グラボの販売台数が27%急増。関税によるパニック買いが原因
CPUやGPUといったPCハードウェアの売り上げは、例年は年末年始に盛り上がる一方、春〜夏は需要の一巡や買い控えで落ち込むサイクルを長年繰り返してきました。ところが調査会社Jon Peddie Research(JPR)の最新レポートによると、2025年第2四半期(Q2)のCPUおよびGPUの出荷台数が、季節外れの急伸を示したことが明らかになりました。
季節外れの販売急伸は関税への懸念

JPRがまとめたAIB製ディスクリートGPUの前年同期比推移を見ると、マイニングブームやコロナ後の景気減速、新製品投入などで上下する局面はあるものの、基本的にQ2は大きな動きが出にくい傾向があります(例外は2017年のマイニングブーム)。しかし2025年Q2は、前年同期比で22%、前期比で27%という異例の伸びを記録しました。
GPUだけでなく、CPUの総出荷台数も前期比8%、前年同期比13%増を示し、CPU・GPUともに3四半期連続での成長となっています。
この急増の主因は、米国で検討されている輸入関税への懸念です。導入されればディスクリートGPUやCPUなどのPCパーツは15〜25%の値上げが見込まれるため、コスト増を回避したいBTO・OEM各社や販売代理店、個人ユーザーまでが前倒しで調達・購入に動いたとみられます。
反動で売り上げが大幅減少する危機性も?
今回の伸びについて、JPRはあくまで駆け込み需要の影響であり、総需要そのものが拡大したわけではないと分析しています。本来はQ3またはQ4に発生するはずだった需要がQ2に前倒しされたに過ぎず、今後数か月は出荷台数が大きく落ち込むリスクがあるという見立てです。
実際、駆け込み需要の中心地である米国では、これまで高値だったGeForce RTX 5000シリーズやRadeon RX 9000シリーズの一部モデルで、定価を下回る動きが出始めているとの指摘もあります。年末にかけて需要が弱含む可能性が高く、関税の影響を直接受けない日本などの市場では、GPUやCPUの価格下落という“恩恵”を受けられる展開になるかもしれません。
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