2021年はGPUの価格は転売やマイニング需要、半導体不足などで一時は定価の3倍以上の値を付けるなどして大荒れ模様でしたが、2022年はハイエンド帯を中心にGPUに加えてCPUも値上げとなる可能性があるようです。
GPUの値段が大きく上がった2021年
新型コロナ発生以降の2020年からコンシューマー向けGPUについては入手難易度、価格共に高まる一方の状態になっています。2020年には世界的に流行し始めた新型コロナによる外出自粛によってゲームをするユーザーが増え、GPU需要が例年に比べて大幅に増えていました。しかし、同時に感染拡大やコロナ以前から問題となっていた米中貿易摩擦によるサプライチェーンの破綻とそれに伴う半導体不足の顕著化しており、GPUの入手性は非常に悪かった状況です。
そんな中で、2021年に入り始めた頃からGPUでマイニングを行う仮想通貨、Ethereumの価格高騰に伴うマイニングファーム需要が発生し、GPUの大量買い占めと言う需要も発生しました。この動向に目を付けた転売屋もGPU購入に目を付けGPU不足に拍車を掛けました。その結果、2021年5月には販売価格は定価の3倍近くにまでに価格が高騰、半年以上経過した2022年1月現在でも定価の2倍以上の値を付ける事が自然になりつつありますが、今後ハイエンドなGPU製品の他に、CPUも定価自体が値上げされる可能性があるようです。
全社TSMCに製造を委託。AMD、Intel、NVIDIAはコスト高で20%値上げへ
台湾のDigitimesによると、近年世界的に発生しているコンテナ不足や輸送費高騰や半導体製造にかかるコストの高騰などを理由にAMDやIntel、NVIDIAなどが半導体製品の値上げを最大20%程度で計画をしていると報じています。また、この価格値上げはGPUだけでは無く、CPUも含まれるとの事です。
特に、値上げの大部分を占めるのはTSMCへ依頼している『半導体製造にかかるコスト』の部分になるようです。
Digitimesによると、TSMCは既に既存の7nmや5nmプロセスで製造委託されている製品の見積価格の値上げを実施しており、その値上げ幅は10~20%に及ぶものと見られています。
これらの値上げの影響を受ける製品としては今後5nmで製造されるAMDのRyzen 7000シリーズCPU、Radeon RX 7000シリーズGPU、NVIDIAのRTX 4000シリーズGPUなどが大きな影響を受けると見られています。また、TSMC 6nmで製造されるIntel Arc AlchemistもTSMC 6nmは7nmの延長線上のプロセスであるため、例外なく値上げの影響を受けると見られています。
NVIDIAは既に、TSMC側に対して5nmの製造委託契約に関する支払を済ませており、少なくともRTX 4000シリーズについては値上げ分は価格に転嫁されて販売される可能性が高いと見られています。
入手性改善で定価に近づくが、次は定価が高くなる?
現在、GPUの価格については定価の2倍となっていますが、この高値となる原因としてはTSMCによる値上げ分は未反映で世界的に未だにGPUの入手が簡単では無く、一部の卸売り業者や量販店を中心に『高値でもGPUは売れる』という状態が続いている事で、価格が釣り上げられているという見方があります。
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一方で、NVIDIAや各社AIBなどは2022年はGPU出荷量が2021年に比べて大幅に増えるという見通しを発表しており、Digitimesが数日前に報じた内容ではASUS、MSI、ASRock、GIGABYTEなど主要なAIBはこの高い出荷量を基に、2022年後半にかけてGPUの品薄は明確に改善するという予測を立てているようです。
そのため、GPUの品薄が改善してくることで高値で売りさばいている卸売り業者や量販店を中心に大きな価格下落圧力になる事は確実で、本格的に入手性が改善すると言われている2022年下期ではNVIDIAやAMDなどが定める定価に等しい価格での販売がされるかもしれません。
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ただ、今回出現したTSMCの製造委託価格値上げの話によって、GPUやCPU価格の定価が20%ほど値上げされる可能性が出てきたと言えます。Digitimesに書かれている通り、影響を受けるのは今後製造される製品が中心と見られており、AMDですとTSMCに製造を委託しているRyzen 7000シリーズやRadeon RX 7000シリーズ、NVIDIAですとRTX 4000シリーズ、そして間もなく登場するIntel Arc Alchemistとなっています。
Arc Alchemistについては値上げ前の価格でTSMCと契約を済ませている可能性もありますが、Ryzen 7000やRTX 4000シリーズなど2022年下期に登場する製品については、入手性改善に伴ってAMDやNVIDIAから提示される定価通りで販売される可能性はあるものの、次はTSMCの値上げによって、定価自体が値上げされた状態で販売となるかもしれません。
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TSMCに関しては2021年には3.3兆円の投資を行い、最近では2nmの製造工場を増やすために、4兆円の投資を行う可能性が出てくるなど、半導体製造に必要な研究開発費や工場建設などで莫大なコストがかかっている状態となっています。これらの投資コストを回収するため、TSMCは利用が多い7nmや5nmについて大きめの値上げを行ったものと考えられますが、プロセス微細化が進めば進むほど研究開発費や製造コストは膨らむため、今回のような20%値上げは無いものの、毎年のように数%の値上げが繰り返されるのでは無いかと考えられます。
ちなみに、TSMCが値上げしてきた20%がそのまま定価に乗った場合、RTX 3050の定価は39800円とされていますが、20%値上げされれば47760円と言う価格になり、少し前にAmazonで5万円で販売されていた玄人志向のRTX 3050とほぼ変わらない値段になっています。
流石にエントリーからハイエンド製品まで一括で20%転嫁とはならないものの、入手性が改善されても定価が値上げされるため、ミドルレンジGPUが5万円も出せば余裕で手に入るという世界には戻らない事は確実かもしれませんね。
コメント
コメント一覧 (3件)
パソコンの更新を考えてるのですが、このニュースツライですね。
では購入は今ですねと簡単に騙されてみるのも…
GPU単体で買う事はもう無いね。
今後買う時はメーカー製PCでGPU搭載モデルにすると思う。