製造中止目前で旧世代メモリのDDR4の価格が高騰中
PCなどに使われているメインメモリとしてAMDのZen 4以降、IntelのArrow LakeではDDR5のみをサポートしており、メインストリーム向けでも徐々にDDR5メモリが主流になりつつあります。一方で、Intel Raptor Lake CPUなどコストを優先したミドルレンジ向け製品ではDDR4を活用するケースもあるほか、産業用機器や自動車、Wi-Fiなど組み込み向け機器では依然としてDDR4が主力として活躍しています。
ただ、このDDR4は登場から既に10年以上が経過していることや、乗り換え先のDDR5も主力かつ価格が安価になり始めていることを背景にSK Hynixやサムスン、Micronなど大手DRAMメーカーの多くは2026年までにDDR4の生産を終了することを明らかにしていますが、この生産終了時期の決定によってなのかここ最近になりDDR4の価格が大幅高騰していることが明らかになっています。
DDR4がDDR5を超える価格で取引されている模様
台湾メディアのDigitimesによる最新の調査によるとDDR5の価格は下落する一方で、ここ最近の傾向としてDDR4の価格は上昇と一途を辿っているようです。
- DDR4 16GB (2Gx8) チップ: 9.17ドル (7月から約7%上昇)
- DDR5 16GB (2Gx8) チップ: 5.99ドル (7月から3%下落)
DRAMチップのスポット価格はDDR5に対して、DDR4は約53%高値で取引されているとのことでDDR4の生産終了に向けて徐々に減産されていく中で需要が減らない状況になっています。
DDR4の需要が高めでも生産終了に踏み切る理由は「AI」
DDR4は古い規格ではあるものの、2025年時点ではコンシューマー向けでも対応製品がまだ売られているほか、多くの組み込み機器などでも使われているメモリになっています。そのため、スポット価格の値上がりが示す通り一定の需要はありますが、それでも各社DRAMメーカーが生産終了に向けて動いている背景にはDDR4よりも非常に高単価で需要があるHBMなどに生産能力を割り当てることを目論んでいると見られています。
最終製品のDDR4価格はまだDDR5より安めだが価格差は縮まる


Digitimesが取り上げているDDR4とDDR5価格はブローカーを介して販売されているスポット価格であるため、PCなどで使われるDDR4とは仕入れ方法などが異なっています。ただ、それでも価格相場を見るとDDR4の16GBx2枚セットの最安値が7,480円に対して、DDR5 16GBx2枚セットは10,179円となっており価格差は3000円にも満たない状況です。また、DDR4自体の価格も2025年春ごろまでは16GBx2枚セットで6,000円を切っていた製品も多かったためジワジワと値上げに転じているようです。
そのため、この状況を踏まえると現在DDR4プラットフォームを使っていて近いうちにメモリー増設を検討している方は早いうちに購入した方が賢明かもしれません。一方で、これからPCを組み当てると言う方は例えばIntel Raptor Lake (LGA1700)系を組む時はDDR5を選択した方が将来的な拡張性や保守性を考えると賢明と言えます。
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