AMDが待望の3D V-Cacheを2つ搭載したRyzen 9000X3Dを発売予定?
AMDは2024年にZen 5アーキテクチャと3D V-Cache技術を組み合わせたRyzen 9000X3Dシリーズを市場に投入し、2025年1月にはその最上位モデルとして「Ryzen 9 9950X3D」を発売しました。しかし、このモデルは2つ搭載されているCCD(CPUダイ)のうち、3D V-Cacheを内蔵するのは片方のみという非対称な構成でした。当時AMDは、この仕様について「コストに対してパフォーマンスの向上が見合わなかったため」と説明していました。
しかし、AMDがこのコストまたはパフォーマンスの問題に解決の目途を立てた可能性があります。今回、Ryzen 9 9950X3Dを上回る、2つのCCD両方に3D V-Cacheを搭載した新モデルの投入を計画していることが、新たなリーク情報によって明らかになりました。
New Granite Ridge CPU on the way.
— chi11eddog (@g01d3nm4ng0) August 4, 2025
8C/16T/120W/96MB L3 Cache.
16C/32T/200W/192MB L3 Cache. 192MB...🧐🧐🧐
過去に数々のAMD新製品情報をリークしてきたchi11eddog氏によると、AMDはRyzen 9000シリーズに以下の仕様を持つ2つの新モデルを投入する予定とのことです。
仕様 | 8コア16スレッドモデル | 16コア32スレッドモデル |
---|---|---|
コア・スレッド数 | 8コア16スレッド | 16コア・32スレッド |
L3キャッシュ | 96MB | 192MB |
TDP | 120W | 200W |
下位モデルは8コア/16スレッドで、仕様は現行のRyzen 7 9800X3Dと同じです。これは、動作クロックなどを調整して価格を抑えた廉価版モデルとなる可能性があります。
一方、注目すべきは上位モデルです。現行のRyzen 9 9950X3Dと同じ16コア/32スレッド構成でありながら、L3キャッシュ容量が128MBから192MBへと大幅に増量されています。これは、2つのCCD(それぞれ32MBのベースL3キャッシュ + 64MBの3D V-Cache)の両方に3D V-Cacheが搭載されることを強く示唆しています。さらに、TDPも170Wから200Wへ引き上げられており、動作クロックの向上も期待されます。
狙いはIntel Nova Lake登場前にユーザー取り込みか
競合のIntelは、2024年に発売したArrow Lakeで苦戦しており、2025年はそのマイナーチェンジ版であるArrow Lake Refreshの投入に留まる見込みです。この状況だけを見れば、AMDがコストをかけてまで新製品を投入する緊急性は低いように思えます。
しかし、その先を見据えるとAMDの戦略が見えてきます。Intelは2026年に、アーキテクチャを刷新し、最大52コア構成や3D V-Cacheに似た大容量キャッシュ(bLLC)を搭載すると噂される、競争力の高い次世代CPU「Nova Lake」の投入を計画しています。
そのため、AMDとしてはこのNova Lakeが登場する前に乗り換え時期を迎えつつある旧世代Intelユーザー(Comet Lake、Rocket Lake、Alder Lakeなど)の需要を先取りし、自社のAM5プラットフォームに取り込んでしまおうという戦略である可能性がありそうです。そのための武器としてRyzen 9000X3Dシリーズのラインナップを拡充し、ゲーミング性能で絶対的な優位性を示そうとしていると考えられます。
この新しいRyzen 9000X3Dシリーズの正確な登場時期はまだ不明ですが、chi11eddog氏のリーク情報は比較的発売に近い段階で出てくる傾向があるため、早ければ2025年秋、遅くとも年内には正式発表される可能性があります。
特に、2つの3D V-Cacheを搭載した最上位モデルが、その巨大なキャッシュ容量によってゲーミング性能をどこまで引き上げるのか、大きな注目が集まります。
chi11eddog | X
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