2022年はGPUの供給は安定的に推移し、IntelのArc Alchemistをはじめ、NVIDIAではGeForce RTX 4000シリーズ、AMDではRadeon RX 7000シリーズなど新製品を投入しています。そんなGPUについて2022年12月時点から1年以内(2023年12月まで)に登場すると見られているグラフィックカードなどの製品について情報をまとめました。
2023年中に登場予定のGPU各モデルについて紹介
前回は2022年6月にまとめたGPUの情報について、今回は2022年12月時点の最新情報に更新します。
2022年5月版| 2022年~2023年 Intel/AMD/NVIDIAのGPU発売予定と詳細
ソースは主にリークや定評のあるTwitterユーザーなどあくまで『噂』レベルです。ですので、実際に登場した際にはスペックや価格が大きく異なる場合がありますので参考レベルにご覧ください。
2023年登場予定のIntel製GPU
Intelのディスクリートグラフィックカードについては2022年に発売が行われたArc Alchemistが失敗に終わった事から、開発を行っているAXGグラフィックスグループが再編されたりトップのRaja氏が降格するなど体制を一新しています。
IntelがGPU部門のAXGを分割、Raja氏は降格。Battlemage GPUは開発中の模様
Intelでは過去に発表したディスクリートグラフィックスのロードマップ通り開発を進めているとの事で第二世代ArcとなるBattlemageや第三世代ArcのCelestialの投入を予定しているとの事です。
なお、現時点では次に投入が予定されているArc Battlemageに関する具体的なリークは出ていません。
2023年登場予定のNVIDIA製GPU
RTX 4000シリーズ(製品コードネーム:Ada Lovelace)
NVIDIAでは2022年10月12日にAda Lovelaceアーキテクチャーを採用したGeForce RTX 4000シリーズ最上位モデルとなるGeForce RTX 4090を発売、その後11月16日にはハイエンドモデルのRTX 4080を発売し、2023年にはミドルレンジからエントリーモデルを中心にRTX 4000シリーズのラインアップを拡充していくと見られています。
ただ、RTX 4090やRTX 4080は価格や性能的に現行のRTX 3090やRTX 3080の上位モデルと言う位置づけで販売がされており、RTX 4070やRTX 4060などミドルレンジ寄り製品についても同じ様な戦略が取られる可能性がありそうです。
GPU | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4070 Ti | GeForce RTX 4070 | RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4060 | GeForce RTX 4050 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
採用GPU | AD102-300 | AD103-300 | AD104-400 | AD104系? | AD106 | AD106 | AD106 or AD107 |
商品カテゴリー | ハイエンド | ハイエンド | アッパーミドルレンジ | アッパーミドルレンジ | ミドルレンジ | ミドルレンジ~エントリー | エントリー(モバイル) |
CUDAコア数(最大) | 16384基 | 9728基 | 7680基 | 5888基 | 4352基 | ~4352基 | 3072基? |
VRAM容量・仕様 | 24GB GDDR6X | 16GB GDDR6X | 12GB GDDR6X | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 不明 | 不明 |
VRAM速度 | 21 Gbps | 23 Gbps | 21 Gbps | 18 Gbps | 18Gbps | 不明 | 不明 |
VRAMバス幅 | 384-bit | 256-bit | 192-bit | 192-bit | 128-bit | 128-bit | 不明 |
TDP | 標準450W
最大660W |
標準340W
最大516W |
標準290W
最大366W |
250W | 220W | ~220W | 不明 |
発売時期 | 2022年10月12日 | 2022年11月16日 | 2023年1月5日 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年? |
未登場|GeForce RTX 4070 Ti
製品のレンジ | アッパーミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年1月5日 |
価格 | 15万円以上? |
GeForce RTX 4070 TiはAD104 GPUが搭載されるハイエンド寄りのアッパーミドルレンジモデルで、CUDAコアが7680基でVRAMには21Gbpsで動作するGDDR6Xが12GBがバス幅192-bitで接続される仕様になっています。
このRTX 4070 Tiは元々はRTX 4080 12GBとして発売がされる予定でしたが、性能面でRTX 4080 16GBに対して30%以上劣るなど同じラインアップの製品と言うには紛らわしいため発売が中止され、RTX 4070 Tiとして発売がされます。
