AMDが2022年頃に発売を予定しているRDNA3アーキテクチャーを採用するRadeon RX 7000シリーズですが、このRDNA3アーキテクチャーにもCPUのRyzenやEPYCなどで採用されている3D V-Cache技術を応用した3D Infinity Cacheが搭載されるようです。
RDNA3では3D V-Cache技術をInfinity Cacheに応用
AMDでは2022年1月頃から3D V-Cache技術を採用したCPUのRyzenやEPYC、Threadripperなどのリリースを計画しています。この3D V-CacheはCPUのダイの上にキャッシュを重ねて搭載する技術となっておりAMDでは数年前から研究開発を進めていたようです。
そんな、3D V-Cache技術ですが、CPUに留まらず2022年末頃に発売が予定されているRadeon RX 7000シリーズで採用される新規アーキテクチャーのRDNA3のInfinity Cacheにこの3D V-Cache技術を応用したものが搭載される事がGPU系のリークを数多く出しているGreymon55氏によってリークされています。
3D IFC
— Greymon55 (@greymon55) November 8, 2021
N31
N32— Greymon55 (@greymon55) November 8, 2021
MCDに512MBのInfinity Cacheを搭載。
RDNA3では上位モデルでは現行のRDNA 2の最上位モデルNavi21に採用されている256MBのInfinity Cacheから二倍の512MBのInfinity Cacheが搭載されると言われています。
さらに、ハイエンドモデルに当たるNavi31とNavi32についてはGPUを2つ搭載したMCM構造を採用しており、GPUダイを指すGraphics Core Die(GCD)を2つ搭載し、これらを1つのMulti Cache Die(MCD)と呼ばれるキャッシュ専用ダイに繋がれるとの事です。
AMDでMCM構造を採用するRyzen CPUを例にRDNA3の構造を説明すると、GCDがCPUダイに当たるCCD、MCDがI/Oダイとなるようです。
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今回、Greymon55氏がリークしている3D IFC(3D Infinity Cache)についてはInfinity Cacheという事でMCD側に搭載されるキャッシュの事を指している可能性があります。このMCDにはRyzenやEPYC CPUに採用される予定の3D V-Cache技術を応用したInfinity Cacheが搭載され、この積層技術を採用する事で256MBから512MBにキャッシュ容量を増やすものと見られています。この3D Infinity Cacheを採用する事で、キャッシュ容量を増やしつつMCDの肥大化を防ぎGCDなどにダイ面積を割り当てる事を目論んでいるのかもしれません。
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このMCM構造を採用したRDNA3については2021年11月8日に発表があったCDNA2アーキテクチャーを採用したMI200シリーズアクセサレーターでRDNA3に繋がるヒントが得られる可能性もありましたが、この発表会ではMI200シリーズの概要と性能しか発表されておらず詳細な仕組みについては明らかになっていません。今後MCMに関する説明なども行われていくと見られており徐々にRDNA3に繋がるヒントなどが公開されていくものと考えられます。
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AMDではCPUで採用した技術をGPUにも応用していく姿勢が鮮明となっています。例えばInfinity Cacheなどは元々はEPYCに搭載されていたL3キャッシュをGPUに持ってきていますが、MCM構造や今回の話題でもある3D Infinity Cacheについても、元々は2022年頃から発売がされるEPYCやRyzenに搭載される3D V-Cache技術がベースになっているものと考えられます。
この技術の応用を見ていると、研究開発はCPUで済ませ、応用としてGPUに採用する事でダブる研究開発を極小化し、リソースを効率よく利用出来ていると考えられます。AMDはNVIDIAやIntelに比べて規模は劣りますが、この両者と競い合えるようなCPUやGPUを立て続けに出せるのは、このように研究開発の成果を他の製品に転用する事を前提に研究開発が行われているのが秘密なのでは無いかと考えられます。
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