2021年11月4日から発売が開始される予定のIntel第12世代CPU『Alder Lake-S』ではCPUのパッケージデザインが変更され、高さも1mmほど薄くなる事が既に明らかになっています。ただ、この高さの変更が従来までのCPUクーラーを流用するユーザーにとって大きな問題になりうる可能性が出てきています。
古いCPUクーラーをAlder Lake-Sに流用する場合は要注意
Alder Lake-SではRocket Lakeで使われていたLGA1200やその前のLGA15XX系CPUクーラーとの互換性が全くない、LGA1700ソケットが採用される予定となっています。このソケットではCPUクーラーのマウント位置が従来までの75mm x 75mmから78mm x 78mmに変更されます。
これに伴って既存のCPUクーラーとの互換性が無くなることとなりますが、一部のCPUクーラーメーカーはAlder Lake-Sに対応するためにLGA1700対応マウントを有償または無償で提供する措置を取ると見られていますが、wccftechの独自ソースによると、既存のクーラーにLGA1700対応マウントを搭載して流用する場合、適切に冷却が行えない可能性があるとの情報を得たとの事です。
LGA1700用に作らないとAlder Lake-S CPUと密着しない?
wccftechの独自ソースから入手した写真ではLGA1700用に作られた簡易水冷クーラーとLGA1700を想定していない簡易水冷クーラーとの比較が確認する事が出来ます。
この写真では左側からMSI K360、Corsair H115、Cooler Master MLとなっています。この中でMSI K360のみがLGA1700を想定して作られた簡易水冷クーラーで、それ以外は従来までの簡易水冷クーラーにLGA1700用マウントを搭載したものになっています。
写真を確認すると、MSI K360ではサーマルグリスが均等に付着している一方で、他のモデルでは中央部分にサーマルグリスが全く付着していない状態になっています。これが意味する事は、CPUクーラーが搭載された状態では、中央部分が浮いておりCPUとほとんど接触していないという事となります。
Alder Lake-S最上位モデルでもあるCore i9-12900Kでは定格でも全コアに負荷がかかれば250W近い消費電力になると言われています。そのため、高い冷却性能が求められますが、このようにCPUクーラーの一部が密着しない状態では、効率よく冷却が出来ず、高負荷時のパフォーマンス大幅低下や最悪の場合、高温による強制シャットダウン発生に繋がってしまいます。
Core i9-12900Kのベンチマークが複数登場。ただし爆熱気味。
CPUとクーラーが密着しない原因はCPUの高さ変更?
Igor’s Labが入手したLGA1700の仕様を示した図面によると、従来までのLGA1200 CPUまではマザーボードからCPU頂点までの高さは7.312~8.249mmの間を狙って設計がされているとの事です。一方でLGA1700ではマザーボードからCPU頂点までの高さが6.529~7.532mmと約0.7mmほど低下しており、この高さの低下によってLGA1700を元から想定して作られていないCPUクーラーでは適切な圧力でCPUを押さえる事が出来ず、wccftechが入手した写真のようにCPUとCPUクーラーの間にムラが出来てしまうようです。
今回、wccftechが入手した画像では後付けでLGA1700に対応した簡易水冷クーラーは肝心な中央部分がほとんど接触していないという悲惨な事になっていますので、Alder Lake-S発売初日から最高パフォーマンスを得たいと考えている方は素直にLGA1700対応を謳うCPUクーラーに買い替えた方が安全と言えそうです。
原因については高さが低くなったから説がwccftechでは言われていますが、それなら単純に0.5mmぐらい下げた位置で固定するマウントに設計すればいいだけのように聞こえるのですがそんな簡単な話ではないのですかね。あまりCPUクーラーをマジマジと見る機会が無いので分かりませんが、この辺りの互換性問題についてはAlder Lake-Sが発売されれば海外レビューアーなどで取り上げられて様々な比較や検証を行ってくれるかもしれませんのでもし続報があれば紹介しようと思います。
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