AMD Ryzen AI 9 HX 370のベンチマークが再び登場。ノートPC向けCPU最速のシングルコア性能を発揮。マルチコアはCore Ultra 9 185Hを27%超え
AMDはノートPC向けにZen 5アーキテクチャーを搭載したAPU、Ryzen AI 300シリーズ搭載ノートPCを2024年7月末から一斉に発売を解禁すると見られていますが、今回この中でハイエンドノートPCであるASUS ProArt P16に最上位モデルのRyzen AI 9 HX 370を搭載した状態でのベンチマークが計測され、ノートPC向けCPUとしては非常に高いスコアを記録しています。
Ryzen AI 9 HX 370はフルサイズのZen 5をP-Coreとして4コア搭載し、コアが小型化されたZen 5cをE-Coreとして8コア搭載する事で合計12コア、24スレッド構成になっています。L2キャッシュは各コアで1MBで合計12MB、L3キャッシュはZen 5側は16MB、Zen 5c側は8MB搭載し合計24MBで、CPU全体では合計36MBのキャッシュ容量を持っています。動作クロックはベースが2.0 GHz、ブースト時は5.1 GHzで今回計測されたベンチマークはAMDが提示している仕様通りで動作しています。
そんなRyzen AI 9 HX 370はシングルコアが2879ポイント、マルチコアが14888ポイントを記録しています。
CPU | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Ryzen 9 7945HX3D | 2819 | 16439 |
Core i9-14900HX | 2757 | 16268 |
★Ryzen AI 9 HX 370 | 2879 | 14888 |
Ryzen 9 7845HX | 2626 | 13663 |
Core Ultra 9 185H | 2266 | 12151 |
Ryzen 9 8945HS | 2385 | 11582 |
シングルコアにおいてはRyzen AI 9 HX 370はノートPC向けCPUとしてトップの性能を示しており、デスクトップ向けRyzen 9 7950X3DをノートPC向けに転用したRyzen 9 7945HX3Dに対して2%、同じくデスクトップ向けCore i9-14900をノートPC向けに転用したCore i9-14900HXに対しては4%優れた結果を出すなど、高いシングルコア性能を記録しています。
マルチコア性能においてはRyzen AI 9 HX 370はベースが28W、最大54Wで動作するCPUであるため、55~75Wで動作かつ16コアを搭載するRyzen 9 7945HXに加え、ブースト時には115Wで動き、8P+16Eの24コア構成のCore i9-14900HXに対しては10%ほど劣る結果を示しています。ただし、たった12コアで最大54Wまでしか電力を使えない中ではなかなかの善戦と言え、同じく12コア搭載のRyzen 9 7845HXに対しては9%優れた結果を記録しています。
同じ消費電力帯のCPUと比較すると先代のRyzen 9 8945HSに対しては28.5%、Core Ultra 9 185Hに対しては22.5%優れた性能を示すなど薄型ノートPCにも搭載できるCPUとしては非常に高いパフォーマンスであることを示しています。
AMDのデスクトップ向けRyzen 9000シリーズでは非常に高い電力効率と性能であることがベンチマークでも明らかになっていますが、ノートPC向けRyzen AI 9 HX 370についても同様に高いCPU性能に仕上がっているようです。あとはノートPC向けAPUと言う事でバッテリー持続時間がどの程度あるのかなど気になる点も多いのですが、ASUSはこのRyzen AI 9 HX 370などを搭載したノートPCを7月17日に発表すると言われていますので、この辺りの詳細も近々判明すると言えそうです。
ASUSTeK COMPUTER INC. ProArt P16 H7606WV_H7606WV (AMD Ryzen AI 9 HX 370 w/ Radeon 890M) | Geekbench 6
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