GeForce RTX 5090 は正規ケーブルでも溶損不具合のリスクあり。 コスト優先の設計が原因?
NVIDIAが1月30日に発売したGeForce RTX 5090は消費電力が定格で575Wと先代のRTX 4090の450Wから大きく増えており、レビューでも電源コネクターである12V-2×6コネクターが50℃近くまで昇温することが確認されており、RTX 4090で発生したコネクターが溶損する不具合が再発するのではないかと懸念されていました。ただ、NVIDIAはRTX 4090で用いられていた12VHPWRコネクターに対して12V-2×6は信頼性を向上させており同様の不具合は起きないとしていましたが、数日前にReddit上でRTX 5090のコネクターが溶損したという報告が登場してしまいました。
そんなRTX 5090ですが、被害を受けたユーザーがドイツのテック系YoutuberのDer8auer氏にコンタクトし、溶損したグラフィックスカード本体と使用していた12VHPWRケーブル、そしてASUS製電源ユニットを調査し、ユーザー側の過失だけなのか調査を行っているほか、Der8auer氏が持っているRTX 5090を用いて電源ケーブルの温度などを計測しています。
GeForce RTX 5090 の12V-2×6コネクターが溶ける不具合発生。取り扱いに注意が必要なのはRTX 4090と変わらず?
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GeForce RTX 5090の12V-2×6コネクターが溶損した不具合は数日前にRedditに投稿されたのですが、このユーザーはケーブルに電源ユニット純正のケーブルではなく、サードパーティのMODDIY製の12VHPWRケーブルを使っていたとのことです。
そのため、Reddit上ではユーザーの過失であるとするコメントも多かったのですが、Der8auer氏によると今回用いられていたサードパーティ製ケーブルの品質は純正ケーブルよりも品質が良いレベルであり問題はないとのことです。また、そもそも12V-2×6と言う規格がある中でサードパーティ製ケーブルだからと言って致命的な不具合が起きるということ自体に問題があるとも述べています。
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Der8auer氏は自身で持っているGeForce RTX 5090 Founders EditionとCorsairのAX1600i PSUを用いてFurmarkでの負荷テストを実施しました。この時、RTX 5090は575Wの電力を消費していることが確認されています。
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ただ、テスト開始からわずか45秒後にサーマルカメラでグラフィックスカードや電源ユニットを確認するとグラウンドを除く6本あるケーブルの内、2本が60℃近い温度に達していることが確認されたほか、テスト開始後4分後には電源ユニット側の12V-2×6コネクターのホットスポットは130℃近くに、そしてピーク時は153℃と言う異常な温度に達していることが確認されています。
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12V-2×6は1ピンあたり9.5A(114W)が許容される電流量になっていますが、クランプメーターで温度が異常に上がっていたケーブルを計測すると約23A(約264W)と許容値の2.5倍近い電流が流れていることが確認されています。また、温度が上がっていたもう1本のケーブルは11Aと15%多い電流が流れていたとのことです。一方で、ほか4本のケーブルは2A~8Aと12V-2×6のスペック通りの電流量しか流れていなかったとのことで、12V-2×6コネクターが溶損する不具合はこの不均等な電流分布が原因の可能性があることを明らかにしています。
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この不均等な電流分布についてActually Hardcore Overclockingがまとめた動画によるとNVIDIAのコスト優先な設計が原因なのではないかと指摘しています。
動画ではRTX 3090 TiやRTX 3090では12Vを供給する6ピンの内、2ピン毎にシャント抵抗器が備わった設計になっており、電流分布が均一になるように調整できていた他、ワーストケースでも1ピンに対して200Wの電力しか流れず異常発熱が起きるリスクは低くなっていたとのことです。
しかし、RTX 4090やRTX 5090ではコスト削減のためか6ピンすべてがまとめて1つまたは2つのシャント抵抗器に繋がれる設計に変更されているため電流バランスが崩れてもグラフィックスカードはそれを検知することはできずそのまま動作し続けてしまうとのことです。また、12Vを供給するケーブル6本の内5本が切断されていても残り1本にすべての電力が流れる構造のためコネクターの半勘合などユーザーエラーにより溶損や発火と言うリスクが高まると述べています。
特に、RTX 3090 TiもRTX 4090も消費電力は450Wと高かったもののコネクター関係の溶損不具合はRTX 4090から急激に増え始めたのはこのような設計上の違いが背景にあるのではないかとも述べています。
GeForce RTX 5090はあくまでコンシューマー向け製品でありユーザーエラーも設計でカバーする『Fool Proof』設計がユーザーの安全確保のためにも求められます。しかし、RTX 5090の場合そのような設計になっていないと言え、今後ユーザーの手元にRTX 5090が届き始めた際にはコネクターが溶け落ちるなどの不具合がさらに増えることが予想されそうで、NVIDIAがどのような対応を行うのか注目されます。
12VHPWR on RTX 5090 is Extremely Concerning | der8auer EN
How Nvidia made the 12VHPWR connector even worse. | Actually Hardcore Overclocking
コメント
コメント一覧 (8件)
PL法利用した訴訟祭りになるかもって以前の記事でわいが言ってたことが現実味を帯びてきたな
高価なグラボだから絶対コスト下げちゃいけないとこなのに150℃はエグすぎ
最近CPUやGPU、OSも不具合が多すぎる。販売を焦ってもロクな事はないのに…
400ドルも値上げしてコストカットはヤバい
確かに、同程度のTDPのRTX3090Tiで皆無の問題がRTX4090で多発していたのにはかなり疑問を感じていたけど、そういう構成の違いがあったのね
ジェンスン的には仮想通貨マイニングのあたりから舵切りを変えてるし、コンシューマー向けを買う人なんてカモくらいにしか思ってないんだろうけど、これひっどいなぁ……
安全性を下げればコストが抑えられるなんて当たり前なのに、多くのまともな企業がそうしないのにはちゃんとした理由があるのに
結局のところ、発火問題についてケーブルの品質や差し込みの甘さの問題という前提で進めてしまったからいつになっても問題解決しないわけだ
シャント抵抗を省いたところで、どれだけコストカットに繋がるのやら……。
訴訟が起きてもいつも米国だけです
あんだけ爆益なのに安全性に関わるところのコストカットするのか..時価総額1位の企業だから圧力がすごいのかな?
もう業務用専用メーカーやから民生用は選別落ちや欠陥品のゴミしか出さんのよ