グラフィックスカードについては2023年はGeForce RTX 4000シリーズ、AMDではRadeon RX 7000シリーズなど新製品を投入されていますが、2023年5月時点から1年以内(2024年6月まで)に登場すると見られているグラフィックカードなどの製品について情報をまとめました。
2023年下半期から2024年内で登場予定のGPU各モデルについて紹介
前回は2022年12月にまとめたGPUの情報について、今回は2023年6月時点の最新情報に更新します。
2022年12月版|2023年 Intel/AMD/NVIDIAのGPU発売予定と詳細
ソースは主にリークや定評のあるTwitterユーザーなどあくまで『噂』レベルです。ですので、実際に登場した際にはスペックや価格が大きく異なる場合がありますので参考レベルにご覧ください。
2023年〜2024年登場予定のIntel製GPU
Intelのディスクリートグラフィックカードについては2022年に発売が行われたArc Alchemistが失敗に終わった事から、開発を行っているAXGグラフィックスグループが再編されたりトップのRaja氏が退職するなど体制を一新しています。s
IntelがGPU部門のAXGを分割、Raja氏は降格。Battlemage GPUは開発中の模様
Intelでは過去に発表したディスクリートグラフィックスのロードマップ通り開発を進めているとの事で第二世代ArcとなるBattlemageや第三世代ArcのCelestialの投入を予定していますが、Battlemageについては2024年からの投入が予定されています。そのため、2023年中に現行のArc Alchemistのリフレッシュ版の投入が予定されています。
未登場|Arc Alchemist+ (Refreshモデル)
製品のレンジ | エントリー・ミドルレンジ |
発売時期 | 2023年下半期 |
価格 | 不明 |
Intelでは2022年から発売を開始したArc Alchemistアーキテクチャーの改良版にあたるArc Alchemist+の投入を2023年下半期中に計画しています。
Intel GPUのロードマップ出現。2023年はAlchemist+、2024年にBattlemage登場
このArc Alchemist+では2023年6月以降にエントリーモデルのArc A300シリーズから投入が行われ、2023年秋以降にはArc A700シリーズなどミドルレンジモデル向けにも展開が行われる予定です。TDPは下位モデルが75~100WでNVIDIAのGeForce GTX 1650やAMDのRadeon RX 6400に対抗するモデルとなり、上位モデルはTDP 175~225Wに位置し、GeForce RTX 4050やRadeon RX 7600に対抗するモデルになると見られています。
未登場|Arc Battlemage
製品のレンジ | エントリー・ミドルレンジ・ハイエンド |
発売時期 | 2024年中頃まで |
価格 | 不明 |
Intelの次世代GPU、Battlemageのリーク情報出現。コア数倍増で性能はRTX 4070 Ti並みに?
IntelではディスクリートGPUの開発を継続して進めるようで、現行のArc Alchemistの後継となるArc Battlemageについて開発を進めているようです。
このBattlemageでは2つのGPUが登場予定で、TSMC 4nmで製造が行われます。ノートPCやエントリー向けGPUに搭載されることを想定したXe2-LPGとディスクリートGPU向けに搭載されるXe2-HPGが準備される予定となっています。
仕様面ではXe2-HPGについてはGPUコア数をAlchemistに対して2倍に増やす方針のほか、動作クロックの向上やL2キャッシュの容量拡大なども計画されています。これにより性能面ではGeForce RTX 4070 Ti並を目指しており、Alchemistの時よりNVIDIAやAMDに対して上位ティアのモデルと対抗するようです。
登場時期については2024年Q1からQ2ということで遅くとも2024年6月までに登場すると見られています。
2023年~2024年に登場予定のNVIDIA製GPU
RTX 4000シリーズ(製品コードネーム:Ada Lovelace)
NVIDIAでは2022年10月12日にAda Lovelaceアーキテクチャーを採用したGeForce RTX 4000シリーズ最上位モデルとなるGeForce RTX 4090を発売、その後11月16日にはハイエンドモデルのRTX 4080を発売し、2023年にはRTX 4070シリーズをはじめミドルレンジを中心にRTX 4000シリーズのラインアップを拡充していく計画になっています。
ただ、RTX 4070では性能がRTX 3080並みとあまり大きな性能向上が見られない割りに価格は同等で、主にDLSS3.0への対応を付加価値として販売しており純粋なグラフィックス性能の伸びは少なくあまり人気がありません。この傾向はRTX 4060 Tiでも続くと見られており、128-bitのバス幅になるなど数年で使えなくなりそうな仕様で販売されると見られています。
