Windows 11 のクリーンインストールで性能向上幅は微妙? 各種ベンチマークでは約5%ほどの効果
MicrosoftのWindows 11などのWindows製品ではインストールから長く使っていると不要なファイルやレジストリが溜まりパフォーマンスが低下すると言われており、その解決策として挙げられるのが一度Windowsを再インストールする『クリーンインストール』があります。しかし、このクリーンインストールでは文字通りWindowsを再インストールするため、今までの設定や入れていたソフトの再インストールが必要などかなり手間がかかるのですが、この手間をかけてまで高いパフォーマンスを得られるのか、またもしパフォーマンスを得られる場合どれだけあるのかなどをPC Worldが検証を行っています。
検証はレンダリングや動画編集などに使われやすい多コアモデルのRyzen 9 9950X3Dに加え、ゲーミング環境で人気があるRyzen 7 9800X3Dの2モデルを用いてそれぞれ1年間使用した『汚れた』状態での性能とクリーンインストール後の『綺麗』な状態のWindows 11でそれぞれレンダリングや動画エンコード、ゲーミング性能の比較を行っています。



クリエイティブタスクにおいてはマルチコアを多用するためなのかRyzen 9 9950X3D、Ryzen 7 9800X3D共にクリーンインストール状態の方が高いパフォーマンスを発揮できており、Ryzen 9 9950X3Dでは最大5%ほど、Ryzen 7 9800X3Dは最大2.6%の性能向上がCienbench 2024で得られています。
BlenderやPhotoShopでもコア数が多いRyzen 9 9950X3Dの方がクリーンインストール時の性能向上幅が大きくなるなど多コアCPUで、マルチコアを多用するタスクほどクリーンインストールの恩恵は受けられやすいようです。ただ、Ryzen 7 9800X3Dに関しては性能の向上幅はかなり少ないほか、Photoshopではクリーンインストールの方が結果は劣るなど明確に差があるとは言えない結果になっています。



クリーンインストールの効果はゲーミングでも検証されており、FortniteやCyberPunk 2077はRyzen 9 9950X3D環境ではクリーンインストール時の方が平均FPSは約6%ほど向上し、カクツキなどに影響する1% Lowは4~35%と大きな違いが得られる結果になっています。
Ryzen 7 9800X3DではFortniteやCyberPunk 2077、F1 2024ではクリーンインストールの方が平均FPSが1~2%低いなど計測誤差とに紛れる結果になっています。ただ、1% Lowに関しては3%~12%ほど優位であることからクリーンインストールを行うことでカクツキなどには効果があると言えそうです。
ただ、クリーンインストールの効果はタイトルとCPUの組み合わせによっても傾向が変わる可能性があり、F1 2024ではRyzen 9 9950X3D環境ではクリーンインストールを行うと平均FPSは5%、1% Lowは8%も低下する結果になるなどクリーンインストールしたからどんな環境でも必ず性能が上がる訳ではないと言えそうです。
クリーンインストールで性能は上がるが効果的かは微妙
今回のテスト結果ではCPUコア数が多く、すべてのコアを長時間占有するタスクにおいてはクリーンインストールの効果が得られる傾向が見られ、ゲーミングにおいても平均FPSや1% Lowが向上するなど効果は「ある」と言える結果になっています。しかし、その差はレンダリングなどのタスクでは5%ほど、ゲームでは1% Lowが大きく変わるケースがあるもののそれは限定的で平均FPSでは5%ぐらいになっています。
そのため、多くの時間と手間がかかるクリーンインストールによって劇的にPCパフォーマンスが向上するとは言えないのが今回の結果で明らかになっているため、大きな不具合がなく動いているPCに対して、パフォーマンス向上を目的にクリーンインストールを行うと言うのは無料で5%と捉えるか、手間暇かけて5%の差と捉えるのかで変わりますが、個人的にはこの程度の差なら時間の無駄と言えそうです。
ただ、ゲームで急にカクつきがひどくなったなど明らかに性能が下がったと感じられるレベルの場合はクリーンインストールは一つの手段としてやってみてもいいかもしれません。
Does reinstalling Windows really boost performance? Let’s bust a PC myth | PCWorld
コメント
コメント一覧 (1件)
Windowsがちゃんと進化してるってことだな