性能面ではRTX 3090並みでアッパーミドルレンジとしては申し分ない性能ですが価格は15万円以上すると見られておりRTX 3090と比べても遜色のない価格設定になると見られています。
未登場|GeForce RTX 4070
製品のレンジ | アッパーミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年 |
価格 | 不明 |
GeForce RTX 4070は現行のRTX 3070の後継モデルまたは上位モデルとして投入されるアッパーミドルレンジGPUとなっています。
NVIDIA GeForce RTX 4070のスペック情報出現。CUDA数はRTX 3070と同じに
仕様面ではGPUにはRTX 4070 Tiと同じGA104 GPUが採用されますが、CUDAコア数は5888基とRTX 3070と同じコア数になっています。ただし、VRAM関係は21Gbpsで動作するGDDR6Xを12GB搭載するなどスペックアップが図られていますが、バス幅は256-bitから192-bitへスペックダウンとなっています。
性能面ではAda Lovelaceアーキテクチャーを採用した事による向上や動作クロックが最大2.5 GHz以上に設定するなどしてRTX 3070を超える性能を発揮すると見られています。
消費電力も250WとRTX 3070の220Wからは増えていますが、動作クロックがRTX 3070より1.5倍以上引き上げられている事を考えるとワットパフォーマンス自体は向上していると見られています。
なお価格に関する情報は出ていませんが、RTX 4070 Tiが$899と言う設定である事を考えると$799、日本円で14万円前後で販売される可能性がありそうです。
未登場|GeForce RTX 4060 Ti
製品のレンジ | アッパーミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年 |
価格 | 不明 |
GeForce RTX 4060 Tiはミドルレンジ寄りのアッパーミドルレンジモデルで、現行のRTX 3060 Tiの後継モデルとなります。
NVIDIA GeForce RTX 4060 Tiのスペック出現。CUDA数がRTX 3060 Tiより1割減
GPUにはRTX 4060等で採用されるAD106 GPUが搭載され、CUDAコアが4352基、RTコアが34基、Tensorコアが136基搭載される見込みです。このコア数自体はRTX 3060 TiのCUDAコア4864基、RT 38基、Tensor 152基に比べると1割程度減少していますが、動作クロックを2.5 GHz以上に設定する事でRTX 3070並みの性能は維持すると見られています。
VRAM関係では18Gbpsで動作するGDDR6を8GB搭載していますが、バス幅は128-bitと狭くなり帯域幅は288GB/sとRTX 3060 Tiの448GB/sに対して65%程度にまで落とされる可能性があります。
なお電源周りでは消費電力は220WとRTX 3060 Tiより10%増しとなり8pin電源で足りそうですが、RTX 4000シリーズで採用されている16pin電源コネクターである12VHPWRが採用される予定となっています。
未登場|GeForce RTX 4060
製品のレンジ | ミドルレンジモデル |
発売時期 | 2023年 |
価格 | 不明 |
GeForce RTX 4060についてはRTX 4000シリーズのミドルレンジモデルとして投入が予定されていますが、現時点では詳細な情報は出ていません。
ただし、GPUコアにはAD106 GPUを搭載している事から上位のRTX 4060 TiのCUDAコア数4352基よりは少なくなるのは確実と言えます。そのため、現行のRTX 3060のCUDAコア数が3584基に対して同等か若干超えるぐらいのコア数を搭載すると考えられます。
また、VRAM関係ではGDDR6を採用する一方で、バス幅は128-bitとRTX 4060 Tiと同じく帯域幅はあまり広くはならないと見られています。
未登場|GeForce RTX 4050
製品のレンジ | エントリーモデル |
発売時期 | 2023年? |
価格 | 不明 |
GeForce RTX 4050はエントリーモデルとして投入がされると見られていますが詳細な情報などはまだ出ていません。投入時期に関しても2023年末までに行われるのか不明ですが少なくともRTX 4000シリーズの中では最後に登場すると見られています。
GeForce RTX 4000シリーズの在庫・価格状況
NVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズは現時点では上位モデルのRTX 4090とRTX 4080の2モデルのみ発売となっています。両モデル共に価格が20万円を超えるなど非常に高いため、TSUKUMOやソフマップ、パソコンなど大手PCパーツ店含めて在庫ありの状態で入手するのは容易です。
価格についてはRTX 4090やRTX 4080が発売された当時は$=140円に迫るような円安でしたが、12月25日時点では$=133円近くまで円高が進行しているため、徐々に値段の方が下がる可能性はありそうです。実際にRTX 4080については最安値が20万円を切っている例も出てきています。
RTX 4000シリーズの在庫確認用リンク
2023年登場予定のAMD製GPU
