AMDがRDNA 3世代に「Radeon RX 7700」を新たに発売。VRAMが16GB搭載されるも性能は微妙?
AMDは2025年にRDNA 4世代のRadeon RX 9000シリーズを発売しており、先代のRDNA 3世代はすでにラインアップが出揃ったと見られていました。ところが同社は、アッパーミドルレンジ向けの新モデル「Radeon RX 7700(無印)」を投入したことが明らかになりました。
RX 7700 XTを上回るVRAM容量。一方でGPUコアは大幅カット
Radeon RX 7700は、上位のRX 7700 XTの下位版に位置づけられる製品です。順当にGPUコアの仕様は引き下げられている一方、VRAMは上位を上回るなど、ややちぐはぐな構成になっています。
スペック | Radeon RX 7700 | Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7800 XT |
---|---|---|---|
GPU | Navi 32 | Navi 32 | Navi 32 |
Compute Units | 40 | 54 | 60 |
VRAM仕様 | 16GB GDDR6 | 12GB GDDR6 | 16GB GDDR6 |
バス幅 | 256-bit | 192-bit | 256-bit |
帯域幅 | 624 GB/sec | 432 GB/sec | 624 GB/sec |
ブーストクロック | 2,459 MHz | 2,544MHz | 2,430 MHz |
Infinity Cache | 40 MB | 48 MB | 64 MB |
TBP | 263 W | 245 W | 263 W |
GPUはRX 7700 XTと同じNavi 32ながら、RX 7700ではGPUコアが約26%の大幅削減。動作クロックもわずかに引き下げられ、コア側の総合性能は抑えられています。
一方でメモリ周りは強化され、バス幅は192-bit→256-bitに拡大、帯域幅は432 GB/s→624 GB/s(約1.4倍)へと増加しています。
ゲーミング性能はRX 7700 XTより20%低下。RX 7800 XTの消費電力で電力効率が大幅悪化
ゲーム | RX 7700 XT (FPS) | RX 7700 (FPS) |
---|---|---|
Resident Evil 4 (RT) | 84 | 70 |
Dying Light 2 (RT) | 75 | 63 |
Hogwarts Legacy | 79 | 64 |
Marvel’s Spider-Man | 80 | 66 |
RX 7700のゲーミング性能はRX 7700 XT比で約20%低下。さらにスペック上の消費電力(TBP)は263 Wで、RX 7700 XT(245 W)より高く、RX 7800 XTと同等です。
結果として、性能は下がるのに消費電力は上がるため、電力効率は大きく悪化しています。
存在意義は不明。コンシューマ向けも存在?
RX 7700は、性能を大きく引き下げつつ電力効率も低い一方で、256-bitバスの16GB GDDR6を備えるなど、ターゲットが見えにくい構成です。余剰となったNavi 32の活用を目的に投入された可能性が高いでしょう。

このRX 7700は現行のRDNA 4 GPUに対して競争力がある製品とは言えず、主にBTOやOEM向け製品であると推測されています。ただ、ASRockがカスタムモデルの「Challenger」を発表していることから一部AIBはコンシューマ向けにも発売することも計画されている可能性がありそうです。
もっとも、RX 9060 XT 16GBが5.7〜6.0万円で入手できる現状を踏まえると、これより安価でなければ競争力は乏しいと言わざるを得ません。仮に一般販売される場合には、どの価格帯で出てくるのかが最大の注目点になりそうです。
コメント
コメント一覧 (1件)
メモリが高速ならローカルLLM用途じゃないでしょうか。16GBあればgpt-oss-20bがGPUだけで動作しますし。RazenAI300シリーズがAI用途でバカ売れしてるのでデスクトップマーケットのAI用途を補完するためじゃないですかね。IntelARCの大容量VRAM版が受けてるのもそれでしょうし。