AMD B840チップセット搭載マザーボードはPCIe Gen 3のみ対応の衝撃仕様に。A620以下の性能
AMDは2024年7月31日にZen 5アーキテクチャを搭載したRyzen 9000シリーズを発売する予定です。先日、AMDはこのZen 5アーキテクチャやRyzen 9000シリーズの技術仕様と性能について発表会を開催し、さまざまな情報を明らかにしました。この発表会では、今後登場予定の800シリーズチップセット搭載マザーボードについても触れられ、既に発表されているX870EとX870に加え、B850とB840など価格を抑えたチップセット搭載のマザーボードも拡充されることが明らかになりました。ただ、この中でB840チップセットについては、2024年末にかけて発売するにもかかわらず、PCIe Gen 3までしか対応しないという衝撃的な仕様であることが判明しました。
AMDが示した資料によると、X870EとX870はPCIe Gen 5に対応し、グラフィックスおよびNVMe SSDの両方でGen 5レーンが使えるようになっています。また、オーバークロックに関してはCPUおよびメモリーに対応するなど、この2モデルは600シリーズで投入されているX670EとB650Eの後継であり、USB 4.0対応やメモリーオーバークロックで8000 MT/sまで対応可能な点以外には大きな変更はないとされています。
今回新たに投入が明らかになったB850とB840のうち、B850はNVMe SSDがPCIe Gen 5に対応し、グラフィックス用のレーンはPCIe Gen 4が標準ですが、オプションでPCIe Gen 5化が可能なモデルのようです。このモデルは詳細は不明ですが、600シリーズマザーボードであまり投入されていなかったミドルレンジ向けモデルになると見られており、IntelのB760が競合相手になるようです。ただし、B760に比べてCPUオーバークロックに対応しているため、大きな違いと言えます。
問題のB840チップセット搭載マザーボードは、PCIe Gen 3までしか対応せず、USB 3.2の10Gbpsおよびメモリーオーバークロックにのみ対応するモデルです。B840の詳細な仕様は不明ですが、最も仕様が近いチップセットはソケットAM4向けのA520です。なお、AMDのソケットAM5向けには最廉価モデルとしてA620があり、このモデルはPCIe Gen 4に対応しているため、B840チップセットは名前上は上位に見えますが、仕様はA620以下となります。
ソケットAM5対応チップセットはハイエンドモデルが充実している一方、ミドルレンジ以下のモデルが不足しており、マザーボード価格を含めるとIntel Raptor Lakeで構築するより高価になる傾向がありました。しかし、B850の投入によりこの状況はかなり改善されるうえ、ミドルレンジ向けにもCPUオーバークロックに対応するため、IntelのB760やB660より優れた機能を提供しています。価格次第ではかなり競争力があると言えそうです。
一方、B840はA620を下回るPCIe Gen 3のみ対応など、2024年末に発売するには疑問の残るモデルです。また、名称もA620より上位に見えるため、A810などと命名すればよかったのにという点もあります。B840については今回のスライドで示された情報以外は不明ですが、悪い意味で注目されるマザーボードとなりそうです。
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