AMDでは2022年下半期中にRadeon RX 7000シリーズを発売予定としています。このRadeon RX 7000シリーズではRDNA 3アーキテクチャーが採用される予定で、一部のGPUではコンシューマー向けGPUとしては初めて複数のGPUダイを組み合わせるMCMが採用されるほか、I/OダイにはRyzen 7 5800X3Dのような3Dスタッキング技術などAMDが持つ最新技術が惜しみなく投入される見込みになっています。
GPU | Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XT | Radeon RX 7800 XT | Radeon RX 7700 XT | Radeon RX 7600 XT | Radeon RX 7500 XT |
---|---|---|---|---|---|---|
採用GPU | Navi31 XTX | Navi 31 XT | Navi 32 | Navi 33 | Navi 33? | Navi 2x系 |
商品カテゴリー | ハイエンド | ハイエンド | ハイエンド | アッパーミドルレンジ | ミドルレンジ | エントリー |
Compute Unit | 96基 | 84基 | 60基 | 32基 | ?? | ?? |
VRAM容量・仕様 | 24GB GDDR6 | 20GB GDDR6X | 12GB GDDR6 | 12GB GDDR6 | ?? | ?? |
VRAM速度 | 20 Gbps | 20 Gbps | 18 Gbps | 18 Gbps | ?? | ?? |
VRAMバス幅 | 384-bit | 320-bit | 192-bit | 192-bit | ?? | ?? |
TDP | 350W | 300W | ~300W | 200W | ?? | ?? |
発売時期 | 2022年12月13日 | 2022年12月13日 | 2023年 | 2023年 | 2023年? | 2023年? |
未登場|Radeon RX 7800 XT
製品のレンジ | ハイエンドモデル |
発売時期 | 2023年中 |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7800 XTにはNavi 32 GPUが搭載されると見られています。このNavi 32 GPUはNavi 31 GPUと同じくチップレットが採用されますが、MCDについては最大4基でバス幅は192-bit程度になると見られています。
GCDにはNavi 32が持つ64基の内60基程度が有効化されたGPUが搭載される見通しで、Streming Processorsは3840基と前世代のRX 6800と同等になります。
ただ性能面ではアーキテクチャーの刷新や動作クロックの引き上げによってRX 6800を上回る性能であるのは確実です。
このRadeon RX 7800 XTについては2023年の登場が見込まれています
未登場|Radeon RX 7700 XT
製品のレンジ | アッパーミドルレンジ |
発売時期 | 2023年中 |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7700 XTではNavi 33 GPUが採用される見込みです。このNavi 33 GPUではNavi 31や32 GPUとは異なりMCMは採用されず、完全なモノリシックダイになると見られています。CUは36基程度でSPは2036基、VRAMバス幅については128-bitと控えめな仕様となっていますが、1080pから1440p程度の解像度であれば、Infinity CacheやRDNA 3アーキテクチャーによる改善代でRadeon RX 6800 XTかRX 6900 XTと同等が超えるぐらいの性能が発揮できるとリークでは言われています。
一方で、4K解像度になるとバス幅が足を引っ張るため、あまり高い性能は期待できないようです。
未登場|Radeon RX 7600 XT
製品のレンジ | ミドルレンジ |
発売時期 | 2023年中 |
価格 | 不明 |
Radeon RX 7600 XTにおいてもNavi 33 GPUを採用すると見られていますが、詳細な情報が現時点では出ていません。
未登場|RX 7500などのエントリーモデル
Radeon RX 7000シリーズの中でNavi 3x系GPUが採用されないモデルについてはRDNA 2改となるNavi 22SとNavi 23S GPUが搭載されると見られており、主にミドルレンジからエントリー向けモデルでこのような対応が取られると見られていますが、リーク情報自体は2021年に出て以来更新されていないため現在どのような計画かは明確にはなっていません。
Radeon RX 7000シリーズには6nm化されたRDNA 2も投入される可能性
Radeon RX 7000シリーズの在庫状況
AMDのRadeon RX 7000シリーズは12月24日時点では上位モデルのRX 7900 XTXとRX 7900 XTしか発売がされていません。この2モデルについては発売初日に初回在庫は完売するなど人気は高く、AMDが2022年内にRX 7900系GPUを20万台以上を供給するというリークが出ていますが、特にRX 7900 XTXについては品薄状態は解消されていません。
RX 7900 XTについてはRX 7900 XTXより人気が少し低いのか供給量が多いのか在庫がある例が出始めています。
Radeon RX 7000シリーズの在庫確認用リンク
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