GPU | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4070 Ti | GeForce RTX 4070 | RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4060 | GeForce RTX 4050 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
採用GPU | AD102-300 | AD103-300 | AD104-400 | AD104系? | AD106 | AD107 | AD107 |
商品カテゴリー | ハイエンド | ハイエンド | アッパーミドルレンジ | アッパーミドルレンジ | ミドルレンジ | ミドルレンジ~エントリー | エントリー(モバイル) |
CUDAコア数(最大) | 16384基 | 9728基 | 7680基 | 5888基 | 4352基 | 3072基 | ~3072基 |
VRAM容量・仕様 | 24GB GDDR6X | 16GB GDDR6X | 12GB GDDR6X | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 6GB GDDR6 |
VRAM速度 | 21 Gbps | 23 Gbps | 21 Gbps | 18 Gbps | 18Gbps | 18Gbps | 不明 |
VRAMバス幅 | 384-bit | 256-bit | 192-bit | 192-bit | 128-bit | 128-bit | 不明 |
TDP | 450W | 340W | 285W | 200W | 160W | ~120W | 不明 |
発売時期 | 2022年10月12日 | 2022年11月16日 | 2023年1月5日 | 2023年4月13日 | 2023年5月末 | 2023年6月以降 | 2023年6月以降 |
未登場|GeForce RTX 4060 Ti
製品のレンジ | アッパーミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年5月末 |
価格 | 6〜8万円? |
GeForce RTX 4060 Tiはミドルレンジ寄りのアッパーミドルレンジモデルで、現行のRTX 3060 Tiの後継モデルとなります。
NVIDIA GeForce RTX 4060 Tiのスペック出現。CUDA数がRTX 3060 Tiより1割減
GPUにはRTX 4060等で採用されるAD106 GPUが搭載され、CUDAコアが4352基、RTコアが34基、Tensorコアが136基搭載される見込みです。このコア数自体はRTX 3060 TiのCUDAコア4864基、RT 38基、Tensor 152基に比べると1割程度減少していますが、動作クロックを2.5 GHz以上に設定する事でRTX 3070並みの性能は維持すると見られています。
NVIDIA GeForce RTX 4060 TiはPCIe Gen 4 x8接続。GPUダイの写真登場
VRAM関係では18Gbpsで動作するGDDR6を8GB搭載していますが、バス幅は128-bitと狭くなり帯域幅は288GB/sとRTX 3060 Tiの448GB/sに対して65%程度にまで落とされる見込みです。そのため、1080pであれば問題は無いものの1440pなど解像度を上げたり、DirectStorageを用いたテクスチャーストリーミングを多用するゲームではパフォーマンスがRTX 3070を下回る可能性すらあります。
なお電源周りでは消費電力は160Wと非常に低い消費電力となっており、8pin電源を1口搭載で足りるようになる見込みです。
未登場|GeForce RTX 4060
製品のレンジ | ミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年6月以降 |
価格 | 5〜6万円 |
NVIDIA GeForce RTX 4060 TiとRTX 4060は2023年5月に発売予定の模様
GeForce RTX 4060はGPUコアにはエントリー向けGPUのAD107 GPUを搭載されており、CUDAコア数3072基になります。現行のRTX 3060のCUDAコア数が3584基に対して14%ほどコア数が減らされていますが、動作クロックは向上するため性能面ではRTX 3060 Ti並みになると見られています。
なお、VRAM関係ではGDDR6を採用する一方で、バス幅は128-bitとRTX 4060 Tiと同じく帯域幅はあまり広くはならないため1080pを超える解像度での使用や、将来的に登場するDirectStorage対応ゲームなどでは高い性能を発揮できないと見られています。
消費電力はRTX 4060 Tiが160Wであるため、更に低い120W台に設定されると見られているため、6pin電源1口でも対応可能になる見込みです。
未登場|GeForce RTX 4050
製品のレンジ | エントリーモデル |
発売時期 | 2023年6月以降 |
