AMDがデスクトップ向けCPUでシェア30%に迫る。Intelの不具合でAMDが過去最大の伸びを記録
CPUのシェアにおいて、AMDがRyzenを発表して以来、Intelが寡占していたシェアは徐々に下がっています。2024年第二四半期ではクライアントCPU全体でIntelが79%、AMDが21%を記録していましたが、2024年第三四半期の集計によると、IntelがクライアントCPU全体のシェアで76%と約3%減少し、特にデスクトップ向けCPUのシェアでは6%程度下落し、AMDのシェアが過去最大の伸びを記録しました。
市場調査会社のMercury Dataがまとめた集計によると、2024年第三四半期のクライアント向けCPUのシェアはIntelが76.1%、AMDが23.9%を記録しており、前四半期に対してIntelが2.8%減、AMDが2.8%増と、それぞれ記録しました。通常、各四半期で1%以上の変動が見られないシェアの推移において、大きな変動が発生していたことが明らかになりました。
デスクトップ向けCPUでIntelがシェアを大きく落とす。原因はRaptor Lake不具合?
ノートPCからデスクトップ向けCPUなどすべてを含むクライアント向けCPUのシェアで大きな変動が見られていましたが、その主な原因はデスクトップ向けCPUで発生したシェアの大変動になっています。
調査結果によると、2024年第三四半期ではIntelのシェアが71.3%に対し、AMDが28.7%を記録しました。前四半期に比べ、Intelは5.7%のシェアを失い、AMDが5.7%のシェアを獲得しました。これにより、AMDは過去最大のシェアおよび伸びを記録しています。一方、Intelの71.3%は過去8年間で最低のシェアとなり、前年同期に対して9.5%シェアを落としています。
主な原因は、2023年から2024年に発売したRaptor Lake-SおよびRaptor Lake Refresh系CPUで発生していた不具合にあり、多くのユーザーがIntel製CPUを避け、AMD製CPUを購入したことがシェアの急激な変動を引き起こしたと考えられます。
ノートPC向けCPUもAMDがシェアを伸ばす
ノートPC向けCPUに関しては、2022年中ごろまではAMDが順調にシェアを伸ばしていましたが、Raptor Lake系CPUを投入してからはIntelがシェアを大きく取り戻しました。しかし、AMDはGPU性能の高いAPUであるRyzen AI 300シリーズなどを投入することで再びシェアを拡大し、2024年第三四半期には前四半期比で2%の伸びを記録しました。ただし、ノートPC向けCPUではAMDのAPUが単価の高い製品が多く、IntelもLunar Lakeなど省電力性能を向上させた製品を投入しているため、2024年第四四半期のシェア拡大が順調に進むかは不透明です。
Intelは特にデスクトップ向けCPUのシェアを大幅に失ったため、ノートPCを含むクライアント向けCPU全体のシェアが大きく下がっています。2024年第4四半期では、Arrow Lake-S世代のCore Ultra 200SシリーズやAMDのRyzen 9000シリーズの販売結果が反映されることになります。
しかし、Core Ultra 200Sシリーズに関しては市場からの評価が乏しくなく、Ryzen 7 9800X3Dが非常に高い評価を受けている中で、好調な販売は期待できません。また、不具合が修正されたRaptor Lakeシリーズもソケットを含めて旧世代のCPUであるため、シェアの維持または拡大に寄与するとは考えづらいです。そのため、2024年第4四半期においては、デスクトップ向けではAMDのシェアがさらに伸びることが予測されますが、Intelがどれほどシェアを持ちこたえられるかに注目が集まりそうです。
AMD’s desktop PC market share skyrockets amid Intel’s Raptor Lake CPU crashing scandal — AMD makes biggest leap in recent history | Tom’s Hardware
コメント
コメント一覧 (2件)
x86やx64について言えば90年代はもっと互換CPUメーカーがいたんだけどなぁと記事を読みながら思った。
Alpha、SPARC、M68000、etc.今も特定分野(スパコン)で使われているのはSPARCくらいか。
いいなぁと思うラップトップモデルがことごとくRyzen積んでるってパターンがあり、
需要要因でのシェア変動なのか、供給要因でのシェア変動なのかは見極め必要と思いました。