AMDはARMアーキテクチャー投入に消極的? x86に対する優位性はないと言及
近年、AppleのMシリーズの成功やQualcommのPC市場への本格参入を受け、ARMアーキテクチャーへの注目が高まっています。ARMアーキテクチャーは、PCで一般的なx86アーキテクチャーに比べて電力効率に優れているとされ、過去には「2030年以降、ノートPC市場ではARMチップセットが主流になる」という大胆な予測もありました。
しかし、ドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2025のメディア向け取材にて、AMDはx86アーキテクチャーの効率性について言及し、ARMアーキテクチャーに対して優位性はないとの考えを明らかにしました。
x86でも高効率な製品は作れる。ARMにアドバンテージなし
電力効率は、特にバッテリーで動作するノートPCなどにおいて重要な要素です。そのため、ノートPC向け製品ではARMアーキテクチャーの高い電力効率が競争上で非常に有利に働くと考えられていました。
この点について、ドイツのテックメディア『ComputerBase』によるインタビューの中で、AMDは「x86が非効率的だという俗説は、昨年(2024年)の時点で誤りだと証明されている」とコメント。続けて「AMD RyzenやIntel Coreは、x86でありながらノートPCで非常に長いバッテリー持続時間を実現している」と述べ、x86アーキテクチャーの電力効率が既に十分高いことを示しました。
さらに、エコシステム、互換性、性能といった総合的な観点から見ても、x86に対してARMアーキテクチャーにアドバンテージはないと明言しています。
優位性は無いがARM版APUを作っていると言う噂も
今回、AMD側の発言からARMに対してはかなり消極的な姿勢であることが明らかになりましたが、現時点で明らかになっているリークでは2027年頃を目途にエントリークラスのノートPC向けにSound Wave APUと呼ばれるARMベースのAPUを開発していると言われています。
AMDのARMチップ Sound Wave APU のスペックなどがリーク。エントリーモデルとしてRDNA 3.5改良版を搭載。 | GAZLOG
AMDは公式に「ARMにアドバンテージはない」と述べつつも、将来の不確実性に備え、ノウハウを蓄積する目的で、失敗しても経営的な打撃の少ないエントリー向け領域から製品展開を始めることも考えられます。そのため、今回の消極的な発言とは裏腹に、近い将来AMD製のARM製品が登場する可能性は十分にあり、今後の動向が注目されます。
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