2025年第2四半期のCPUシェアの集計結果が登場
市場調査会社のMercury Researchは、四半期ごとにx86 CPUの出荷台数ベースの市場シェアを発表しています。今回公表された2025年4月~6月(第2四半期)の集計結果では、AMDがデスクトップおよびサーバー向けセグメントで出荷台数・売上高の両面において大きくシェアを伸ばす一方、ノートPC向けでは出荷台数ベースでややシェアを落としていることが明らかになりました。
コンシューマー向けx86 CPU市場シェア(%)
Sources: Mercury Research(市場シェア)。一部四半期は公開値がなく欠損(ギャップ)として表示しています。Intel は 100 − AMD で算出。デスクトップ向けではシェア急騰。Arrow Lakeの失敗が響き始める?
デスクトップ向けx86 CPU市場シェア(%)
Source: Mercury Research(市場シェア)。Intel は 100 − AMD で算出。第2四半期のデスクトップ向けCPU市場において、AMDは出荷台数ベースで32.2%のシェアを記録。これは前四半期比で4.2ポイント、前年同期比で9.2ポイントの増加となります。さらに売上高ベースのシェアは39.3%に達し、こちらも前四半期比で4.9ポイント、前年同期比で20.5ポイントの伸長となりました。これにより、販売数量とともに高価格帯製品の売れ行きも好調であることがうかがえます。
この好調の背景には、Ryzen 9000シリーズの市場での受容に加え、Ryzen 7 9800X3DやRyzen 9 9950X3Dといった3D V-Cacheモデルの登場が挙げられます。これらは高価格帯製品でありながらも人気を集めており、AMDの販売戦略が「量・質」双方で功を奏していることが示されています。
一方で、Intelは苦戦を強いられており、その要因として2024年末に投入されたArrow Lakeの不振が影響していると見られます。これにより最新世代の高価格帯CPUが売れず、主力が引き続きRaptor Lake Refreshなど旧世代製品となっていることが示唆されています。
サーバー向けは台数の伸びが鈍化も売上高は伸長
サーバー向けx86 CPU市場シェア(%)
サーバー向けセグメントにおいては、AMDの出荷台数ベースのシェアが前期比で0.1ポイント、前年同期比で3.2ポイント上昇しました。ただし、その伸びはやや鈍化傾向にあります。
一方、売上高ベースでは依然として好調で、前期比で1.5ポイント、前年同期比で7.2ポイントの増加を記録。Zen 5世代のEPYCなどが、96コアや最大192コアといった大幅なスペック向上を果たし、単価の引き上げに成功していることが背景にあると考えられます。
ノートPC向けはシェアが減少も高価格帯製品へのシフトに成功?
Mobile/ノートPC向けx86 CPU市場シェア(%)
Source: Mercury Research(ユニットシェア)。Intel は 100 − AMD で算出。ノートPC向けCPU市場では、出荷台数ベースのシェアが前期比で1.9ポイント減少、前年同期比では0.3ポイントの微増にとどまりました。一方、売上高ベースでは前期比0.7ポイント減ながら、前年同期比では3.8ポイントの増加となっています。
このことから、AMD製CPUはノートPC向けでは出荷台数こそ振るわないものの、ハイエンド製品で存在感を示しており、Intelからプレミアム市場のシェアを奪っている構図が明らかになっています。
Intel Raptor Lake が供給不足。AI PC向けのLunar Lakeなどが売れていないため
Intelは2025年第1四半期の決算で、Meteor Lake(Core Ultra)に比べて、より価格の安いRaptor Lakeが売れていることを明かしていましたが、今回のMercury Researchの調査結果もそれを裏付けるものとなりました。これは、Intelがミドルレンジ以下の価格帯セグメントでの販売に成功している一方で、ハイエンド市場ではAMDに遅れを取っていることを示しています。
AMDは「販売の質」へシフト、プレミアムブランド化を推進中

AMDが2025年8月5日に発表した2025年第2四半期の決算では、クライアント向けCPUの売上が前年同期比で1.6倍、利益率はRadeonを含むゲーミング事業全体で2.6倍に達するなど、販売単価の大幅な向上が示されました。今回のMercury Researchの調査結果も、こうした「販売の質」へのシフトが実を結んでいることを裏付けています。
AMD Zen 5、Zen 6に関するリーク情報出現。プレミアムブランドを目指す?
2022年中頃のリーク情報では、AMDが将来的にサーバーやノートPC市場でのシェア拡大が困難になることを見越し、プレミアムブランド路線への転換を迫られていることが指摘されていました。現時点では、その戦略が成果を上げつつあり、今後も性能向上と販売単価の引き上げという方針を継続すると見られています。
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