HDDというと大容量かつ低コストであることから多くのデスクトップPCや一部ノートPCに搭載がされていますが、近年では大容量と低コスト化が顕著なNVMe SSDに押され気味のようで2022年Q2のHDD出荷台数は同四半期比で33%も下落したようです。
出荷量、前年比33%ダウンのHDD
ストレージ関連の情報を扱うサイト、Storage Newsletterによると2022年Q2(4月から6月)に記録されたHDD出荷量は前年同四半期比で33%低下が記録されたとのことです。
メーカー | HDD出荷量(百万) | 前四半期比 (%) | 前年同四半期比 (%) | 市場シェア |
Seagate | 19.8 – 20.6 | -10,4% / -13.8 | -26.9% / -29.7% | 44.3% – 44.7% |
Toshiba | 8 – 8.6 | -14.3% / -20.2% | -38.5% / -42.8% | 18.5% – 18.1% |
WDC | 16.5 – 17.3 | -12.4% / -16.5% | -31.4% / -34.6% | 37.2 % |
Total | 44.30 – 46.50 | -11.9% / -16.0% | -31.0% / -34.2% |
HDD大手としてはSeagate、東芝、Western Digitalの3社がありますが、すべてのメーカーで前四半期比で約10%以上の下落、前年同四半期比では30%を超える下落を記録されています。
モバイル向けの2.5inch HDDは40%減。一方でエンタープライズ向けでは底堅い需要
HDD合計としては前年同四半期比で33%の下落を記録しているHDDですが、エンタープライズ向け、3.5inch、2.5inchと各種別毎の記録も出ています。
まず、最も下落が激しいのがモバイル向けとなる2.5inch HDDで前年同四半期比では40%の下落が記録されています。この大幅下落の原因としては、モバイル向けでは近年軽量、薄型化そして省電力化に伴いNVMe SSDを搭載する傾向が大きく、さらにNVMe SSDの価格も安価になりつつあるためとされています。
自作PCやデスクトップ向けで最も一般的な3.5inch HDDについても前年同四半期比では30%の下落が記録されています。3.5inch HDDについても、近年は読み、書き性能が高い重視NVMe SSDを搭載する傾向にあることや、2021年4月から6月にかけて一時的に話題となったHDDなどストレージ容量を使ってマイニングするChiaによる一時的な需要拡大の影響も指摘されています。
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主にコンシューマ向けでは出荷量激減となっているHDDですが、底堅い動きを見せているのがエンタープライズ用途となっています。これらのHDDでは前年同四半期比では下落が見られるものの、その主な原因は半導体や部品の供給不足であると見られています。
コンシューマ用途においてはHDDはシェアが低くなる見込みですが、エンタープライズ用途においてはクラウドサーバーやHPCにて安価で大量のストレージが供給できるHDDは必要不可欠な存在であり、今後も底堅い需要が見込まれているようです。
HDDについては丁度去年の4月〜6月辺りにChiaが一時的にブームとなっており、10TBや16TBなど大容量HDDが品薄状態になっていましたが、その影響も今回のコンシューマ向けHDD需要減には若干影響してそうです。ただ、最も大きな原因としてはやはりNVMe SSDの価格下落でモバイル向けでは2.5inch HDDを搭載しているのは家電量販店で売っている国産メーカーのラップトップぐらいしか見つけることができず、デスクトップでも1TBのNVMe SSDを搭載してHDDは非搭載という選択をする人も増えています。
ただ、今後も写真や動画など安価に大容量コンテンツを保存する用途においてはHDDの重要性については変わらないと考えられ、実際にエンタープライズ用途では需要がほとんど変わっていないため今後もHDDの大容量化と低価格化は続くと考えられます。
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