価格 | 不明 |
NVIDIA GeForce RTX 4050は6月登場で計画中。VRAMは6GBに減少が明らかに
GeForce RTX 4050はエントリーモデルとして投入がされると見られていますが詳細な情報などはまだ出ていませんがGPUダイに関してはAD107 GPUを使用するとともに、RTX 4060で計画されている3072基を下回るのは確実と見られています。また、VRAM容量はRTX 3050を下回る6GBに設定されるとも見られており、性能面ではRTX 4060並みで、ゲームによってはRTX 3050並みか下回る場面も見られるかもしれません。
投入時期に関しても2023年6月以降に行われると見られています。
RTX 5000シリーズ(製品コードネーム:Blackwell)
NVIDIA GeForce RTX 5000シリーズの情報出現。3nm採用で価格が高騰へ。
NVIDIAでは2年置きにGPUアーキテクチャーの刷新をしており、順当に行けば2024年下半期にかけて現行のAda Lovelaceアーキテクチャーの後継GPUの投入が行われる見込みになっています。この後継GPUアーキテクチャーはBlackwellと呼ばれる事がリークで明らかにされています。
スペックは現時点ではTSMC 3nmを採用するとともに、引き続きモノリシックダイ構造を採用すると見られています。性能面では2022年末時点に登場したリークでは過去最大の性能向上を目指すとされていましたが、2023年以降、グラフィックカードが売れないという事態が発生しているため、コストパフォーマンスも重要とされる傾向にあるため、どれだけの性能向上を目指すかは不明な状況です。
気になる価格ですが、TSMC 3nmは5nmに比べると製造コストが1.25倍に増えると見られており、メモリーバス幅の拡大やGDDR7採用などコスト高騰要素も多いため、ハイエンドモデルでは40万円近い価格にまで高騰する可能性があります。ただ、2023年のグラフィックスカードの売上を見ると高いグラフィックスカードはマイニングなど特殊要因が無い限り売れない事が明らかになったため、NVIDIAはコストパフォーマンスをもう少し重視した設計に改める可能性もあります。2023年〜2024年に登場予定のAMD製GPU
Radeon RX 7000シリーズ(RDNA 3世代)
AMDでは2022年12月にRadeon RX 7000シリーズの最上位モデル、Radeon RX 7900シリーズを発売して以降動きがあまりありませんでした。しかし、ハイエンドのRX 7800からRX 7600までを2023年6月以降に順次発売し、ラインアップの拡充を進める計画であると見られています。
特にRX 7800 XT、RX 7700 XT、RX 7600 XT/無印の合計4モデルは2023年5月末に開催されるComputex 2023で発表され、発売は6月以降になると噂されています。
GPU | Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XT | Radeon RX 7800 XT | Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7600 XT | Radeon RX 7600 | Radeon RX 7500 XT |
---|---|---|---|---|---|---|---|
採用GPU | Navi31 XTX | Navi 31 XT | Navi 32 | Navi 32 | Navi 33 | Navi 33 | Navi 2x系 |
商品カテゴリー | ハイエンド | ハイエンド | ハイエンド | アッパーミドルレンジ | ミドルレンジ | ミドルレンジ | エントリー |
Compute Unit | 96基 | 84基 | 60基 | 54基 | 32基 | 28基 | ?? |
VRAM容量・仕様 | 24GB GDDR6 | 20GB GDDR6X | 12GB GDDR6 | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | ?? |
VRAM速度 | 20 Gbps | 20 Gbps | 20 Gbps | 20 Gbps | 18 Gbps | 16 Gbps | ?? |
VRAMバス幅 | 384-bit | 320-bit | 192-bit | 192-bit | 128-bit | 128-bit | ?? |
TDP | 350W | 300W | ~300W | 200W | 180W | 140W | ?? |
発売時期 | 2022年12月13日 | 2022年12月13日 | 2023年6月以降 | 2023年6月以降 | 2023年6月以降 | 2023年6月以降 | 2023年? |
未登場|Radeon RX 7800 XT
製品のレンジ | ハイエンドモデル |
発売時期 | 2023年6月? |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7800 XTにはNavi 32 GPUが搭載されると見られています。このNavi 32 GPUはNavi 31 GPUと同じくチップレットが採用されますが、MCDについては最大4基でバス幅は192-bit程度になると見られています。
