IntelがRaptor Lake系CPUの延長保証対象モデルを発表。トレイ版も延長保証対象に加わる。
Intelのデスクトップ向け第13世代Raptor Lakeと第14世代Raptor Lake Refreshでは、不適切なマイクロコードによりCPUに過大な電圧が流れ、CPUの動作が不安定になるというトラブルが発生しています。Intelは8月中旬を目途にマイクロコードのアップデートを実施予定です。
しかし、このアップデート前にCPUに過大な電圧がかかるとCPU内部に異常が生じ、CPUの交換以外に修復する方法がありません。そのため、Intelは当該CPUについて、量販店で販売されているBOX版に限り2年間の延長保証を適用することを発表しましたが、今回新たにトレイ版やOEM向けに供給されたCPUも2年間の延長保証に加えることを明らかにし、不明確だった対象CPUの一覧も公表しました。
トレイ版も延長保証の対象であることが明確化
Intelが発表した2年間の延長保証については、当初は量販店で販売されているBOX版に限定されており、OEMやPCメーカーから購入しているユーザーに関してはメーカーまたは購入元に問い合わせるように記載がありました。トレイ版については明記されておらず、不明確な状態でした。
- OEMまたはシステムインテグレーターから購入したユーザー:製造元メーカーにお問い合わせてください。
- BOX版を購入したユーザー:Intelカスタマーサポートまでお問い合わせください
- 第13/14世代CPUを搭載するOEMまたはシステムインテグレーターのデスクトップ製品:製造元メーカーにお問い合わせてください。
- トレイ版:購入元にお問い合わせください
- BOX版:Intelカスタマーサポートまでお問い合わせください
トレイ版は日本ではあまり一般的に販売されていませんが、元々はOEMなどがバルクで購入した際に供給される方法で、一般のコンシューマー向けの製品ではありません。ただ、このトレイ版はBOX版に比べて安価に販売されているケースが多く、海外中心にトレイ版が販売されているケースもあります。
そんなトレイ版ですが、Intelは2024年8月6日に発表した新しい声明によると、BOX版に加えトレイ版も2年間の延長保証が適用されると明確にし、購入元経由ではあるものの保証交換を受け付けてもらえるようになります。ただし、注意点としてはBOX版はIntel公式から直接サポートを受けられますが、トレイ版は購入元に問い合わせて交換が必要であるため、保証交換を受けられるかは購入元の対応次第なところもあるようです。
延長保証対象のCPUモデルも明確化
Intelはデスクトップ向け第13世代Raptor Lakeと第14世代Raptor Lake Refreshに延長保証を適用すると明言していましたが、具体的な対象モデルは明らかにされていませんでした。これも新しい声明で対象となるCPUモデルが明確にされました。
対象となるのはL2キャッシュが2MB化されたRaptor Cove搭載モデル(通称B0ダイ)のほとんどで、第13世代および第14世代のKS/K/KFモデルはすべて対象、無印モデルではCore i7以上がすべて対象となります。なお、B0ダイ搭載モデルでも消費電力が抑えられたTバリアントやCore i5-14600は対象に含まれていません。
Intelの延長保証対応は不具合が広がっている中で当然の対応とも言えますが、情報が不明確であったため改めて声明を出し、購入方法や対象モデルが今回明確化されました。その結果、第13世代および第14世代CPUのほとんどが延長保証の対象となり、Intelは今後数年間、このCPUの在庫を確保する必要に迫られ、かなりの出費となることは確実です。
これで一通り壊れたCPUへの対応方法は確定したと言えますが、後は数週間以内に登場するマイクロコードアップデートで不具合が新たに発生しないか、またパフォーマンスに影響が出ないかなど注目が集まります。
(あと気になるのが何でB0ダイでもCore i5-14600が対象外なのかなのですが、もしかしたら後でシレっと追加されたりして)
Additional Warranty Updates on Intel Core 13th/14th Gen Desktop Processors | Intel Support Community
Warranty Policy for Intel® Boxed and Tray Processors | Intel Support
https://www.intel.com/content/www/us/en/support/articles/000024255/processors.html
コメント
コメント一覧 (1件)
RMAが拒否される事が問題になっていますが、
IntelにRMA申請して、本物なのに偽物と言われた場合等、拒否された時は画像を印刷して警察に被害届けを出した方が良いです。
刑法|第246条 (詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
・欺罔行為(人を欺くこと)
・欺罔行為によって相手が実際に騙されていること
・財産等が渡されていること
つまり、本物を偽物と偽り(欺罔行為)、お客が信頼をしてお金を支払い、保証を申請したにも関わらず、それを拒否した場合は詐欺罪が成立します。
3年保証と明記して販売したにも関わらず、保証を拒否した事は不当表示や有利誤認等、複数の法令にも違反します。
この場合は保証を受けられないのであれば購入しなかった「動機の錯誤」を主張すれば、販売側は返金義務が生じます。