AMDではマイニング専用グラフィックスカードとして、BC-160と呼ばれるモデルのGPUの投入を予定していますが、中国のAliexpressよりこのマイニング用GPUの販売が始まった模様です。
AMD製のマイニング専用GPU
2021年からGPUでマイニングが可能なEthereumの価格が大きく高騰した事で、マイニングに対する需要は大きくなっています。そのため、NVIDIAではマイニングによってゲーミング用のGPUの買い占めを防ぐためと高い利益率が望める事からマイニング専用グGPUであるCMPシリーズと呼ばれるマイニング専用GPUを販売しています。
この動きに対して、AMD側もゲーミング用GPUの買い占め防止と利益向上に向けてマイニング専用GPUであるBC160のリリースを予定していますが、中国のAliexpressにて販売が開始された模様です。
Navi12搭載、価格は日本円で23万円。Radeon RX 6900 XT越え
BC-160が売られているのは、中国のAliexpressで発送元は中国からとなっています。
価格は2021年12月13日時点では231,270円で販売されており、Radeon RX 6900 XTの169,990やNVIDIA GeForce RTX 3080 Tiの195,000円を上回る価格設定となっています。
なお、このBC-160のハッシュレートは約70MH/s、TDPは130Wとなっており、1ETH=45万円と言うレートの場合、1kw=25円の電気代を差し引くと1ヵ月に約1.3万円の利益しか出ません。そのため、BC-160の購入金額分をマイニングで取り返すには約1年半ほどの間マイニングを行わないと取り戻せません。
マイニングに関しては2022年のどこかでマイニングが可能なPoWからマイニングが出来なくなるPoSに移行する事が予定されており、ETH2.0への移行タイミング次第では大きな損失を抱える可能性があります。そのため、このマイニング用グラフィックスカードを買ってマイニングを始めようとしている方は十分注意する必要があります。
BC-160の中身はほぼRadeon Pro V520?
BC-160について、マイニング用グGPUと言われていますがAli Expressに掲載されているマイニング画面のスクリーンショットを見ると『Radeon Pro V520』と記載されているものがあります。
Radeon Pro V520の仕様はNavi 12 GPUを搭載しており、Compute Unitが36基でStreaming Processorsが2304基となっており、VRAM関係では8GBのHBM2を搭載し、2048-bitのバス幅、512GB/sの帯域幅で接続が行われています。
一方で、過去に出現したBC-160の仕様や今回Aliexpressで出現した仕様では、Navi 12 GPUを搭載し、Compute Unitが36基でStreaming Processorsが2304基、VRAMが8GB HBM2で2048-bitのバス幅となっておりRadeon Pro V520と全く同じ仕様になっています。そのため、もしかしたらBC-160は単純にRadeon Pro V520をリネームしただけの製品で、使い方次第ではワークステーション向けGPUとして活用できるかもしれません。
なお、Radeon Pro V520についてはAmazon AWS用サーバーにEPYC RomeとRadeon Pro V520 GPUが採用されるというプレスリリースが出されているだけで、コンシューマー向けにRadeon Pro V520≒BC-160がリリースされるのは初めてです。
AWS、Radeon GPUを搭載したEC2インスタンスを発表 AMD製GPUをAWSに初採用 – ITmedia NEWS
AMD BC-160の販売価格は20万円を超えていますが、この価格で売れるのか疑問ですね。マイニング関係の情報が書かれた海外のサイトでも、BC-160を$2000で買うぐらいなら、同じぐらいの価格でマイニング性能とリセールバリューがあるGeForce RTX 3080を買った方が良いと言われています。LHRが搭載されたモデルでも最近はマイニング制限が50%から70%程度にまで上げられる裏技が見つかっているので、なおさらこのBC-160と言うマイニングGPUの存在意義は薄れているように思えます。
あと、このBC-160ですがなぜわざわざマイニング用GPUとしてRadeon Pro V520をリネームしているのかも疑問です。Amazon AWSに入れるはずだったものが流れてきているのか単純にマイニング専用と言った方が売れるからなのか、この辺は不明です。
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