大64コアから最大96コアにコア数が増え、メインメモリーにはDDR5、PCI ExpressはGen 5.0に対応する事がAMDからは既にアナウンスがされています。
EPYC GenoaのES品がGeekbenchに出現。L2キャッシュは倍増、L3キャッシュは据え置きに
今回出現したベンチマークは 『AMD Eng Sample: 100-000000479-13』と呼ばれるAMDの試作CPUであるES品で過去にExecutableFix氏が挙げている番号と一致しています。そのため、これがEPYC Genoaの32コアモデルである可能性が高くなっています。なおAMDでは96コアモデルもES品でテストをしているようですが、現時点ではGeekbenchなどには出現していないようです。
Other A0 ES’ are a 96-core ES2 (OPN 100-000000475-16) and a 32-core ES2 (OPN 100-000000479-10)
— ExecutableFix (@ExecuFix) January 10, 2022
ES品という事で、シングコア性能やマルチコア性能については参考にはならない計測結果になっています。ただ、Geekbenchではベンチマークが取られたCPUのコア数や動作クロックそして、キャッシュ関係の情報が掲載される点となっています。
今回のEPYC GenoaではZen 3搭載のEPYC Milanと大きく異なる点としてL2キャッシュ容量が倍増している事が明らかになっています。AMDではZen+世代のNaplesからL2キャッシュ容量は512KBとなっていましたがZen4 Genoaでは1MBと記録が出ており、恐らくEPYCのみならずRyzen 7000シリーズも同様にL2キャッシュは1MB化されるようです。
一方でL3キャッシュについてはGeekbench上では32MBと記載されており、この部分については現行のZen 3アーキテクチャーからは大きな変更は入らない可能性がありそうです。
AMD Ryzen 7000シリーズは2種類のコアを内蔵。合計32コア分のZen4搭載
なお、過去にZen4のL2キャッシュについては1MB化されるというリークがありましたが、恐らくL2キャッシュに関する話は正しかったようです。ただ、L3キャッシュについてはこのリークではV-Cacheを使って64MB化されるとの事でしたが少なくとも今回出現したモデルのEPYC Genoaではそのような情報は出ていません。もしかしたら、EPYC Genoaの一部モデルではV-Cacheを搭載してL3キャッシュを増やしたモデルなども準備されているかもしれません。
Zen4アーキテクチャーでは長年512KBで据え置かれていたL2キャッシュを1MBに倍増するようですが、恐らくIntelが発売したAlder Lakeや2022年発売予定のRaptor Lakeなどを意識しているように見られます。一方で、少々驚きなのがL3キャッシュが32MBに据え置かれている点ですが、もしかしたら現行のEPYC Milan-XやRyzen X3Dのように3D V-Cacheを搭載してL3キャッシュを増やしたモデルと言うのは別に用意されているのでしょうかね。
どのような飛び道具をAMDが隠し持っているか分かりませんが、Raptor LakeではL2キャッシュやL3キャッシュを大幅に増やす見込みになっている一方で、Zen4ではキャッシュ容量の面ではあまり大きな変化がありませんのでパフォーマンス面では若干厳しい戦いを強いられそうな気がします。
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