AMDではRDNA3アーキテクチャーを搭載するRadeon RX 7900シリーズをコンシューマー向けに発売していますが、同じGPUを採用したエンタープライズ向けのRadeon Pro W7000シリーズが2モデル発表、最大48GBのVRAMを持ち、12K解像度での映像出力に対応するようです。
AMDのワークステーション向けGPU、Radeon Pro W7900とW7800を発表。VRAMは最大48GBで12K解像度の出力まで対応
AMD’s Radeon Pro W7900 Gets RDNA 3, 48GB, 12K Support | Tom’s Hardware
AMDでは2022年末にRDNA3アーキテクチャーをを採用したNavi31 GPU搭載のRadeon RX 7900シリーズをコンシューマー向けに発売していますが、同じNavi31 GPUを搭載したエンタープライズ向けグラフィックカードであるRadeon Proラインアップ最新モデル、Radeon Pro W7900とW7800を発表しました。
最上位モデルのRadeon Pro W7900はRadeon RX 7900 XTXと似た構成になっており、96基のCompute Unitを96基、Stream Processorsを6144基搭載するGPU構成で、メモリー側には6つのMCDを搭載することで合計384-bitのバス幅を実現、48GBのECC付きGDDR6を備えています。
下位モデルのRadeon Pro W7800はNavi31を採用するも、GPU側はCompute Unitを70基、4480基のStreaming Processorsを搭載する仕様になっており、MCDは4基で合計256-bitの32GB ECC付きGDDR6を採用しています。
性能面ではRadeon Pro W7900は61TFLOPSを提供し、ゲーミング志向のRadeon RX 7900 XTXに匹敵します。このレベルのパフォーマンスを実現するために、トリプルスロット冷却システムを搭載しました。このクーラーを搭載することで一部のデスクトップには搭載できないかもしれませんが、ほとんどのワークステーションと互換性があります。さらに、トリプルスロットクーラーはデュアルスロットクーラーよりも静かに動作すると見られています。
一方でRadeon Pro W7800は、45TFLOPSを提供しておりRadeon RX 7900 XTグラフィックスカードのパフォーマンスレベルよりわずかに低いです。このグラフィックカードには、標準のデュアルスロットクーラーが付属されています。
世界で初めてDisplayPort 2.1で最大12K解像度での出力が可能なGPUに
AMDのRadeon Pro W7900とRadeon Pro W7800は、グラフィックス製作やビジュアライゼーション用途においてNVIDIAを超える大きな利点がDisplayPort 2.1で、最大4つのモニターに対してUHBR 20モードでの映像出力が可能になっています。
このUHBR 20に対応する事でディスプレイストリーム圧縮であるDSCを用いらずに10bpcカラーと4:4:4クロマサブサンプリングを持つ7680×4320解像度の映像出力を60Hzまでサポートが可能になっています。
DSCを有効にした場合では11520 x 6480など12K解像度にも対応することが可能になっています。ただ、このような超高解像度での映像出力にはVESA認定のDP80ケーブルをUHBR 20モードで使用する必要があります。
グラフィックスカード側では12K解像度まで対応できますが、肝心なディスプレイについてはまだ開発が追いついて居ないようで、8K60Hz対応のHDRディスプレイはまだ開発中ですが、AMDによるとAcer、Asus、Dell、Samsung、およびLGがこの8K60Hzに対応するHDRディスプレイを近い内に発売するとのことです。
DisplayPort 2.1についてはRadeon RX 7900シリーズでも搭載されていますが、Radeon Pro W7900とW7800より若干スペックの劣るDP2.1 UHBR 13.5モードのみの対応になっているため、12K解像度まで対応できるDP2.1 UHBR 20モード搭載のRadeon Pro W7900とW7800は世界で初めて12K解像度まで対応が可能なグラフィックスカードと言えます。
そんなAMDのRadeon Pro W7900については価格は3,999ドル、日本円では60万円を超えています。Radeon Pro W7800については2,499ドルで日本円では40万円近い価格になると見られています。AMDではこの2モデルを2023年第2四半期までにパーツ単品での発売を予定しており、大規模なワークステーションOEMやシステムインテグレーターに対しては2023年下半期から提供を開始する予定となっています。
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