Intel が Core Ultra 200S 向けのOC機能『200S Boost』を発表。保証範囲内で7%性能向上も競争力はまだ微妙

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Intel が Core Ultra 200S 向けのOC機能『200S Boost』を発表。保証範囲内で7%性能向上も競争力はまだ微妙

Intelが2024年終わりに発売したArrow Lake-S世代のCore Ultra 200Sシリーズはデスクトップ向け初のタイルアーキテクチャーを採用していたことや、ゲーミング性能で比較的高い性能を発揮していたRaptor Lake Refreshの後継モデルとして期待されていたものの、発売されてみると先代のRaptor Lake Refreshに対してゲーミング性能が大きく劣っていた他、同時期にゲーミング性能に特化したAMDのRyzen 7 9800X3Dが発売されたことから販売状況は芳しくない状態となっています。

そのため、IntelはCore Ultra 200Sシリーズ発売後もマイクロコードアップデートを何度も配信しますが、さらにもう一段踏み込んだ対応としてZ890マザーボードとK/KF CPUのみを対象にサポートするDDR5をDDR5-6400からDDR5-8000まで拡大するほか、メモリーや各チップレット間でデータのやり取りを行うD2DやNGU Fabricなどuncore部分の動作クロックを最大1.1 GHz向上させる『Intel 200S Boost』と言うオーバークロックプロファイルを発表しました。

スクロールできます
定格設定200S Boost電圧設定
D2D2.1 GHz最大3.2 GHzVccSA <1.20V
NGU Fabric2.6 GHz最大3.2 GHzVccSA <1.20V
DDR5 Speeds (1DPC)DDR5-6400up to DDR5-8000VDD2 < 1.4V
VccSA < 1.2V
VDDQ/VDD <1.4V

このIntel 200S Boostはuncore部分の動作クロックを大きく引き上げることで特にゲーミング性能で課題と言われていたメモリーレイテンシの削減などを狙っており、これによりパフォーマンス向上を目指すようです。また、uncore部分の動作クロックを高めるに当たって、先代のRaptor Lake系で発生した劣化不具合なども心配されますが、このIntel 200S BoostはIntel公式のオーバークロックプロファイルであるため、有効にしてもIntelがCPUに付属している3年保証の範囲内になるとのことです。

der8auer氏によると、AIDA64のメモリーベンチマークでは大幅な性能向上を記録しているほか、Core Ultra 200S発売時に問題視されていたレイテンシも94nsから74nsへ大幅改善しています。

なお、IntelのCore Ultra 200Sシリーズが発売されて半年近いこのタイミングでこのような新機能が追加された理由としては、同社はCPUに内蔵されているメモリーコントローラーの性能を過小評価していたとのことで、このようなプロファイルを保証範囲とすることが出来たとのことです。ただ、注意点として保証を受けるには電圧規定を守る必要があるとのことで、この電圧を超えた使用はメモリーコントローラーへダメージを与えたり、寿命を縮める可能性があるとのことです。

Tom’s Hardwareが行ったベンチマークでは、定格状態のCore Ultra 9 285KにDDR5-6400MT/sを組み合わせた構成に対して、Intel 200S Boostを適用した上でDDR5-8000MT/sを使用した際には平均FPSは7%程向上した他、カクツキ感に寄与する1%Lowは9%の向上が見られるなどかなりの性能向上が確認できているようです。

ただし、このIntel 200S Boostを有効化しても依然として最上位モデルのCore Ultra 9 285Kでも先代モデルのCore i9-14900Kに対して5%、Core i7-14700Kに対しても2~3%劣る状況であり、CPU本体の価格差やZ890マザーボードやDDR5-8000MT/sを購入する費用を考えるとあまり魅力的とは言えない状況のまま変わりません。また、Ryzen 7 9800X3DなどAMDのゲーミングに特化したCPUに対しては25%近い差があるなど競争力を取り戻すほどの性能には程遠いのが現状です。

Core Ultra 200Sシリーズに関しては一部ワークロードでは高いワットパフォーマンスが見られるなど長所もあるのですが、コンシューマー向けCPUで求められやすいゲーミング性能についてはこれ以上の性能が期待できない可能性が高くなっています。そのため、Intelが改善に取り組み続ける姿勢は評価できるものの、Intel 200S Boostを用いてもAMD優位の状態を覆すほどのものではなく、Core Ultra 200Sシリーズに関しては依然として売り上げが期待できない状態となりそうです。

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ソース

We tested Intel’s new ‘200S Boost’ feature: 7% higher gaming performance thanks to memory overclocking, now covered by the warranty | Tom’s Hardware

https://www.tomshardware.com/pc-components/cpus/we-tested-intels-unreleased-200s-boost-feature-7-percent-higher-gaming-performance-thanks-to-memory-overclocking-now-covered-by-the-warranty

Intel Improves 285K Performance with a Big Update | der8auer

https://www.youtube.com/watch?v=3CzuusJmklU

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • >>この電圧を超えた使用はメモリーコントローラーへダメージを与えたり、寿命を縮める可能性があるとのことです。

    この部分については使用者の判断次第だと思う、PCを何年更新せずに使い続けるかで判断が変わると思う。

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