AMDではRNDA2アーキテクチャを搭載したRyzen 6000シリーズをモバイル向けとして発売しておりCPU内蔵GPUとしては非常に強力なパフォーマンスを有していますが、この流れはZen4アーキテクチャを搭載するRyzen 7000シリーズでも引き継がれるようで、その性能に磨きが掛かるようです。
Ryzen 7000ではRDNA 2のGPU性能をより強化
AMDではZen4アーキテクチャを採用するRyzen 7000シリーズを2022年下半期にデスクトップ向けを、2023年初頭にモバイル向けにリリース予定です。このRyzen 7000シリーズではCPUにはZen4を搭載し、内蔵GPUにはRDNA 2を採用するとみられていますが、この内蔵GPUについて内蔵するCompute Unit(CU)を大きく増やしグラフィックスパフォーマンスを大きく向上させるようです。
Compute Unitは16基以上搭載。24基搭載の情報も
Ryzen 7000シリーズについてはデスクトップ向けに発売されるモデルにおいても内蔵GPUが標準搭載されるとのことで最大4基のCUが搭載される予定という情報がありましたが、モバイル向けについてはRDNA 2が搭載されること以外、あまり情報がありませんでした。
ただ、RDNA 2を搭載するRyzenについては2022年初頭に発売されたRyzen 6000シリーズにて既に実績があり、CPU内蔵GPUで12基のCUを搭載する事で、NVIDIA GeForce GTX 1060程度の性能を有しており、Cyberpunk 2077でさえ最低画質ではあるものの平均40fps程度で動作するなど非常に高いパフォーマンスを持っています。
Ryzen 7000シリーズのモバイル向けに関してはRyzen 6000シリーズで高いパフォーマンスを発揮しているRDNA 2内蔵グラフィックを更に強化する方向で進んでいるようで、リーク情報を扱うYoutubeチャンネル、RedGamingTechによるとCUが最低でも16基、最大で24基ほど搭載される可能性が高いとの事です。
Ryzen 6000シリーズでは12基のCUでFar Cry 5が43fps、Shadow of Tomb Raiderが35fpsと発揮しているため、単純にCUが24基に倍増した場合Far Cry 5が80fps越え、Shadow of Tomb Raiderが70fps越えとなりNVIDIA GeForce RTX 3050 Ti相当の性能をCPU内蔵GPUだけで持つ事になります。
また、RDNA 2の性能をフルに発揮するためにメインメモリーについてはDDR5またはLPDDR5に対応し、更により高速なLPDDR5Xにも対応する可能性があるようです。
CPUとGPU間でL3キャッシュを共有してパフォーマンスを底上げ
RedGamingTechによるとRyzen 7000シリーズのモバイル向けモデルについては内蔵GPU用に新しいキャッシュが搭載されるようです。この新しいキャッシュはInfinity Cacheとは異なっており内蔵GPUとCPUの間で共有が可能なL3キャッシュなどを行いグラフィックス性能を引き上げる事を目論んでいるようです。
この新しいキャッシュがどのような形で搭載されるかは不明ですが、AMDでは3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 5800X3Dを発売しており、RDNA 3においてはキャッシュや機械学習用のアクセラレータを3Dパッケージング技術で搭載する噂など3D V-Cacheを派生した技術を幅広い製品に展開する方向のため、もしかしたらCPUとGPU間で共有可能なキャッシュについてはこれらの技術が応用されたモノになるかもしれません。
また、Apple Siliconなどで搭載されているCPUとGPU間で一つのメインメモリーを共有するUnified MemoryについてもRyzen 7000シリーズでは導入される予定で、AMDとしてはとにかくCPUとGPUとの通信を減らし、ボトルネックを解消、そして内蔵GPUのパフォーマンスを向上させる方向でRyzen 7000シリーズのモバイル版を開発しているようです。
エントリーGPUは消滅? Intelも内蔵GPU強化の方針
AMDが一足先にRyzen 6000シリーズでRDNA 2アーキテクチャーを内蔵するCPUを発売しており、この流れを引き継いでZen4 Ryzen 7000シリーズもCPU内蔵GPUが強化される方針です。ただ、ライバルのIntelもCPU内蔵GPUを大幅強化を予定しており、2023年中頃に登場予定のMeteor Lakeで強化が行われます。現行のAlder Lake CPUでは96基のExecution Unit(EU)がモバイル向けの内蔵GPUとしては最大の構成となっていますが、これがMeteor Lakeでは最大192基のEUが搭載される見込みで、現行のAlder Lakeに搭載されている内蔵GPUに対して2倍以上のパフォーマンス向上が期待されています。
CPU内蔵GPUについてはこのようにAMDもIntelもプロセス微細化やGPUアーキテクチャーの進化に伴い大幅強化が可能となっており、近い将来GeForce RTX 3050やAMD Radeon RX 6500Mなどエントリー向けのモバイル向けGPUはCPU内蔵GPUに取って代わられる時代が近い内に来る可能性が高そうです。
PlayStation 5ではZen2アーキテクチャーのCPUとRDNA 2アーキテクチャーのGPUでCompute Unitを36基搭載されていますが、Ryzen 7000シリーズのモバイル版についてはCU24基という事で、PS5の7割程度のGPUコアが搭載されているため、グラフィックスパフォーマンスとしては期待が出来そうなものになっています。
CPUとGPUをセットにした半導体としてはAMDやIntelの他にAppleのM1が代表例で、Apple M1ではGPU性能の高さを推し出していますが、様々なゲームのプレイが可能なWindowsにおいて高いグラフィックス性能を持つCPU内蔵GPUが出現すればPCゲーミングの敷居がかなり低くなると予測されます。また、同時にディスクリートGPUを搭載するゲーミングラップトップより低価格化が可能となるため、PlayStation5やXboxなどコンソール機に対してPCでゲームをするという人口が今後増えるかもしれませんね。
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