Intelの第12世代CoreシリーズであるAlder Lakeモバイル版のロードマップと見られるスライドが出現しました。そのスライドではCPUは3つのカテゴリーに分けられ、6つのバリエーションが存在し最上位モデルではTDPが55Wにも及ぶ見込みです。
big.LITTLEを採用するAlder Lake
Intelの第12世代CoreシリーズであるAlder LakeではIntelの最新プロセスである10nmプロセスで製造されますが、それに加えて新たにスマートフォンなどで採用されているbig.LITTLE技術が採用されます。これは、消費電力が高いが高性能コアと性能は低いが高効率コアを搭載し、システムの使用状況に合わせて切り替える技術です。Alder Lakeの場合、高性能コアはCore系CPU、高効率コアはAtom系CPUが採用されます。そんなAlder Lakeですが、@9550pro氏によってAlder Lakeシリーズのラインアップを示したIntel内部の資料と思われるスライドが出現しました。
Alder Lake Mobile pic.twitter.com/NXJ0Hk1EJb
— HXL (@9550pro) March 6, 2021
超省電力なAlder Lake-Mシリーズ
Alder Lakeラインアップで最も省電力なモデルはMシリーズで、主にタブレットや超薄型ラップトップ向けとなっています。
TDPは最も低いバリエーションのM5では5W~7W、高いバリエーションでは9W~15Wとなっています。M5では高性能コアが1コア、高効率コアが4コアの計5コア構成となり内蔵グラフィックスは68EUまたは48EUとなっています。U9では高性能コアが2コア、高効率コアが8コアの計10コアとなり最大で96EU、最小で80CU搭載されます。
幅白いバリエーション、Alder Lake-Pシリーズ
Alder Lake-Pシリーズはビジネスユースでのラップトップからゲーミング向けのモデルまでをカバーできる幅広いバリエーションが存在しています。まず最も普及が見込まれるバリエーションがU15でTDPは12~20Wの間で設定が可能となっています。コア数は高性能コア2コア、高効率コアが4~8コアとなっており内蔵グラフィックスは最大96EU、最小は80EUとなっています。
パフォーマンスが要求される仕様をターゲットにしたバリエーションはU28でTDPは20~28Wで高性能コアは4~6コア、高効率コアは8コアで内蔵グラフィックスは96EUとなっています。
最後に、ゲーミング用途などをターゲットにしたH45でTDPは35~45Wとなっています。コア数はU28と同じく高性能コアは4~6コア、高効率コアは8コアのため動作クロックがU28に比べて高く設定されるものと考えられます。内蔵グラフィックスに関してはU28と同じく96EUのみです。
高性能(Muscle)モデル、Alder Lake-S(BGA)
Alder Lake-Sはデスクトップ向けを表す末尾Sが入っていますが、スライドで紹介されているのはデスクトップ向けモデルをBGA化したモデルのためモバイル向けでありながらほとんどの仕様はデスクトップ向けとなっています。
バリエーションはH55の1つしか用意されていません。主なターゲットはモバイルワークステーション用途やゲーミング用途が考えられており、TDPは45~55Wと非常に高いです。コアの構成は高性能コアが8コア、高効率コアが8コアの計16コア構成となっており、過去にGeekbenchで出現したデスクトップ向けAlder Lake-Sと同じ構成となっています。
ES品の16C/24T『Alder Lake-S』が既にCore i9-10900Kと同等性能を発揮
グラフィック面では他のモデルやバリエーションに比べて最も少ない32EUとなっており、これはターゲットとしているモバイルワークステーションやゲーミング用途では別途グラフィックスカードを搭載する事を想定して設定していると見られています。
開発は順調に進捗中の模様。2021年末までに登場予定
Alder Lakeについて、CES2021にて開発が発表されたものの詳細については多く語られる事がありませんでした。しかし、開発は順調に進んでいる模様で現行モデルを上回るスコアをベンチマークで叩き出したり、IPCが大きく上回るリーク情報などが出現しています。
Rocket Lake-S は3月15日発売。Alder Lake-S は2021年9月発表?
このAlder Lakeですが、Intelによると2021年Q3中に発表を計画しているとの事ですので、7月~9月の間に何かしらの発表がされる可能性が非常に高いです。
Alder Lakeではbig.LITTLE構成が採用されるため、タブレットや薄型ラップトップとの相性は非常に良いと考えられています。過去にリークされた情報では、高性能コア側のIPCはTiger Lakeと比べても大きく向上しており、高効率コア側もSkyLake-S程度の性能は持ち合わせていると言われています。そのため、最も低消費電力なM5バリエーション(高性能コア1コア+高効率コア4コア)でもエクセルなどの作業はもちろん、YoutubeやNetflixを見ながらパワポやエクセル編集などは余裕でこなせる性能と考えられます。一般的なラップトップで採用されているU15バリエーションでも高い性能を持ちつつ、長いバッテリーライフが期待できそうです。
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