IntelがArrow LakeでIntel 20A採用取りやめ。TSMC 3nmを全面採用へ
Intelは2024年10月に発表・発売が予定されている次世代CPU、Arrow Lakeにおいて、上位モデルの8P+16E構成のダイはTSMCの3nmプロセスで製造されることが既に明らかになっていました。しかし、下位モデルの6P+8E構成のダイはIntelの自社開発プロセスであるIntel 20Aが用いられると見られていたものの、IntelはArrow LakeでIntel 20Aを採用しない方針を明らかにしました。
One of the benefits of our early success on Intel 18A is that it enables us to shift engineering resources from Intel 20A earlier than expected as we near completion of our five-nodes-in-four-years plan. With this decision, the Arrow Lake processor family will be built primarily using external partners and packaged by Intel Foundry.
Continued Momentum for Intel 18A | Intel
Intelは、同社の20Aプロセスを使用したArrow Lakeのウェハーを、2023年秋に開催されたIntel Innovation 2023で披露し、開発が進んでいることをアピールしていました。しかし、今回Intel 20Aでの量産を取りやめる決定は、巨額の資本投資を避け、コスト削減と、より競争力があるとされるIntel 18Aへリソースを集中させる狙いがあるようです。
特にIntel 20Aでは、次世代プロセスとしてTSMC 3nmなどに採用されているFinFET技術を超えた革新的な技術、例えばGAA(Gate-All-Around)構造や、PowerViaと呼ばれる裏面電源供給技術などが導入されていました。しかし、Arrow Lake以外にこのプロセスを採用した量産製品が存在しないため、商業化するにはコストが高く、リスクが大きいと判断されたようです。Intelは、この20Aプロセスを実証用プロセスとして活用し、その知見を2025年末に投入予定のPanther Lakeや、外部ファウンドリー事業として提供されるIntel 18Aプロセスに引き継ぐ方針です。
しかし、今回の決定には懸念もあります。TSMC 3nmのような外部ファウンドリーを利用することは、Intel自社の製造よりもコストが高くなり、Arrow LakeやLunar Lakeが売上を伸ばしても、収益性の向上が難しくなる恐れがあります。そのため、これらの新製品が投入されたとしても、すぐにIntelの業績がV字回復することは期待しにくく、売上高と利益の回復は、Intel 18Aプロセスを全面的に採用した新製品が投入される2025年以降になる可能性が高いでしょう。
Intel Arrow Lakeでは8P+16E構成のハイエンドモデルはTSMC 3nm、6P+8Eのミドルレンジモデルはコスト的に有利なIntel 20Aで製造する棲み分けを行うことでコストを引き下げることを目論んでいたと考えられます。実際に、直近の決算発表でもArrow Lakeが外部ファウンドリー(TSMC)を使うことでコストが高く採算性が良くないことを明らかにしています。ただ、今回6P+8EモデルもTSMCが使われることでArrow Lake全体のコストが跳ね上がる可能性があり、CPU価格自体の高騰に加え、Intel側では収益の減少などが考えられるため、期待の新製品ではあるものの収益という観点でIntelを救うような存在にはなれないと言えそうです。
Continued Momentum for Intel 18A | Intel
コメント
コメント一覧 (1件)
今のIntelの状況を思うと賢明な判断なんだろうね
ただどんな性能で出て来る予定だったのか見たいからサンプルモデルだけ作ったのをベンチしてほしい
まあサンプルモデル作るコストも削るだろうけど