QualcommがSnapdragon Xの廉価版を開発中。しかし投入は2025年下旬とかなり遅めに
Qualcommが発売を開始したノートPC向けArmプロセッサのSnapdragon Xシリーズは、Windows 11を快適に使える性能を確保しながら、Arm系アーキテクチャーの長所である低消費電力を活かし、バッテリー持続時間がx86系CPU搭載のノートPCに比べて大幅に伸びる点で注目を集めています。しかし、このSnapdragon Xシリーズを搭載するノートPCの多くは非常に高価で、主にハイエンドモデルでしか採用されていません。そこで、Qualcommはミドルレンジモデルへの採用を狙った廉価版Snapdragon Xの開発に取り組んでいることが明らかになりました。
アナリストのMing-Chi Kuo氏によると、QualcommはSnapdragon Xシリーズの廉価版を『Canim』というコードネームで開発中とのことです。このCanimは現行のSnapdragon Xと同じTSMC 4nmプロセスで製造され、AI処理性能もSnapdragon X PlusやEliteと同じくCopilot+の要件を満たす40 TOPs以上を持ちつつも、CPUまたはGPUコアの削減などを通じてコストダウンを図ると見られています。このCanimを搭載するノートPCは$599〜$799、日本円では13万円以下で販売される見込みで、現行のSnapdragon X EliteやPlus搭載ノートPCの20万円近い価格帯から大幅に下がることになります。ただ、この廉価版Snapdragon Xの投入時期は2025年第4四半期を予定しており、かなり遅めの登場となります。
ちなみに、Qualcommは2025年下半期に次世代Snapdragon Xを投入する予定とも言われています。そのため、Qualcommは新モデル投入後に旧モデルのチップセットを改造し、廉価版としてラインアップするという、IntelやAMDが採用しているアプローチを真似た手法でエントリーモデルを揃えるものと考えられます。
QualcommのSnapdragon Xシリーズを搭載するノートPCは性能も高めで、バッテリー持続時間も長くノートPCとしては優れているものの、価格帯が非常に高く20万円台のモデルがほとんどになっています。そのため、メインストリームモデルとして一般ユーザーが手を出せるような価格帯ではないため、ArmノートPCを広く普及させたい場合はこのメインストリームモデルの展開が必要不可欠とも言えます。ただ、投入時期が2025年第4四半期とかなり遅いため、MediaTekが投入予定のArmチップセットと被るなどQualcommがノートPC向けArmで順調にシェアを獲得には苦戦する可能性があります。
Two new growth drivers for Qualcomm | Medium
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