GCDにはNavi 32が持つ64基の内60基程度が有効化されたGPUが搭載される見通しで、Streming Processorsは3840基と前世代のRX 6800と同等になります。
ただ性能面ではアーキテクチャーの刷新や動作クロックの引き上げによってRX 6950 XTに近い性能を発揮すると見られています。
未登場|Radeon RX 7700 XT
製品のレンジ | アッパーミドルレンジ |
発売時期 | 2023年6月? |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7700 XTではNavi 32 GPUが採用される見込みです。CUは54基でSPは3456基、VRAMバス幅については192-bitとなっていますが、1080pから1440p程度の解像度であれば、Infinity CacheやRDNA 3アーキテクチャーによる改善代でRadeon RX 6800 XTかRX 6900 XTと同等が超えるぐらいの性能が発揮できるとリークでは言われています。
一方で、4K解像度になるとバス幅が足を引っ張るため、あまり高い性能は期待できないようです。
未登場|Radeon RX 7600 XT / RX 7600
製品のレンジ | ミドルレンジ |
発売時期 | 2023年6月? |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7600 XTとRX 7600ではNavi 33 GPUを採用するグラフィックスカードになっています。このNavi33 GPUは他のNavi31やNavi32とは異なるモノリシックダイが採用されており、MCDなどはGPUダイに内蔵されています。
モデルは上位のRadeon RX 7600 XTとRX 7600の2種類が登場する見込みで、上位のRX 7600 XTは32基のCUが搭載されており、性能面ではRadeon RX 6650 XTやRX 6700 XT並みになると見られています。一方で下位のRX 7600では28基のCUが搭載されており、性能はRX 6600 XTとRX 6650 XTの間に位置する性能になると見られています。
なお、VRAMは8GBのGDDR6を採用しておりInfinity Cacheも32MB搭載されますが、それでもバス幅は128-bitという事で1080p解像度でのゲーミングをターゲットにしているため、それ以上の解像度でのプレイは厳しいと言えそうです。
未登場|RX 7500などのエントリーモデル
Radeon RX 7000シリーズの中でNavi 3x系GPUが採用されないモデルについてはRDNA 2改となるNavi 22SとNavi 23S GPUが搭載されると見られており、主にミドルレンジからエントリー向けモデルでこのような対応が取られると見られていますが、リーク情報自体は2021年に出て以来更新されていないため現在どのような計画かは明確にはなっていません。
Radeon RX 7000シリーズには6nm化されたRDNA 2も投入される可能性
Radeon RX 8000シリーズ(RDNA 4世代)
RDNA 4採用Radeon RX 8000シリーズの情報出現。144基のCUとGDDR7搭載
AMDは2024年にRDNA 4アーキテクチャーを採用したRadeon RX 8000シリーズを投入予定です。最新情報によれば、RDNA 4は前世代のRDNA 3に対してクロック速度が3.5 GHzに引き上げられ、パフォーマンスが2倍、ワットパフォーマンスが50〜60%向上することを目指しています。RDNA 4のGPUコアはRDNA 3と同様の構成で、128基のStreming Processorsを搭載するCUが特徴です。また、GCDもチップレット化がされ、レイトレーシングやAI/ML性能が大幅に改善される予定です。
RDNA 4を搭載するRadeon RX 8000シリーズは、最上位のNavi 41、ハイエンドのNavi 42、ミドルレンジのNavi 43の3つのGPUモデルが予定されています。Navi 41は最大129TFLOPsの性能で、NVIDIAのGeForce RTX 4090を56%上回ることが期待されています。VRAMにはGDDR7が採用され、最大32GBまたは48GBを搭載する見込みです。
一方、Navi 42は86TFLOPsの性能でRTX 4090並み、Navi 43は43TFLOPsでRTX 3090 Ti並みの性能が予想されています。Navi 43でもチップレットが採用され、GDDR7が搭載される予定です。
AMDはRDNA 4でRDNA 3の性能を2倍にし、NVIDIAのRTX 5000シリーズと競合することを目指しています。ただし、これらの情報は初期リークであり、実際の製品での性能や仕様は変更される可能性があります。
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