Intelは第11世代から第14世代Core CPUに搭載される内蔵グラフィックス向けドライバーを、現行のArc GPUやCore Ultraシリーズとは別のレガシーブランチに分離することを正式に発表しました。これにより、これらの世代の内蔵グラフィックスは今後、アップデートの頻度が大幅に削減されることになります。
Core Ultraと従来Coreの内蔵GPUドライバーが分離
Intelが新たに公開した情報によると、第11世代Core(Tiger Lake、Rocket Lake)から第14世代Core(Raptor Lake Refresh)までのCPUに搭載される内蔵グラフィックスが、レガシーブランチへの移行対象となります。これにはAtom、Pentium、Celeronシリーズの一部モデルのほか、Intelが初めて投入したディスクリートGPUであるIris Xe DG1も含まれています。
従来、Intelの内蔵グラフィックス向けドライバーは「Intel Arc & Iris Xe Graphics」として、新旧問わず複数の世代のCPUとディスクリートGPUを同一のドライバーパッケージでサポートしてきました。しかし今回の変更により、第11~14世代向けには専用の「Intel 11th-14th Gen Processor Graphics」ドライバーが分離されることになります。
実際に、Intelは専用ドライバーとしてバージョン32.0.101.7076をリリース済みで、これは従来のArc & Iris Xe Graphicsドライバーのバージョン32.0.101.7029から分岐した形となっています。
ゲーム発売日のドライバーサポートが終了。今後は四半期ごとの更新に
旧世代の内蔵GPU用ドライバーが分離されたことに伴い、第11~14世代の内蔵グラフィックスでは以下の変更が実施されます。
- Day 0ゲームサポートの終了:新作ゲーム発売日に合わせた最適化ドライバーの提供を終了
- 四半期ごとの更新:従来の月次更新から年4回の更新に頻度を大幅削減
- セキュリティ修正と重要な修正のみ:安定性とセキュリティを重視した最低限の更新
一方で、新しいXe/Xe2 Arcベースのグラフィックスを搭載するCore Ultraシリーズや、ディスクリートのArc GPUについては、引き続き月次更新とDay 0ゲーム対応ドライバーが提供されます。
対象製品には発売から2年以内のRaptor Lake Refresh。開発リソースを再配分?
今回レガシー扱いされることになるのは以下の世代のCPUです。
- 第11世代Core:Tiger Lake、Rocket Lake、Tiger Lake-H
- 第12世代Core:Alder Lake-S/H/P/U/HX/N、Twin Lake
- 第13世代Core:Raptor Lake-S/HX/H/P/U
- 第14世代Core:Raptor Lake-S/H/U Refresh
- Intel Atom、Pentium、Celeronシリーズの一部
- Intel Iris Xe DG1(ディスクリートGPU)
注目すべきは、2023年秋に発売されたRaptor Lake Refreshも対象に含まれている点です。これは発売からわずか2年足らずでレガシー扱いとなることを意味し、Intelが新しいArcアーキテクチャへのリソース集中を急速に進めていることを示しています。
なお、この変更により内蔵GPUでゲームをプレイしているユーザーは、最大3か月間ゲーム関連の修正を待つ必要が生じる可能性があります。ただし、IntelのCore Ultra世代前の内蔵GPUの性能は決して高いとは言えず、これらをゲームに使用しているユーザーは実際のところそれほど多くないのが現状です。そのため、Intelとしてはサポート体制を絞り、よりゲーム向けに最適化されたCore Ultraシリーズ向けにドライバー更新頻度を引き上げることで、AMDに対抗する意図があると見られます。特にCore Ultraシリーズ向けでドライバー品質が向上するのかなど、今後の変化に注目が集まりそうです。
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