AIを活用したプロジェクトの8割以上は失敗。経営層の過剰期待と付加価値の検討不足

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AIを活用したプロジェクトの8割以上は失敗していることが明らかに。原因は経営層の過剰期待と付加価値の検討不足

ChatGPTの登場により「AI」がより身近で使えるものになった一方、最近では何にでもAIを活用していることを謳うことで、消費者や投資家の注目を集めようとする動きも見られます。

その注目度は、AIに不可欠とされるNVIDIAの決算を見れば一目瞭然です。近年、AIへの期待は非常に高く、2013年から2022年にかけて民間セクターでのAI投資規模は18倍に拡大しました。アメリカ国防省もAIの軍事応用に2000億円規模の投資を行うなど、官民を問わずAIへの期待が高まっています。しかしその一方で、AIへの投資が実を結ぶ可能性が非常に低いことも明らかになっており、最近の調査によればAIプロジェクトの失敗率は83%から92%に達すると言われています。

この失敗率は、一般的な非AI関連スタートアップの約2倍にもなり、ほとんどのAIプロジェクトが失敗すると言っても過言ではありません。アメリカ政府(特に軍事関連)とも取引があるシンクタンク、ランド研究所は、過去数年間にAI分野で働いてきた65人のエンジニアやデータサイエンティストに聞き取り調査を行い、AIプロジェクトが失敗する原因を分析しました。

AIプロジェクトの最大の失敗原因は、主要な関係者間で共有される目標の不一致です。経営層はAIができることや達成すべき目標について非現実的かつ過大な期待を抱いており、その期待の多くはハリウッド映画などで煽られた先入観に基づいています。一方で、エンジニア側にも問題があります。特にデータサイエンティストはAIの進展に夢中になり、新しい技術に付加価値があるかどうか、またコストに見合うかどうかを十分に検討せずに導入してしまう傾向があるのです。このような新技術の投入がAIプロジェクトを複雑化させ、解決すべき問題をさらに難しくすることがあり、それがプロジェクトの失敗を招くケースもあります。

さらに、AIに必要不可欠な学習データの不完全性も大きな要因です。AIの精度を左右する80%の要素は、データエンジニアリングによってもたらされますが、この部分は地道かつ一貫性のあるデータ入力が求められます。しかし、データエンジニアはAIエンジニアより下に見られる傾向があり、単純作業も多いため離職率が高いことが、学習データの一貫性に障害をもたらしているようです。

その他の失敗要因として、適切に準備されたデータセットの不足、不十分なインフラ、問題に対するAIの適合性の欠如なども挙げられています。これらの問題は民間セクターに限らず、学術界でも指摘されています。特にAI研究者は現実世界での応用事例にあまり興味を持たず、AI研究の論文発表に注力する傾向があります。しかし、これらの研究や論文が実世界での成果に結びつくかというとそうでもありません。例えば、中国は過去10年間でアメリカの6倍の生成AI関連特許を申請しましたが、過去10年に渡り引用を受けたトップ20の組織には、中国科学院だけがランクインしたに過ぎません。

このような失敗事例が多い中でも、多くの企業はAIプロジェクトに依然として高い関心を寄せています。大手企業の経営層の84%がAIがビジネスに大きな影響を与えると考えており、97%がAIテクノロジーの活用を早急に行う必要があると認識しています。しかし、この調査が示す通り、AIに対する非現実的な期待や、エンジニア側の過度な理想と好奇心が原因で失敗するケースも多いのです。AIプロジェクトを導入する前には他社の失敗事例を検証し、適切な対策を講じることが何よりも重要です。これらの対策が行われず、今後も8割以上の確率でAIプロジェクトの失敗が続けば、投資家や消費者の期待を裏切り続けることになり、最終的にはAI業界全体が作り出している数兆ドル規模の投資がバブルのように崩壊する危険性があります。

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AIブームの影響で、最近では数多くのAIモデルやサービスが乱立しています。製品に何でもかんでもAIを付加し、適当なAIサービスを提供してユーザーに課金を促す企業も増えていますが、その8割以上が失敗に終わっているというのは驚異的な失敗率です。その原因は、経営層が映画に影響されたフィクショナルなAIを望む一方で、エンジニアは最新技術を導入したがるという、双方のギャップにあるようです。また、AIに必要不可欠な学習データのインプットが地道な作業であり、かつ離職率が高いことから、AI業界はまだスタートアップにはハイリスク・ハイリターンな分野であることが分かります。

NVIDIAのBlackwell B200などの注文が好調であることから、AIへの高い関心はまだ続いていますが、消費者や投資家の心を掴み、ビジネスモデルとして安定的な収益を生み出している企業はまだ少ない状態です。今後の動向次第では、AIはバブルではなく現実的なものと見なされる可能性もありますが、失敗が続けばITバブルのような悲惨な結果をもたらす可能性もあります。

ソース

The Root Causes of Failure for Artificial Intelligence Projects and How They Can Succeed | RAND Research

https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA2680-1.html

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『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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