AMDのRDNA後継は『UDNA』。RDNAとCDNAを再び統合されることが判明
AMDのグラフィックス本部長であるJack Huynh氏が海外メディアのインタビューで、RDNA4アーキテクチャーを採用するRadeon RX 8000シリーズではNVIDIAと競合するハイエンドモデルは出さず、シェア拡大を狙ったミドルレンジモデルに焦点を当てることを明らかにしました。さらに、このインタビューではAMDが計画しているコンシューマーおよびデータセンター向けGPUの構想についても明らかにしています。
現在、AMDのコンシューマー向けグラフィックカードRadeonシリーズではRDNAアーキテクチャーが、データセンター向け製品InstinctではCDNAアーキテクチャーが採用されており、明確に分けられた構成となっています。この分離は、それぞれのセグメントで求められる性能が異なることから、合理的な判断でした。
しかし、近年のGPUアーキテクチャーでは、プロセス微細化や新技術の高度化に伴い、GPU向けソフトウェアの開発負荷が非常に高くなっています。2つのアーキテクチャー向けに開発することが困難になってきたため、Jack Huynh氏は一度分離したRDNAとCDNAを再び1つのGPUアーキテクチャーに統合することについて、Huynh氏は次のように述べています。
我々AMDではGPUに非常に大きな変更を加えようとしています。現在データセンター向けGPUとして展開するCDNAアーキテクチャーとコンシューマー向けGPUにRDNAなど分岐された状態にあります。しかし、今後はデータセンター向けのInstictとコンシューマー向けのRadeonの両方を統一したアーキテクチャーを投入し、これらは『UDNA』と呼んでいます。このGPUアーキテクチャーの統一によりAMD製GPUでの開発がより容易になります。
AMD Computing and Graphics Business Group Senior vice president and General manager , Jack Huynh
RDNAとCDNAの統合によるメリットとして、Huynh氏はAMD製GPU向けの開発者リソースを削減できるなど、ソフトウェア開発者側の利点を挙げています。AMDとしても、現行体制のようにRDNAとCDNAで2つの異なるアーキテクチャーを開発することは、GPUに求められる性能の高度化に伴い困難になりつつあります。
経営判断としても、RDNAが属するゲーミング・セグメントは最近収益減少に苦しんでいる背景があります。今後はデータセンター向けGPUとアーキテクチャーを統合することで、より潤沢な開発リソースを1つのGPUに投入し、競争力や汎用性の向上を目指していると考えられます。
現時点でUDNAの具体的な登場時期は明らかにされていませんが、AMDの現在のロードマップではRDNA4以降の計画は示されていません。ただし、インタビューでAMDの幹部が数年先の構想を語ることは考えにくく、UDNAの開発はすでに進んでいる可能性があります。2025年初旬に登場予定のRDNA4の後継モデルとして投入される可能性も考えられます。
実際、リーク情報では「RDNA5世代はGPU業界にZen並の衝撃を与えることを目指して、完全新規のアーキテクチャーになる」とも言われています。このRDNA5がUDNAを指している可能性もあり、もしそうであれば、UDNAは2026年頃に投入される可能性があります。
AMDは2019年にRDNAとCDNAに分岐させて以来、5年以上この体制でGPUを開発してきました。データセンター向けのCDNAは最近のAIブームの波に乗り、顧客獲得と高い収益率を実現しています。一方、ゲーミング向けのRDNAはPS5などのコンソールゲーム機に採用されたことで収益を維持してきました。しかし、PC向けのディスクリートGPU市場では、汎用性と性能に優れるNVIDIAに8割以上のシェアを奪われており、RDNA4ではシェア獲得のためにミドルレンジモデルに注力することを明らかにしています。
UDNAへの統合により、AMDは開発リソースを集中させることが可能となります。これにより、より洗練されたアーキテクチャーへの刷新が期待でき、性能向上が見込めます。また、データセンター向けに求められる汎用性などもコンシューマー向けGPUに展開される可能性があり、今後このUDNAについては注目が集まるでしょう。
AMD announces unified UDNA GPU architecture — bringing RDNA and CDNA together to take on Nvidia’s CUDA ecosystem | Tom’s Hardware
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