Intel Alder Lake-S内蔵GPUを2.4GHzにオーバークロック。性能60%増し

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Intelの第12世代CPU、Alder Lake-Sの内蔵GPUにはXeアーキテクチャーを採用したIntel UHD Graphicsが搭載されていますが、このIntel UHD Graphicsを定格最大1.45GHzから限界までオーバークロックし、2.4GHzの動作クロックでの動作を実現が記録されたようです。

目次

Alder Lake-S搭載、Intel UHD 770の限界に挑戦

Intel Alder Lake’s Integrated UHD Graphics 770 GPU Overclocks Like Crazy, Almost Hits 2.4 GHz on Water Cooled Setup With Over 60% Performance Gains (wccftech.com)

Intelの第12世代CPUであるAlder Lake-Sに内蔵されているGPUにはIntel UHD Graphics 770が搭載されています。このIntel UHD Graphics 770は既にRocket Lake-Sから採用がされていたIntel UHD Graphics 750とアーキテクチャー面ではほとんど同じで、Xe-LPアーキテクチャーを採用した第12世代の内蔵グラフィックスアーキテクチャーとなっています。

ただ、Alder Lake-Sに搭載されているUHD Graphics 770ではRocket Lake-Sに搭載されているIntel UHD Graphics 750に対して製造プロセスが14nmから10nm(Intel 7)プロセスに進化しており、ブーストクロックについてはUHD 750が1.3GHzに対して、UHD 770では1.45GHzに向上しています。

今回、SkatterBencherと呼ばれるYoutuberがこのUHD Graphics 770を搭載するCore i9-12900Kを水冷化し、限界までオーバークロックしてどれぐらいのパフォーマンスを引き出せるか検証を行っています。

万人受けでは無い内蔵GPUのオーバークロック

SkatterBencher #33: Intel UHD Graphics 770 Overclocked to 2378 MHz – SkatterBencher

内蔵GPUのオーバークロックに関しては、BIOS内の多くの設定を触るため万人向けでは無いようです。今回、2.4GHzを実現するには、CPUやその他コンポーネントに大きな影響を及ぼすBCLKクロックを変更する必要があるとの事です。そのため、BCLKを変更する事によって電圧設定の変更やP-Core、E-CoreのRatio Limitの変更など変更箇所が多岐に渡るため、オーバークロックの経験が豊富な方でない限り、手を出さない方が無難です。

ちなみに、今回の検証動画で使われているマザーボードはASUS ROG Maximus Z690 Extremeとの事で、同じマザーボードを持っていれば以下の設定を掛けると2.4GHzを実現できるかもしれません。

