Intel Raptor Lakeの不具合が猛暑で悪化? Firefoxのクラッシュ報告で判明
IntelのRaptor LakeやRaptor Lake Refreshで発生したクラッシュ問題などは2024年春ごろから夏にかけて世界中で話題となりIntel製CPUへの評価を大きく落とす深刻な不具合でしたが、IntelはこれらのCPUに対して保証期間の延長や無償交換、そしてBIOSアップデートを通じて不具合の発生の抑制などを実施しています。
しかし、世界中にはBIOSアップデートを行っていないRaptor Lake系CPUを搭載するPCが数多く存在するほか、世界各地で発生している猛暑によりこれらCPUが抱える不具合が顕在化する可能性がブラウザーのMozilla Firefoxのクラッシュ報告により明らかになっています。
Mozillaのスタッフ・プラットフォームエンジニアであるGabriele Svelto氏によるとFirefoxのクラッシュ報告が夏で特に猛暑に見舞われている地域を中心に顕著に増加しているとのことで「Firefoxのクラッシュ報告を見るだけでヨーロッパのどこの国が熱波に見舞われているのか分かるほどだ」と明らかにしています。また、このクラッシュ報告の件数はかなり多く、Mozillaではクラッシュ報告をフィルターするためにRaptor Lake系CPUを搭載した場合はクラッシュ報告の送付を無効化すると言う処置まで取っているとのことです。ちなみに、Svelto氏によるとこの問題はIntel側の問題であると断言すると共に、クラッシュ報告の大部分がCore i7-14700Kを搭載したPCから送られているとのことです。
Intelが Raptor Lake 系CPU不具合をすべて修正したと明言。
Raptor Lake系CPUで発生した不具合はCPU側のマイクロコードの不具合によりCPU温度が高くても高い電圧が維持されてしまい、最終的にはCPUが必要とする最低動作電圧が恒久的に上昇するVminシフトと言う挙動に見舞われ、これがCPUの不安定化に繋がっています。また、この不具合は高負荷時のみならず、CPUがアイドルや軽負荷状態でも高い電圧を要求しVminシフトを引き起こすリスクも存在しており、猛暑によりCPU温度が高い状態でVminシフトが発生しやすい条件が揃っているようです。
Intelではこれらの不具合に関連してRaptor Lake系CPUについて保証期間を3年から5年に延長した他、不具合を抑制するためのマイクロコードアップデートを含めたBIOSアップデートを複数回展開しています。しかし、Firefoxのクラッシュ報告が増えていることを加味すると多くのユーザーにとって例えばクラッシュがCPUの不具合であると認知することの困難さや、仮に認知しても、適切なBIOSアップデートを探すと言うことが困難であることが浮き彫りになっていると言え、未だに多くのユーザーが不具合を抱えているまたは不具合のリスクがある状態でRaptor Lake系CPUを使っていると言えそうです。
第13世代CPU (Raptor Lake) | 第14世代CPU (Raptor Lake Refresh) |
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Core i9-13900KS | Core i9-14900KS |
Core i9-13900K/KF | Core i9-14900K/KF |
Core i9-13900/F | Core i9-14900/F |
Core i7-13700K/KF | Core i7-14700K/KF |
Core i7-13700/F | Core i7-14700/F |
Core i5-13600K/KF | Core i5-14600K/KF |
なお、現時点でIntelはこのVminシフトなど不具合が確認されているCPUは上記モデルになっており、これらのモデルを利用している場合で、クラッシュの頻発などが発生している場合はCPU単体の場合は保証交換、BTOやOEM製パソコンの場合はメーカー保証などを受けられます。また、同時に不具合の発生を抑制するBIOSアップデートも提供されているため、使っているマザーボードメーカーの公式サイトやBTO、OEM製パソコンの場合、メーカーのサポートページなどを確認し、BIOSアップデートをすぐに適用することが推奨されています。
Gabriele Svelto | mastodon
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熱設計に失敗しているように見えるけど、マイクロコードで解決できるものなの?