2021年10月5日からアップグレードの提供が開始されたWindows 11ですが、AMDによるとWindows 11が動作するZen2およびZen 3アーキテクチャーを採用したRyzen CPUで最大10~15%ほどパフォーマンスが低下する問題が発生していると発表がありました。
L3キャッシュレイテンシー増加とスケジューリング機能に不具合が発生中
AMD: Windows 11 Slows CPUs Up To 15%, Patch Coming | Tom’s Hardware
2021年10月5日からWindows 11へのアップグレードが対応しているPC向けに開始され始めましたが、AMDによると対応するCPU(Ryzen、EPYCや一部Athlon)にてパフォーマンスが大幅に低下する不具合が発生しているとの事です。
AMDではこの不具合をPA-400と番号付けされた資料にまとめられており、2つの不具合が発生中との事です。なお、この2つの不具合は10月中にパッチが提供され修正が予定されているとの事です。
Windows® 11 Performance Variation in Certain Applications on Compatible AMD Processors | AMD
不具合その①:L3キャッシュのレイテンシー増加
Known Performance Changes |
Impact |
Resolution |
Measured and functional L3 cache latency may increase by ~3X. |
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1つ目の不具合はL3キャッシュのレイテンシーが最大3倍程度に増加するという不具合です。そのため、ゲームなどメモリー速度への依存度が高いソフトウェアではパフォーマンスの低下が顕著に見られるとの事です。
パフォーマンスとしては全体的に3~5%ほど低下し、一般的なeSportsタイトルでは10~15%ほどのパフォーマンスが一時的に低下する異常値が見られるとの事です。
一般的なeSportsタイトルが具体的に何かとは明示されていませんが、Counter Strike Global OffensiveやValorant、Apex LegendsなどeSportsタイトルに限らず多くのゲームではメモリーのレイテンシーには敏感なため3倍程度レイテンシーが増加すれば瞬間的なfpsの低下など快適性は大きく損なわれそうです。
不具合その②:スケジューリング機能の不具合
Known Performance Changes |
Impact |
Resolution |
UEFI CPPC2 (“preferred core”) may not preferentially schedule threads on a processor’s fastest core. |
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2つ目の不具合はスケジューリング機能で、CPPC2(Collaborative Processor Performance Controls 2)に基づいて最も早いコアにスレッドを適切に与えられていないとの事です。
一般的に、Ryzen CPUでは最も優れた性能を持つコアが工場出荷時点で記録されており、Windowsはこの優れたコアに対して優先的に仕事を割り振る事がCPU側では想定されています。ただしこの機能がWindows 11では上手く動いていないようです。
この不具合によって、1コアなどの少ないCPUスレッドに対して敏感なソフトウェアなどではパフォーマンスの低下がみられるとの事です。また、8コア以上かつTDP 65W以上のCPUではこれらの状況下でのパフォーマンス低下がより顕著に表れるとの事でユーザーはより簡単に体感が出来てしまうとの事です。この8コア以上かつTDP 65W以上のCPUとしてはRyzen 7以上のCPUとなります。
冒頭でも記載した通り、AMDではこれら2つの不具合を修正するパッチを2021年10月中に配信する予定との事です。
自分が持っているPCでは、Ryzen 9 5950Xを搭載しているのですが、Windows 11にアップデートした翌日にBattlefield 2042のベータ版に参加したのですが、60fpsを維持していたのに急に10fps程度に下がる事があったのはこれが原因なのでしょうかね・・・Windows 11を早く体験したいという事で不具合はある程度覚悟していましたので気長に待ちます。
もし、AMD製CPUを持っていてWindows 11へのアップグレードを検討している方は少し様子見とした方が良さそうです。
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