Nintendo Switch 2のゲームカードは性能不足の可能性
Nintendo Switch 2は現行のPlayStation 5向けに開発されるタイトルの動作にも対応するためチップセットの高性能化に加え、ストレージ関係も大幅な性能向上が図られています。
ストレージ | 規格 | 読み取り速度(理論値) |
---|---|---|
内蔵ストレージ(256GB) | UFS 3.1 | 最大1450 MB/s |
MicroSD Express | MicroSD Express (PCI Express 3.1 x1レーン) | 最大985 MB/s |
ゲームカード | eMMC | 最大400 MB/s |
Nintendo Switch 2には3つのストレージが存在し、それぞれで微妙に性能が異なっています。本体内蔵ストレージは転送速度が1450 MB/sに達するUFS 3.1を採用する一方で、外部ストレージであるMicroSD Expressは最大985 MB/s、ゲームカードはコスト削減のためeMMCが採用されていると言われており、読み取り速度は400 MB/s程度になると見られています。
そのため、特にこのゲームカードの速度については一部ゲームにおいては性能不足になることがUbisoftのゲームエンジン開発者より明らかになりました。
ゲームカードはデータストリーミング時に性能不足
Nintendo Switch 2のゲームカードを巡ってはゲーム本体を内蔵せずダウンロードが必要な「ゲームキーカード」が採用されるタイトルが多く、この動きについて一部では開発者が利便性を無視してコスト削減に走っていると否定的な意見も出ています。
しかし、UbisoftのゲームエンジンであるSnowdropエンジンでオーディオ関連のアーキテクトをしているRob Bantin氏によるとコスト削減のケースもあるものの、技術的な問題でゲームキーカードを採用していることを言及しています。
Bantin氏によると同社が開発した『Star Wars Outlaws』についてゲームキーカードを採用していることについて、コスト以前の問題として同社のSnowdropエンジンのオープンワールド環境を実現するにはゲームカードの性能では品質目標を満たすパフォーマンスが出せなかったとのことで、より高い読み取り性能がある内蔵ストレージまたはMicroSD Expressを使う形になったことを明らかにしています。
このStar Wars Outlawsは高速なSSDを前提にゲームが開発されており、高解像度テクスチャーなどを使っている場合は2000 MB/sなどのSSDでもカクつきが見られるなど高速な読み取り速度が必要な設計となっています。そのため、eMMCベースであると言われているNintendo Switch 2のゲームカードでは性能不足となるようで、最低でも1 GB/s近い速度を持つMicroSD Expressを使わなければ満足のいくパフォーマンスが発揮できないようです。
マリオカートワールドでも顕著だったロード時間差。MicroSD Expressの重要度が増す?
Nintendo Switch 2のゲームカードの遅さは任天堂が開発したマリオカートワールドにおいてもロード時間に顕著な差が出ており、本体内蔵ストレージでは約17秒、MicroSD Expressではロードが19秒で完了しているものの、ゲームカードは約25秒と一番遅くなっています。
Nintendo Switch 2 のゲーム読み込み速度はゲームカードが最遅。内蔵ストレージより50%近く遅い結果に
Bantin氏によるとゲームカードの速度に対応する形でゲームがはじめから検討されて作られていれば問題なく動作する可能性が高いとのことで、実際にマリオカートワールドも性能差はあるものの、その差はローディングが6秒遅い程度で収まっており、ゲームプレイに大きなパフォーマンス差は出ていません。
ただ、基本的にNintendo Switch 2のサードパーティ製タイトルの多くはPCやPS5向けに作られたゲームが移植される形のタイトルが多くなっています。また、この移植作業は最小限のコストで行おうとするパブリッシャーも多くなると考えられるため、わざわざゲームカードの性能に最適化するケースはかなり少なくなると考えられ、今後PCやPS5向けで発売されたタイトルで、Nintendo Switch 2向けに移植されたタイトルの多くはゲームキーカードなどを採用すると考えられます。そのため、サードパーティ製タイトルを重点的にプレイしたいユーザーは大容量のMicroSD Expressカードが必須となる状況と言えそうです。
コメント