2022年1月頃に発売が予定されているAlder Lake-Sの中で、エントリーモデルに当たるCore i3-12100のサンプル品の詳細ベンチマークが出現しました。
エントリーモデル Core i3-12100のベンチマーク出現
2021年11月にIntelはAlder Lake-Sの発売を行いましたが、この時点ではハイエンド寄りのCore i9、i7、i5のKバリアントのみ発売となっています。Intelでは引き続き2022年1月にミドルレンジからエントリー寄りのモデルであるCore i5、Core i3やPentium等のリリースを予定しています。
今回その中のミドルからエントリーモデルに属するCore i3-12100のQS品を台湾のXFastestが入手し、CPUベンチマークやゲーミングなどでテストをしています。
Core i3-12100ではAlder Lakeの特徴でもあるハイブリッドアーキテクチャーは採用されず、高性能コアであるP-Core(Golden Cove)を4コア搭載し、8スレッドとなっています。L3キャッシュは12MBとなっており、Core i5-12600の20MBからは大幅に減らされています。
CPUの動作クロックとしては、ブースト時は最大4.3GHzとなっていますが、TDPについてはベースが60Wとなっています。
ベンチマークはZ690マザーボードで行われており、メモリーにはDDR4-3600が搭載された状態で行われているため、Core i3-12100を購入する層を意識した現実的な構成となっています。
マルチコア性能はCore i7-9700並みに
今回のベンチマークはCore i3-12100の他に、Ryzen 3 3300XとRyzen 3 3100と比較が行われています。
3DMarkのCPUやCinebench R23などCPU性能に特化したベンチマークでは、Core i3-12100はRyzen 3の2モデルを大きく超えるスコアを発揮しており、Cinebench R23に関しては、Core i3-12100のシングルコア性能が1649pt、マルチコア性能が8474ptとなっています。シングルコア性能ではRyzen 3 3300Xに対しては29%、Ryzen 3 3100に対しては44%上回るスコアとなっています。
マルチコアに関しても差はシングルコアと同等で、Ryzen 3 3300Xに対して26%、Ryzen 3 3100に対しては41%ほどCore i3-12100が上回るスコアを記録しています。
なお、Cinebench R23のマルチコア性能が8474ptと言うのはIntel CPUで言うとCore i7-9700(8540pt)と同等レベルであり、2年半前に登場したハイエンドモデルに対してエントリーモデルが追いついた事になります。
動画編集では圧倒的な強さを発揮
動画編集ソフトであるAdobe Premiere Proをどれだけ快適に動かせるか計測するPugetBenchではCore i3-12100はAMD Ryzen 3に対して圧倒的な大差をつけた計測結果を出しています。特に動画の書き出しについては2倍近いスコアを、プレイバックについても36%上回るスコアを出しているため、動画編集などを考えているユーザーにとっては少ないコストで組み立てれるCore i3-12100は魅力的な選択となるかもしれません。
ゲーミング時のFPSも良好
ゲーミング時の快適性を計測したスコアにおいても、Core i3-12100は高いシングルコア性能を大いに活かしたスコアを記録しています。ベンチマークはGeForce RTX 3060 Tiで行われたため、Cyberpunk2077では1080p環境下ではGPUがボトルネックとなりスコアは横並びで80FPSとなっていますが、DLSSを適用した状態ではCPUがボトルネックとして現れ始めますが、Core i3-12100は145FPSを記録する一方で、Ryzen 3 3300Xは126FPS、Ryzen 3 3100は100FPSと大きな差が付きます。
シングルコア性能が顕著に表れやすいCounter Strike:Global OffenceにおいてもCyberpunk2077と同様の傾向が見られており、Ryzen 3系が230台のFPSを記録する中、Core i3-12100は256FPSを記録しており一歩抜きん出ています。
性能は良好だが、CPU温度とTDPは低く抑えられている
Intel製CPUは近年、ブーストクロックが非常に高く設定されておりベンチマークスコアが高くても、CPU温度やTDPについても同様に高いという傾向がありましたが、Core i3-12100ではCPU、TDP共に低めに抑えられています。CPU温度については、ストレステストでもあるAIDA64のCPUを動作させた状態でも43度、FPUでも64度が平均値となっており、Ryzen 3シリーズより低めの発熱となっています。
TDPについても似た結果となっています。Core i3-12100はAIDA64 CPUではパッケージ消費電力の記録は38Wとなっており、FPUでも64Wと低い値を記録しています。TDPについては全体的にRyzen 3 3100が最も低く、Core i3-13100はRyzen 3 3300とRyzen 3 3100との間ぐらいの値を記録していますが、他のベンチマーク性能でこの2つのCPUを大きく上回る場面も多いことからワットパフォーマンス面では良好と言えそうです。
Core i3-12100についてはGolden Coveを4コアのみ搭載していますが、ゲーミングから動画編集なども快適に行えるだけの性能を有しているように見えます。恐らく、ゲーミングPCを求めるユーザーでも、CPU性能がここまで高ければRTX 3060 Tiなど上位寄りのミドルレンジGPUを積む構成であれば、Core i3-12100でもCPUがボトルネックとなる事はあまり無いかもしれません。Core i3-12100も2022年1月に登場すると見られますが、価格次第では非常に高い人気を誇るCPUとなりそうです。