AMDがRadeon RX 8000シリーズではNVIDIAとの頂上決戦を避けると明言。ミドルレンジモデルに焦点。
AMDは、これまでRadeon RX 6000およびRX 7000シリーズにおいて、NVIDIAとのグラフィックス性能の頂上決戦に挑んできました。RX 6000シリーズではRX 6950 XT、RX 7000シリーズではRX 7900 XTXなどのハイエンドモデルを投入してきましたが、NVIDIAの最上位モデルであるGeForce RTX 3090 TiやGeForce RTX 4090に対して、性能面で優位な結果を出すことはできませんでした。さらに、NVIDIAのラインアップに比べてAMDの製品群は歯抜け状態となっており、販売面でも優位に立つことができていない状況です。
この影響で、AMDの最新の決算ではRadeonグラフィックスを含むゲーミングセグメントが前年同期比で大幅な減収減益となり、苦戦を強いられています。次世代グラフィックカードとなるRadeon RX 8000シリーズでは、最上位モデルの投入を見送り、ミドルレンジモデルに焦点を当てたラインアップとなるとのリーク情報も出ています。
このRadeon RX 8000シリーズに関して、IFA 2024において、AMDのグラフィックス部門の責任者であるJack Huynh氏が、NVIDIAとの頂上決戦を避けることを明確にしました。
Digitaltrendsのインタビューによると、Huynh氏は次世代グラフィックカード(RX 8000シリーズ)について、NVIDIAのGeForce RTX 5090のようなハイエンドモデルを当面は投入せず、ミドルレンジ市場を強化する計画であることを明言しました。AMDが過去2世代にわたってハイエンドモデルを投入してきた背景には、ハイエンド市場での「頂上決戦」が市場を盛り上げる役割を果たすと期待していましたが、実際にはAMDの市場シェア拡大には繋がっていなかったことを指摘。将来的にハイエンドモデルを再び投入する可能性はあるものの、直近では現実的な選択肢ではないとしています。
Radeon RX 8000シリーズのラインアップについては、現在のリーク情報によると、Radeon RX 5000シリーズ(RDNA1)に似た構成になるとされ、最廉価モデルはRX 8500 XT、最上位モデルはRX 8700 XTに留まると見られています。ただし、RDNA4アーキテクチャを採用し、レイトレーシング性能の強化が図られているほか、ミドルレンジモデルでは、メモリ容量やバス幅の拡大が見込まれており、1440p解像度での高いパフォーマンスが期待される仕様となっています。
AMDのRadeonグラフィックスはここ数年、NVIDIAに対してシェアが低迷しており、市場調査によるとNVIDIAが88%のシェアを占める一方で、AMDは12%に留まっています。この原因の一つは、NVIDIAに比べて、販売台数が見込めるミドルレンジモデルのラインアップが弱く、コストパフォーマンスがあまり高くないことです。そのため、今回のAMDのHuynh氏の発言にもあるように、ハイエンドモデルを投入しても市場シェアの拡大に寄与していない現状を踏まえると、多くのユーザーが求めるミドルレンジセグメントにリソースを集中させるのは合理的な戦略と言えます。
なお、AMDのRadeon RX 8000シリーズではミドルレンジ向けグラフィックスカードに特化しているため、コストパフォーマンスが高くなると言われていますが、NVIDIAに対してどれだけ優位性を見出せるのか注目です。
AMD confirms plans to not play ‘king of the hill’ with Nvidia | Digitaltrends
https://www.digitaltrends.com/computing/amd-confirms-next-gen-gpu-plans
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