AMDはCES2022にてラップトップ向けにZen 3+アーキテクチャーを搭載したRyzen 6000シリーズを発表しましたが、その中でハイエンドモデルに位置するRyzen 9 6900HSのベンチマークが出現しましたが性能面ではTDP28W帯のAlder Lake-P、Core i7-1280P並みの性能を発揮しています。
Zen 3+とRDNA 2搭載のハイエンドAPU、Ryzen 9 6900HS
AMD Ryzen 9 6900HS and Radeon RX 6800S spotted in new leaked benchmarks – VideoCardz.com
AMDはCES2022にてCPUにZen 3+アーキテクチャ、GPUにRDNA 2アーキテクチャを搭載したRyzen 6000シリーズAPUをラップトップ向けに発表をしました。
このRyzen 6000シリーズに搭載されるZen 3+アーキテクチャーはRyzen 5000シリーズに搭載されているZen 3に対してTSMC 6nmにプロセスを微細化すると共に、より性能と効率が向上するように改良が加えられたアーキテクチャになっており、数%の性能向上と消費電力の低下が見込まれています。
今回、Ryzen 6000シリーズの中でハイエンドモデルであるRyzen 9 6900HSのベンチマークが出現しました。
このCPUはハイエンドモデルに位置付けられており、仕様面では8コア16スレッドでL3キャッシュ容量は16MBとなっています。動作クロックについてはベースクロックが3.3 GHz、ブースト時は4.9 GHzとなっておりTDPは35Wという事で、数週間前に登場したRyzen 9 6900HXの45W+より低いTDPでの動作となっています。
ベンチマークはTDP28W帯のCore i7-1280Pと同等に。ブースト時のTDPを考慮するとワットパフォーマンスは同等レベル?
ベンチマークはASUS製のゲーミングラップトップであるROG Zephyrus G14と言うモデルで行われています。OSにはWindows 11でメモリーはDDR5を32GB搭載した状態でベンチマークが取られています。
なお、Geekbench上には記載がありませんが、このラップトップではAPU内蔵のRDNA 2 GPUに加えてディスクリートGPUとしてRadeon RX 6800Sと呼ばれるTSMC 6nmのGPUダイを採用しています。
Ryzen 9 6900HSのベンチマークの結果はシングルコアが1571pt、マルチコアが9751ptとなっています。マルチコアスコア性能が最も近いCPUとしてはデスクトップ向けのCore i7-11700KF(9757pt)や12コアを搭載するRyzen Threadripper 2920X(9612pt)となっており、TDPが35Wのモバイル向けAPUではあるものの、TDP100Wを超えるデスクトップ向けCPU並みのパフォーマンスを実現しています。
[visualizer id=”9795″ lazy=”no” class=””]
Zen 3+を搭載するRyzen 6000シリーズはRyzen 5000シリーズに対して6nm化やアーキテクチャーの改良などが加えられていますが、Ryzen 9 6900HSの前世代モデルのRyzen 9 5900HSを搭載するROG Zephyrus G14と比べるとシングルコアは約8%、マルチコアは約25%向上しており、大幅な性能向上を果たしています。
CES2022で発表されたIntelのTDP28W帯CPUとなるAlder Lake-P最上位モデル、Core i7-1280Pに対してはシングルコアは1784ptという事で約14%ほど劣後する状態となっていますが、マルチコアにおいては9790ptという事で同等のスコアを記録しています。
注意点ですが、これだけ見るとTDP35WのRyzen 9 6900HSがTDP28WのCore i7-1280Pと同じレベルという事でRyzen 9 6900HSが性能的に劣っているように見えますがCore i7-1280Pではターボブースト時は最大64Wまで消費電力が上がる設計になっています。一方で、Ryzen 9 6900HSも同様にブースト機能は備わっており、CPU温度が許容範囲内の場合65W程度まで消費電力が上がりますのでベースのTDPだけ見るとCore i7-1280Pが優れているように見えますが、ブースト時の消費電力まで考慮するとCore i7-1280PとRyzen 9 6900HSについてはほとんど同等性能と言えそうです。
NVIDIA GeForce RTX 4000シリーズは9月登場に。TDPは最大850Wに?
AMD Ryzen 6000シリーズではCPU性能よりRDNA 2搭載などグラフィックス性能に期待がかかりますが、CPU性能についても順当に上がっているようです。
CPU性能だけで言うと、Ryzen 9 6900HSはTDP 35W帯の一方でAlder Lake-PのCore i7-1280PはTDP28W帯となっており、ワットパフォーマンス面では劣るように見えますが、ブースト時までを考慮するとRyzen 9 6900HSは劣っているとは決して言えない性能になっています。
また、Surface Laptop 5ではAlder Lake-Pを搭載するモデルよりRyzen 9 6000シリーズを搭載するモデルの方がバッテリーの持続時間が長いという話もありますのでワットパフォーマンスなどがどの程度のものなのか検証が待たれる所ですね。