2021年12月7日に発売が開始される予定となっているGeForce RTX 2060 12GB版について、VRAM容量以外は通常のRTX 2060と同じになると見られていました。しかし、最新のリーク情報によるとCUDAコアの数など仕様的にはRTX 2060 Superに近い物になる可能性が出てきています。
RTX 2060登場から約3年。性能強化モデル投入へ
NVIDIA GeForce RTX 2060 12GB to feature 2176 CUDA cores, 184W TDP – VideoCardz.com
NVIDIAのGeForce RTX 2060は2019年1月に開催されたCES2019にて発表が行われたミドルレンジグラフィックカードになっており、当初は現行のRTX 3060と似通った価格帯で販売が行われています。そんなRTX 2060ですが、2022年も引き続きグラフィックカードの供給に対して需要が大きく上回るとNVIDIAは予測しているようです。
そのため、2021年9月頃にはRTX 2060に当初搭載されていたGDDR6 6GBからGDDR6 12GBへVRAMを倍増させたモデルの計画がされていましたが、これに合わせてGPU自体の性能アップも行われる事がVideocardzの独自ソースによって明らかになっています。
CUDAコア数がRTX 2060 Superと同等レベルにまで強化
2021年9月頃にGeForce RTX 2060 12GB版の情報が出現した際は、VRAMに関しては12GBへ倍増されるものの、それ以外の仕様については、オリジナルのRTX 2060と同じく1920基のCUDAコアを搭載し、動作クロックは最大1680MHz、バス幅が192bitでメモリー帯域幅が336GB/sになると予測されていました。
しかし、新しい情報によると、このRTX 2060 12GB版ではVRAMのみならずCUDAコアなどGPUもアップグレードが行われるようです。
新しい情報では、GPUコアには引き続きGA106 GPUが使われますが、CUDAコアは1920基から2176基とRTX 2060 Superと同じコア数に増えており、これに伴いレイトレーシングを担うRTコアも30基から34基に増えています。動作クロックについても、ブースト時の動作クロックがRTX 2060 Superと同じ1650 MHzに設定されている事から、GPU自体はRTX 2060 Superのものをそのまま流用したモデルが搭載されると見られています。
一方で、メモリー関係についてはVRAMが12GBに倍増されるものの、メモリーモジュールを2倍にしただけのため、バス幅はRTX 2060と同じく192-bitのままになります。RTX 2060 Superではバス幅が256-bitとなっていますが、この点は異なる所となっています。
GPUのRTX 2060 Super化やVRAMを2倍搭載する事となるため、TDPに関してはRTX 2060の160W、RTX 2060 Superの175Wを上回る184Wになると見られており、消費電力に関しては比較的高めになるようです。
モデル名 | NVIDIA GeForce RTX 2060 | NVIDIA GeForce RTX 2060 12GB |
NVIDIA GeForce RTX 2060 Super | NVIDIA GeForce RTX 3060 | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti | NVIDIA GeForce RTX 3070 |
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GPU SKU | Turing TU106-300 | Turing TU106 | Turing TU106-150 | Ampere GA106-300 | Ampere GA104-200 | Ampere GA104-300 |
製造プロセス | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm | Samsung 8nm | Samsung 8nm | Samsung 8nm |
CUDA コア | 1920 | 2176 | 2176 | 3584 | 4864 | 5888 |
RTコア | 30 | 34 | 34 | 28 | 38 | 46 |
ベースクロック | 1365 MHz | 1470 MHz | 1470 MHz | 1320 MHz | 1410 MHz | 1500 MHz |
ブーストクロック | 1680 MHz | 1650 MHz | 1650 MHz | 1780 MHz | 1665 MHz | 1730 MHz |
VRAM仕様・容量 | 6GB GDDR6 | 12GB GDDR | 8GB GDDR6 | 12 GB GDDR6 | 8 GB GDDR6 | 8 GB GDDR6 |
バス幅 | 192-bit | 192-bit | 256-bit | 192-bit | 256-bit | 256-bit |
帯域幅 | 336 Gbps | 336 Gbps | 448 Gbps | 360 Gbps | 448 Gbps | 448 Gbps |
TDP | 160W | 184W | 175W | 170W | 200W | 220W |
発売日 | 2019/6/9 | 2021/12/7 | 2019/1/14 | 2021/2/1 | 2020/12/1 | 2020/10/29 |
GeForce RTX 3060とRTX 2060 12GB版の性能が同等レベルに
仕様的に、GeForce RTX 2060 12GB版はRTX 2060 Superとほとんど変わらない状態となりましたが、この変更によって現行モデルであるRTX 3060との性能差が小さくなると見られています。
NVIDIA GeForce RTX 2060 Super Review – Performance Summary | TechPowerUp
EVGA GeForce RTX 3060 XC Review – Relative Performance | TechPowerUp
TechPowerUpがまとめているベンチマーク結果では、RTX 2060とRTX 2060 Superの間には10%程度の差が、RTX 2060とRTX 3060の間では19%の差が存在しています。一方で、RTX 2060 SuperとRTX 3060に対しては6~8%の差に留まっており、この差は解像度が1080pから4Kにおいても同様の結果になっています。
RTX 2060 12GB版では4Kなど高解像度でゲームをプレイする際には192-bitと言うバス幅が足を引っ張りスコアはRTX 3060に対して10%程度差を空けるかもしれませんが、1080pや1440pと言う環境下ではRTX 3060に対して大きな差は出ない可能性があります。
ちなみに、なぜここまで差が出ないかと言うと、RTX 3060はCUDAコアが3584基とRTX 2060 Superに比べて大きく増えていますが、バス幅が192-bitと所で足を引っ張られて性能が伸び悩んでいると見られています。
RTX 2060 Superに関しては価格は$300台で販売が行われると見られており、ポジショニング的にはレイトレーシングが可能なモデルのエントリーモデルとなっています。ただ、実売価格については結局$400(日本円で5万円程度)になると見られていますが、RTX 3060の最安値が日本では6.5万円である事を考えると、数%の性能差に1万円以上のお金を掛けるかと言う所に尽きますので、RTX 2060 12GB版がこの仕様で登場すれば、RTX 3060を買う意義はほとんどなくなってしまいます。
RTX 2060 12GB版のGPU仕様がRTX 2060と同じであれば、GTX 1660 TiからRTX 2060 12GB版、RTX 3060との間に明確な性能差が存在する状態となっていましたが、RTX 2060 Super化する事でRTX 2060 12GB版とRTX 3060の間の差がほとんどなくなった状態となります。このようになってしまうと、結局コストパフォーマンスで考えるとRTX 2060 12GB版にほとんどのユーザーは流れてしまい、RTX 3060は見向きもされないと思うのですが、今後NVIDIAとしてはRTX 3060に改良を施すなどを計画しているのでしょうかね。
今もこのリーク情報が最新かは分かりませんが、2021年9月下旬にはRTX 3060 Superと言うモデルが計画されており、そのモデルでは5632基のCUDAコアを搭載し、バス幅は256-bitになると言われています。もしこれがリリースされるのであれば、RTX 3060 Tiの価格をRTX 3060と同等に下げ、RTX 3060 Tiの価格でRTX 3060 Superを発売すればラインアップ毎の性能差と価格差が明確になり、良いとは思うのですがどうなるのか今後の動向には注目です。
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