AMDではZen 3アーキテクチャーをベースに、CCD上にキャッシュを重ねて搭載する事で容量を大幅に増やす3D V-Cache技術を搭載する事を計画しています。そんな、3D V-Cacheですが、Ryzen CPUに搭載したモデルが11月頃から量産が開始される模様です。また、既存のRyzenを改良したB2ステッピング版は12月末までに出荷が予定されているとの事です。
Ryzen 5000シリーズ B2ステッピングと3D V-Cacheに関するリークが出現
AMDでは3D V-Cacheと呼ばれるキャッシュを大幅に増やす技術をComputex 2021にて発表を行いましたが、その技術を搭載したZen 3 Ryzenの量産開始時期がGreymon55氏によって明らかになりました。
また、同時に現在発売中のRyzen 5000シリーズを改良したB2ステッピングに変更が行われたモデルの登場時期について明らかになっています。
Two things:
ZEN3 V-cache will be mass produced in November.
ZEN3 B2 has been shipped and is expected to be available at the end of December.— Greymon55 (@greymon55) October 19, 2021
3D V-Cache搭載Ryzenは11月末から量産開始
AMDではComputex 2021にて3D V-Cacheテクノロジーについて発表を行い、L3 Cacheの更に次レベルCacheをCCDの上に重ねて搭載する技術を発表しました。その発表には、Ryzen 9 5900Xを利用したプロトタイプが展示されており、各CCDに96MB(L3 32MB + 3D V-Cache 64MB)、CPU合計で192MBのラストレベルCacheを搭載するモデルとなっていましたが、その市販版となるモデルが2021年11月より量産開始となる模様です。
この3D V-Cacheでは、既存のZen 3と同じくTSMC 7nmプロセスで製造が行われ、プロトタイプモデルと同じく各CCD上には32MBのL3キャッシュとその上に3D V-Cacheが64MBで合計96MBのキャッシュが利用可能になると見られています。
具体的にどのモデルがV-Cache化されるかは不明ですが、CCDを1個搭載するRyzen 7 5800Xなどで最低96MB、CCDを2個搭載するRyzen 9モデルでは96MBx2で192MBになると見られています。
このキャッシュ容量の増大によってAMDではゲーミング時のパフォーマンスが平均15%改善されるとしていますが、TDPや対応ソケットについては現行のRyzen 5000シリーズと同様にTDP 125WでソケットAM4に対応すると見込まれています。
The timing of ZEN3D’s mass production depends on 3D equipment in the supply chain, not Alder Lake.😂
— Greymon55 (@greymon55) October 19, 2021
この3D V-Cacheの登場時期についてはAlder Lake-Sの競合するために投入される見方もありますが、Greymon55氏によるとAlder Lake-Sはあまり関係がないとの事で、量産開始時期とされている11月については3D V-Cache製造に必要な設備やサプライチェーン側の都合次第との事です。
Ryzen 5000シリーズ B2ステッピングモデルは12月末までに出荷開始
All B2 models leave the factory in October and after that. You can judge whether it is B2 through the top cover.
— Greymon55 (@greymon55) October 19, 2021
3D V-Cacheを搭載するRyzenに加え、AMDでは現行のRyzen 5000シリーズに対して、ステッピング変更が加えられた改良版Ryzen 5000シリーズの出荷が10月から開始され、店頭には12月末までに並ぶ見込みとなっています。この改良版はB2ステッピングと呼ばれていますが、AMDのRobert Hallock氏によると、Zen 3 アーキテクチャーへの変更は加えられていない事を明言しています。ただ、このようなステッピング変更は動作安定性と共にオーバークロック耐性が旧ステッピングに比べてする向上する傾向にあります。
なお、このB2ステッピングはプロセッサに刻印されているため、購入する際は化粧箱側面から見えるRyzenプロセッサ本体を確認する事で購入品が従来品のB0ステッピングなのかB2ステッピングなのか判別する事は可能との事です。
赤枠内の表示が変わります。Ryzen 9 5950Xの場合、現行のB0ステッピングでは『100-000000059』と記載されています。今後登場するB2ステッピング品では『100-000000059-60_50/34_Y』になると過去にはリークされています。(あまりプロセッサのステッピングを意識した事が無いので過去のRyzen 3000でどんな感じでコードが変わったのか知っている方が居ましたら教えてください)
B2 Stepping for Vermeer?! 😮
100-000000059-60_50/34_Y
3.4 GHz (up to 5 GHz)
Stepping: B2
Cores: 16100-000000065-06_46/37_Y
3.7 GHz (up to 4.6 GHz)
Stepping: B2
Cores: 6— Patrick Schur (@patrickschur_) May 17, 2021
RDNA3では3D Infinity Cacheを搭載。GPUに3D V-Cache技術を応用
3D V-Cache搭載Ryzeについては11月から量産開始がされるという事でCES2022で発表する事はほぼ確実と言えそうです。恐らく、ベンチマークなどの情報は11月から12月にかけて出現する事となりそうですが、Alder Lake-Sの性能で話題になっている所に割って入れるぐらいの性能を叩き出せるのか注目です。
個人的にはキャッシュ容量の増大の効果はComputex2021での発表では約15%の向上と謳われていましたが、試作品で15%ですので最終製品では20%近くまで上げて来るのではないかと思います。また、動作クロックなどにも手を付けると考えられますので、Core i9-12900Kに対してシングルコア性能では上回る見込みは無さそうですが、マルチコア性能においては同等か若干上回る程度にまで性能を出す事が出来るかもしれませんので期待がかかります。
一方でこの3D V-Cacheについては懸念点もあり、11月製造開始と言う話は3D V-Cache製造に必要な設備が整い次第という事がGreymon55氏によって指摘されています。現在、新型コロナウイルスは台湾やASEAN(AMDが影響を受けやすいのはマレーシア)では落ち着きを見せ始めていますが、再び感染拡大が発生し、ロックダウンなどが起きればこの製造スケジュール、しいては発売スケジュールに影響が出る可能性はあります。(発表は何がなんでもCES2022で行うと思います)
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