AMDでは3月から4月にかけて3D V-Cache技術を採用したRyzen 7 5800X3Dの他、Ryzen 5000シリーズとしては初のエントリーモデルを複数モデル登場させる予定ですが、その販売価格と発売時期に関する情報が出現しました。
Ryzen 5000&4000シリーズのラインアップを追加へ。
AMD Ryzen 7 5800X3D to cost $449, launches April 20 – VideoCardz.com
AMDでは2020年末頃にZen 3アーキテクチャーを採用したRyzen 5000シリーズを発表、発売を行いましたが当初のラインアップは最低でも4万円近くするミドルレンジモデル以上の製品のみの登場となっていました。しかし、Intelは2022年初旬より第12世代CPUであるAlder Lake-Sを8000円台のエントリーモデルからラインアップを行い、自作PC市場においてAMDが取っていたシェアはIntelに取り返されてしまっています。
そのため、AMDでは3月から4月にかけてハイエンド志向な3D V-Cache搭載のRyzen 7 5800X3Dを投入する他、エントリーモデルとなるRyzen 5 5500やRyzen 5 5600、ミドルレンジのRyzen 7 5700XなどRyzen 5000シリーズラインアップを充実させるようです。
今回、そんなRyzen 5000シリーズに追加されるモデルの価格情報や発売日に関する情報に加えて、更にエントリーモデルであるRyzen 4000シリーズの情報が出現しました。
Ryzen 5000の新モデルの価格判明。Ryzen 7 5800X3Dは約5.8万円で販売へ
Videocardzによると、AMDが追加するRyzen新モデルに関する基本的な仕様と価格情報を入手したとの事です。
CPUモデル | 価格(北米) | 日本円予測 | コア数/スレッド数 | 動作クロック | 合計キャッシュ容量 | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 5800X3D | $449.00 | ¥58,828 | 8コア/16スレッド | 3.4 / 4.5 GHz | 100MB | 105W |
Ryzen 7 5700X | $299.00 | ¥39,380 | 8コア/16スレッド | 3.4 / 4.6 GHz | 36MB | 65W |
Ryzen 5 5600 | $199.00 | ¥26,049 | 6コア/12スレッド | 3.5 / 4.4 GHz | 35MB | 65W |
Ryzen 5 5500 | $159.00 | ¥20,813 | 6コア/12スレッド | 3.6 / 4.2 GHz | 19MB | 65W |
この中で最も目玉となるのがCES2022で発表された3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 5800X3Dですが、メーカー希望小売価格(MSRP)は449ドルに設定されており、これはRyzen 7 5800Xが発売された当時の価格と同じ価格設定になっています。日本での販売価格はRyzen 7 5800Xが税込み58828円で販売されていた事から恐らくこの価格に非常に近い価格で販売されると見られています。
アッパーミドルレンジとして追加されるRyzen 7 5700XではMSRPは299ドルに設定されており、Ryzen 5 5600Xの発売当初のMSRPと同じ価格に設定されています。日本ではRyzen 5 5600Xの定価は39380円に設定されていたためこの価格で登場すると見られています。
エントリーモデルとして追加されるRyzen 5 5600とRyzen 5 5500に関してはそれぞれのMSRPが199ドルと159ドルという事で、1ドル=120円で換算すると約2.6万円と約2万円になるようです。この2つのモデルはIntelの第12世代CPUの中でも売れ筋のCore i5-12400やCore i3-12100をライバルに見据えているようですが、これらのモデルに対して価格面では少し上回る設定のようです。ただし、コア数が多く設定されているため、パフォーマンス面でどれほどアドバンテージがあるのかが売れ行きを決めるカギとなりそうです。
Ryzen 4000シリーズも追加投入。Intel Alder Lake-S世代の隙間を狙う
また、Ryzen 5000シリーズの他にRyzen 4000シリーズに関しても新しいモデルが投入予定となっています。
CPUモデル | 価格(北米) | 日本円予測 | コア数/スレッド数 | 動作クロック | 合計キャッシュ容量 | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 4600G | $154.00 | ¥20,159 | 6コア/12スレッド | 3.7 / 4.2 GHz | 11MB | 65W |
Ryzen 5 4500 | $129.00 | ¥16,886 | 6コア/12スレッド | 3.6 / 4.1 GHz | 11MB | 65W |
Ryzen 3 4100 | $99.00 | ¥12,959 | 4コア/8スレッド | 3.8 / 4.0 GHz | 6MB | 65W |
追加されるのは内蔵GPUを搭載するRyzen 5 4600Gの他、Ryzen 5 4500とRyzen 3 4100の3モデルとなっています。Ryzen 5 4500とRyzen 3 4100はRyzen 4000Gシリーズの内蔵GPUを無効化したRenoir-Xと呼ばれるモデルになっています。
AMDがデスクトップ向けにZen2 Ryzenを2022年に投入する可能性
価格面ではRyzen 5 4600Gが約2万円、Ryzen 5 4500が約1.7万円、Ryzen 3 4100が約1.3万円という事で現在販売されているRyzen 3 3300X(約1.9万円)やRyzen 5 3500(約2.0万円)に比べると安い価格設定になっているほか、特にRyzen 3 4100の1.3万円はAthlon 3000Gの約1.2万円にも迫る価格になっているため、競争力としては高そうです。
Ryzen 7 5800X3Dの発売日は4月20日、他のモデルも4月中に登場予定
Videocardzによると、Ryzen 7 5800X3Dは2022年4月20日の発売が予定されているとの事です。この情報は今まで100%当てているソースからの情報との事で確度は高いとの事です。
一方で、Ryzen 7 5800X3D以外のモデルに関しては具体的な発売日に関しては情報は得られていないとの事ですが、多くの国と地域では遅くとも4月中に発売がされると見られており、同時にAMDの300シリーズマザーボードにてRyzen 5000および4000シリーズが正式に対応がされる可能性もあるようです。
AMD的には3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 5800X3Dを大々的に売り出したいのかもしれませんが、エントリー向けのRyzen 5000シリーズが恐らく多くの人が最も気になるモデルではないでしょうか?
特にRyzen 5 5500に関しては2万円という事でCore i3-12100よりは高いですが、6コア12スレッド(誤記の可能性もあり)でコア数が多く、IPCでAlder Lakeに敵わなくてもコア数の多さでパフォーマンス面では優れている可能性はありそうです。
Ryzen 7 5800X3Dに関しては最新技術を搭載しているため、Ryzen 7 5800X登場当時の価格で投入されるのは妥当と個人的には思います。ただ、衝撃度は他のモデルと比べると少なく、3D V-Cacheによってどれぐらいパフォーマンスが上がるのか次第ですね。
正直言うと、AMDがこれらのエントリーモデルを半年前に出していたら更によかったのですが、IntelがAlder Lake-Sを出したことでAMDも出し惜しみをする事が出来なくなってきているのでCPUやGPUでもこのように互いにより良い製品を出す環境になっているのは消費者側からすると非常にありがたい状況と言えそうです。