NVIDIAでは現在、モバイル向けGPUとしてはGA104 GPUを採用するGeForce RTX 3080が最も性能が高いモデルとして君臨していますが、近々GA103 GPUを採用したGeForce RTX 3080 Tiを投入するようです。
モバイル向け最速モデルとしてGeForce RTX 3080 Tiが投入へ
NVIDIAではCES2022にてデスクトップ向けやモバイル向けのGeForce RTX 3000シリーズの新モデルのリリースを予定していますが、その中のモバイル向けとなる製品にGA103 GPUを搭載したGeForce RTX 3080 Tiと呼ばれるモデルの投入を予定しているようです。
PCI Device IDに登録されたモバイル向けGeForce RTX 3080 Ti
このモバイル向けGeForce RTX 3080 Tiと呼ばれる製品の名称はTechPower UP GPU-ZのBIOSデータベースの編集をするMatthwe Smith氏によって明らかにされています。
Official name right now is
GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUDev ID 2420
— Matthew Smith (@T4CFantasy) October 30, 2021
Matthew Smith氏によると、モバイル向けGeForce RTX 3080 TiではNVIDIAのAmpereアーキテクチャーを採用するGPUとしては未投入のGA103 GPUを搭載しており、デバイスIDは2420と呼ばれているようです。
このGPU情報の出所について、Videocardzが直接Matthew氏に問い合わせたところ、元々はPCI Device ID Databaseに掲載が行われていたとの事です。
最初はこのPCI Device ID 2420に対して『GN20-E8』と呼ばれるデバイス名がFaintsnowと呼ばれるユーザーによって登録が行われました。その後、このデバイスに対して『GA103』と言うコメントが数分後に登録されています。これに対して、AlbertPと言うユーザーが『このID2420の製品名を教えてください』と質問をしたところ、Faintsnow氏が『GA103 [GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU]』であるとコメントを返しています。
このFaintsnow氏が一体誰なのか、過去にこのデータベース上で未発表製品に関する情報を掲載した実績があるのかなどは不明なものの、このPCI Device ID DatabaseはGPUなどの開発に近い関係者によって維持されている側面があるため、この情報が全く根拠のない情報ではない可能性が高いと見られています。
このGA103 GPUを搭載するGeForce RTX 3080 Tiの仕様については、7680基のCUDAコアを搭載し、VRAMは8GBまたは16GBのGDDR6、バス幅は256bitになると予想がされています。
名称が流動的なRTX 3000シリーズの新モデル
今回の記事ではGA103 GPUの名称はGeForce RTX 3080 Tiと紹介していますが、この名称についてGPUリークに定評があるkopite7kimi氏はGeForce RTX 3090になるのではないかと指摘をしています。
maybe 3090M
— kopite7kimi (@kopite7kimi) October 30, 2021
一方で、過去にLenovo製のラップトップに関する資料が流出した際にはGeForce RTX 3080 Superの名称が出現しており、このGA103 GPUなどを搭載するRTX 3000シリーズの新モデルに関しては名称がまだ確実には決まっていない可能性がありそうです。
モバイル向けRTX 3000 Superシリーズが2022年初めに投入
なお、このGA103 GPUを搭載するGPUの仕様については、7680基のCUDAコアを搭載し、VRAMは8GBまたは16GBのGDDR6、バス幅は256bitになると予想がされています。
GPUモデル | GeForce RTX 3080 Ti?? | GeForce RTX 3080 | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 3060 | GeForce RTX 3050 Ti | GeForce RTX 3050 |
---|---|---|---|---|---|---|
GPU | GA103 | GA104-775 | GA104-770 | GA106 | GA107 | GA107 |
Stream Multiprocessors | TBA | 48 | 40 | 30 | 20 | 16 |
CUDAコア | TBA | 6144 | 5120 | 3840 | 2560 | 2048 |
ベースクロック | TBA | 1245 MHz | 1290 MHz | 1283 MHz | 1035 MHz | 1057 MHz |
ブーストクロック | TBA | 1710 MHz | 1620 MHz | 1703 MHz | 1695 MHz | 1740 MHz |
メモリー速度 | TBA | 12 Gbps | 12 Gbps | 12 Gbps | 11 Gbps | 11 Gbps |
メモリー仕様・容量 | GDDR6 | GDDR6 8/16GB | GDDR6 8GB | GDDR6 6GB | GDDR6 4GB | GDDR6 4GB |
バス幅 | TBA | 256-bit | 256-bit | 192-bit | 128-bit | 128-bit |
帯域幅 | TBA | 384 GB/s | 384 GB/s | 288 GB/s | 176 GB/s | 176 GB/s |
cTDP | TBA | 80-150W+ | 80-125W | 60-115W | 35-95W | 35-95W |
投入時期 | Q1 2022? | Q1 2021 | Q1 2021 | Q1 2021 | Q2 2021 | Q2 2021 |
Alder Lake-SのTurbo Boostは定格の1.3倍のパフォーマンスを発揮
モバイル向けGPUと言うとAppleのM1 Maxが最近話題になっていますが、NVIDIAとしては消費電力はさておき、純粋なパフォーマンスについて更に追及をしていくようで現行のモバイル向けRTX 3080を上回る性能のモバイル向けGPUを投入するのは確実と言えそうです。ここで投入される予定のGA103については最大で7680基のCUDAコアを搭載できるため、現行のモバイル向けRTX 3080(5120基)に対しては最大で1.5倍多くのCUDAコアを搭載が可能となっています。
実際には7680基から1割から2割程度CUDAコアを無効化すると考えられますが、それでもRTX 3080に対してはパフォーマンスは大きく向上すると見られるので、名称としてはRTX 3080 Tiと言うよりはRTX 3090の方が適切と個人的には思えます。少なくとも現行GPUの改良版では無く、新GPUであるGA103を投入しているため、RTX 3080 Superは無いかなと思ってもいます。
コメント