ゲーミング向けGPUというとNVIDIAのシェアがライバルのAMDを圧倒するという見方が一般的です。しかし、売上高の観点で見ると両社間の差は10%とあまり大きくないことが明らかになりました。
NVIDIAとAMDのゲーミング向けGPUの売上高は10%差。
NVIDIAが2023年2月に発表した2023年第一四半期決算ではゲーミング事業の売上高は18.31億ドルを記録しました。この売上高の中にはGeForceの他に、NVIDIA製GPUを搭載するNintendo Switch、GeForce Nowのストリーミングサービスの売上も含まれたものになっています。ただ、この売上高は前年同期比では46%の減少になっています。
一方でライバルのAMDではゲーミング事業の売上高にはNVIDIAと同じくRadeon GPUの他にPlayStationやXboxに搭載されるAPUの売上高も記録されていますが、売上高は16.44億ドルが記録されており、NVIDIAの売上高に対して89.8%という水準にまで迫ってきている事が明らかになっています。
両社の決算発表資料ではPC向けグラフィックスカードに特化したセグメント分けはされておらず、Nintendo SwitchやPS5など組み込み向けGPUの売上高が含まれているため、この結果だけ見て、AMDのRadeonがNVIDIAのGeForceのシェアにあと少しで並ぶという見方は出来ません。
Why AMD is FORCED to go for GPU Market Share this Year – YouTube
特にAMDに関しては年間1000万台近い販売台数を記録するPS5やXboxなどコンソール向けGPUが含まれているため売上高はRadeonの販売数以上に高く表示されます。
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— TechEpiphany (@TechEpiphany) February 23, 2023
ただ、最近ではRadeonの売上は伸びていると見られており一例でしかないものの、ドイツの量販店ではRadeon系GPUの売上が43%、NVIDIA系GPUが56%と差が小さくなっているというデータもあるためNVIDIAのGeForceが市場シェアを8割以上取っているというというのは誤りであると指摘がされています。
企業や株主としてはグラフィックカード単品で市場シェアをどれぐらい取っているかより売上高や収益面でどれだけ貢献できているかが最も重要な指標止まります。ここで分かるのが、NVIDIAに関してはゲーミング向けよりサーバー・データセンター向けで収益を伸ばしており、最近のNVIDIA CEO、Jensen氏の発言からAI向けで需要が期待できるサーバー・データセンター向け製品に軸足を移す可能性があります。
一方のAMDに関してはサーバー・データセンター向け製品が最も高い売上高を出している一方で、ゲーミング向け製品も高い売上高を記録しています。そのため、AMDとしては今後もコンソールなど組み込み向けGPUの開発を進めるとともに並行してRDNA 4開発に向けて多額の研究開発費を計上したり、現行のRDNA 2やRDNA 3の調達時の価格交渉力に関してはNVIDIAに迫るレベルで実現する事も可能となります。
そのため、現時点ではNVIDIAがシェアを取っているゲーミング向けGPU市場についてAMDはNVIDIAに対抗する製品を出し続けると共に、シェアも取りに行く姿勢を崩さないと言えそうです。
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