AMDのデスクトップ向けCPUのシェアが28%まで拡大。前年比4%の大幅増加
CPU市場においては過去数十年間に渡りIntelはコンシューマー向けやエンタープライズ向けで圧倒的なシェアを握っていましたが、AMDがZenアーキテクチャーを投入して以降、Intelの新製品の投入遅れや性能不足などの競争力不足により徐々にAMDに市場シェアを奪われてしまっている状況です。そんなCPUの市場シェアですが、調査会社のMercury Researchが2025年第一四半期の各セグメント毎における各社のCPUシェアを明らかにしましたが、コンシューマー向け製品、特にデスクトップ向けCPUにおいてAMDのシェアが28%と過去最大を記録した他、前年比でも大きく拡大したことが明らかになりました。
AMDシェア | 2025Q1 | 2024Q4 | 2024Q3 | 2024Q2 | 2024Q1 | 2023Q4 | 2023Q3 | 2023Q2 | 2023Q1 |
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デスクトップ | 28.00% | 27.10% | 28.70% | 23.00% | 23.90% | 19.80% | 19.20% | 19.40% | 19.20% |
ノートPC | 22.50% | 23.70% | 22.30% | 20.30% | 19.30% | 20.30% | 19.50% | 16.50% | 16.20% |
サーバー | 27.20% | 25.10% | 24.20% | 24.10% | 23.60% | 23.10% | 23.30% | 18.60% | 18.00% |
x86全体 シェア | 24.40% | 24.70% | 23.90% | 21.10% | 20.60% | 20.20% | 19.40% | 17.30% | 34.60% |
デスクトップ向けCPUにおいては2025年第一四半期時点では28%のシェアを獲得しており、前期比では0.9%、前年比では4.1%の大幅増加を記録しています。2024年はAMDもIntelも秋までデスクトップ向けに新製品投入が行われていませんでしたが、上半期はIntelがRaptor Lake関連の不具合を発生させるなどネガティブな話題が多く、新製品投入が行われた秋以降ではArrow Lakeの性能が市場の期待を下回る一方で、AMDが投入したRyzen 7 9800X3Dは順当な進化を遂げたことがAMDのシェアの大幅拡大に繋がったと見られています。
ノートPC向けでは22.5%と前期比では1.2%の減少を記録する一方で、前年比では3.2%の拡大を記録しています。前期比で1.2%と比較的大きな減少を記録している要因は明らかにされていませんが、競合のIntelではLunar LakeやMeteor Lakeなど新世代のCPUより旧世代のRaptor Lakeが想像以上に売れていることが明らかになるなど世界景気の後退影響からノートPC向けCPUは低価格モデルが好まれる傾向が顕著に出ているようです。一方で、AMDに関しては高性能なAPUがメインにラインアップされているため2024Q4から2025Q1の間ではシェアを落としたと見られています。前年比でみるとシェアは3%以上拡大するなど順調な伸びを見せていますが、市場が安価なCPUを求める傾向にある中でAMDはStrix PointやStrix Haloなど高価格な高性能APUを中心にラインアップする戦略がどのように動くか注目となりそうです。
そして、最後にAMDの稼ぎ頭とも言えるサーバー向けCPUは2025Q1は27.2%と過去最高のシェアを叩き出しています。前期比では1.5%、前年比では3.6%のシェア拡大を記録しています。サーバー向けに関してはAMDは多コア化や性能や運用に掛かる総コスト含めてIntelを凌駕している状態で、Zen 5世代のEPYCでは最大192コアを備えており、同時期に登場したIntelのGranite Rapids世代のCPUの最大144コアを大きく上回っています。そのため、シェアに関してはAMDが大きく拡大を続けている状況で、短ければ1年程度、長くても2年程度でAMDのサーバー向けCPUのシェアは30%を超えるものと考えられます。
AMDに関しては出荷台数ベースのシェアではどのセグメントでも30%を超えられていませんが、収益ベースのシェアでは2025年Q1時点でサーバー向けは39.4%、デスクトップ向けは34.4%とかなり高い収益シェアを記録しています。この主な要因としてはサーバー向けではIntelを圧倒する多コア化、そしてデスクトップ向けでは高価格な3D V-Cache搭載CPUが売れているなどが要因と見られています。
なお、AMDは2025年は新製品を出す予定はありませんが、2026年にはZen 6アーキテクチャーを搭載する製品も投入予定である一方で、Intelは2025年にはサーバー向けに最大288コアの多コア化を実現したSierra Rapidsを、2026年前半にはノートPC向けにPanther Lakeを投入し後半にはZen 6に対抗するNova Lake-Sをデスクトップ向けに投入するため、AMDのシェア拡大に歯止めをかけられるのかIntelが競争力ある製品を投入できるのか期待されています。
Mercury Research
コメント
コメント一覧 (1件)
正直10年前はAMDはぶっ潰れると本気で思ってた
株価1ドル台から立て直したリサおばはやっぱりすごいよ