Alder Lake-S GPU 2.4GHz化のための設定方法(英語)
  • Go to the Extreme Tweaker menu
  • Set Ai Overclock Tuner to XMP II
  • Set BCLK Frequency to 116
  • Set ASUS MultiCore Enhancement to Enabled – Remove All Limits
  • Set DRAM Frequency to DDR5-6264MHz
  • Set Performance Core Ratio to By Core Usage
    • Set 1-Core Ratio Limit to 48
    • Set 2-Core Ratio Limit to 48
    • Set 3-Core Ratio Limit to 47
    • Set 4-Core Ratio Limit to 47
    • Set 5-Core Ratio Limit to 46
    • Set 6-Core Ratio Limit to 45
    • Set 7-Core Ratio Limit to 44
    • Set 8-Core Ratio Limit to 44
  • Enter the Specific Performance Core submenu
    • Set Performance Core0 Specific Ratio Limit to 48
    • Set Performance Core1 Specific Ratio Limit to 48
    • Set Performance Core2 Specific Ratio Limit to 47
    • Set Performance Core3 Specific Ratio Limit to 48
    • Set Performance Core4 Specific Ratio Limit to 47
    • Set Performance Core5 Specific Ratio Limit to 48
    • Set Performance Core6 Specific Ratio Limit to 47
    • Set Performance Core7 Specific Ratio Limit to 48
  • Leave the Specific Performance Core submenu
  • Set Efficient Core Ratio to By Core Usage
    • Set Efficient 1-Core Ratio Limit to 35
    • Set Efficient 2-Core Ratio Limit to 35
    • Set Efficient 3-Core Ratio Limit to 35
    • Set Efficient 4-Core Ratio Limit to 35
    • Set Efficient 5-Core Ratio Limit to 34
    • Set Efficient 6-Core Ratio Limit to 34
    • Set Efficient 7-Core Ratio Limit to 34
    • Set Efficient 8-Core Ratio Limit to 34
  • Enter the Specific Efficient Core submenu
    • Set Efficiency Core Group0 Specific Ratio Limit to 36
    • Set Efficiency Core Group1 Specific Ratio Limit to 35
  • Leave the Specific Performance Core submenu
  • Enter the AVX Related Controls submenu
    • Set AVX2 Ratio Offset to per-core Ratio Limit to User Specify
    • Set AVX2 Ratio Offset to 2
  • Leave the AVX Related Controls submenu
  • Enter the AI Features submenu
    • Set Regulate Frequency by above Threshold
  • Leave the AI Features submenu
  • Set Max. CPU Cache Ratio to 34
  • Set Max. CPU Graphics Ratio to 41
  • Set BCLK Aware Adaptive Voltage to Enabled
  • Set CPU Core/Cache Voltage to Adaptive Mode
    • Set Additional Turbo Mode CPU Core Voltage to 1.425
  • Set CPU Graphics Voltage to Offset Mode
    • Set Offset Mode Sign to +
    • Set CPU Graphics Voltage Offset to 0.35

内蔵GPUを2.4GHzにオーバークロック。性能は最大60%向上

内蔵GPUを2.4GHzまでオーバークロックする事で、GPUパフォーマンスに関しては最大で60%程度にまで向上しています。

Geenkbench OpenCLでは14410ptを記録しており、AMD Ryzen 5000Gなどに搭載されているRadeon Vega 8(8711pt)を大幅に超え、AMD Ryzen 5 2400Gに搭載されていたRadeon Vega 11と同等のスコアを記録しています。また、動作クロックが大幅に異なるもののEU数が96基を搭載するIris Xe Max(16880pt)の背中が見えてくるぐらいのパフォーマンスにまで上げられています。

グラフィックス性能の他に、内蔵GPUをオーバークロックする事でQSVの性能も向上しています。そのため、Handbreakeでの動画エンコードでは115%ほど向上しています。

なお、非常に大きなパフォーマンス向上が果たされていますがIntel UHD Graphics 770自体、定格動作で最大15Wの消費電力となっているため、今回動作クロックを大幅に引き上げても平均25W、最大でも32W程度しか無いとの事です。また、水冷化の影響もありますが、GPUの温度は60度以下を維持しておりCPUを最大負荷で運用するなどをしなければ安定して内蔵GPUを2.4GHzで動作する事が可能との事です。

Core i7-12700Fのベンチマーク出現。Ryzen 7 5800Xより10%高速に

Intel UHD Graphics 770はXe-LPアーキテクチャーが採用されていますが、予想以上にオーバークロック耐性は高いようです。Iris Xe Maxなどはモバイル向けのTiger Lakeなどに内蔵されたGPUとなっているため、このようにオーバークロックをする事は出来ませんが、限界まで引き上げればエントリー向けのディスクリートGPUに対抗できる性能を出せそうな気がしますね。ただ、設定項目が多く性能は60%増しとは言え、性能的には実用性が皆無に近いのでロマンの領域ですね。

ただ、今回出現したIntel UHD Graphics 770と同じGPUアーキテクチャーを採用するデスクトップ向けGPU、Arc Alchemistでは動作クロックが2.2~2.5GHz程度の高クロックでの動作になると言われていますが、このIntel UHD Graphics 770でのオーバークロック結果を見ると実現の可能性は高いという事は言えそうです。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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