IntelのCFOがArrow Lakeが市場の期待に応えられない性能だった事を認める
Intelが2024年に発売したArrow Lake世代のCPUは、特にデスクトップ向けで期待されたほどのゲーミング性能を発揮できず、同時期に登場したAMDの3D V-Cache搭載Ryzen 9000X3Dシリーズに大きく劣る場面が目立ちました。その結果、レビュー評価は伸び悩み、販売面でも苦戦していると見られます。
一方でIntelは、Arrow Lakeの改良を繰り返し予告し、巻き返しの姿勢を示してきました。しかし、ドイツ銀行主催のテクノロジー会合で、同社CFOがArrow Lakeの失敗を事実上認める発言を行いました。
デスクトップ向けArrow Lakeでは「しくじった」
ご存知のように、我々はデスクトップ側、特に高性能デスクトップ側で、フットボールで例えるとボールを落としてしまいました。(しくじった)。出荷台数ベースのシェアに比べて、収益ベースのシェアで我々が振るわないのは、主に、今年はこのハイエンドデスクトップ事業で良い製品を提供できなかったからです。
David Zinsner - Intel CFO (Deutsche Bank 2025 Technology Conference)
Intel CFOのDavid Zinsner氏はデスクトップ向けArrow Lakeについて「fumbled the football」と例えており、「しくじった」ことを明らかにしています。また、このしくじりの影響により出荷台数ベースのシェア比や収益ベースのシェアも落ちている様子もコメントしており、今年発売したArrow Lakeが良い製品ではなかったため、市場でも厳しい評価に晒されていることを明確にしています。
2025年Q2のAMD製CPUのシェアはデスクトップ向けで急騰。一方でノートPCでは減少
Intel幹部が同社製品の失敗を明言してしまっている背景として、最近のIntelはデスクトップ向けにおいてシェアを大きく落としている状況が確認されています。実際に最新の市場調査では、売上高ベースのシェアで2024年Q2には71.3%だったIntelのシェアが2025年Q2には67.8%と前年から-4.2%もシェアを下げてしまっています。これは同社が発売するデスクトップ向けにおいて、高価格な製品が売れていないと言え、特に性能面で評価を得られていないことがを示します。
Nova Lakeで復活を誓う。開発は順調とも
次の製品であるNova Lakeは、より充実した製品ラインナップ(SKU)となっています。これは、ハイエンドデスクトップ市場にしっかりと対応するものです。ですから、来年には我々の市場での立ち位置が改善されることを期待しています。
David Zinsner - Intel CFO (Deutsche Bank 2025 Technology Conference)
Intel Nova Lake リーク情報まとめ|発売日・性能・アーキテクチャなどを解説
後継のNova Lakeは、リーク情報で16P+32E+4LPE構成の最大52コア製品や、AMDの3D V-Cacheに対抗する大容量キャッシュシステム(big Last Level Cache:bLLC)を開発中といった話が出ており、性能の大幅強化が見込まれています。Zinsner氏も「ハイエンドデスクトップ市場にしっかり対応する」と述べ、ラインアップの厚みで巻き返す方針を示しました。ただし、Nova Lakeの投入は2026年とされ、年内にAMDへ対抗できる新世代は出ない見通しです。
Intel Arrow Lake Refresh のゲーミング性能はRyzen 7 9800X3Dに迫る?
2025年に登場予定のコンシューマー向け新製品は、現行Arrow Lakeの動作クロック引き上げなどを施した「Arrow Lake Refresh」と見られます。特にゲーミング性能を阻んだとされるRing BusやD2Dクロックの大幅改善が噂され、Ryzen 7 9800X3Dに近づくことを狙いますが、Intel自身もシェアの本格回復までには至らないとの見方をにじませているようです。
ただ、今回のコメントでIntelはArrow Lakeの失敗を認めていることから特にデスクトップ向けでは省電力性に振ることは取りやめ、性能最重視へ舵を切る可能性が高まっています。また、実際にNova Lakeもリーク情報でも性能に全振りしたような仕様であることから本気度も伺えますが、Intelの新製品について2026年発売とまだ先ですが、今後の挽回に注目が集まります。
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