GEEKOM A8の基本的な仕様について
GEEKOM A8は主にミニPCを製造、販売するGEEKOMの最新鋭ミニPCで、CPUにはAMDのZen 4アーキテクチャー、GPUにはRDNA3アーキテクチャーを内蔵するRyzen 9 8945HSまたはRyzen 7 8845HS APUが搭載されたモデルになっています。
価格はRyzen 9 8945HS搭載モデルが158,000円、Ryzen 7 8845HS搭載モデルが122,000円で販売されています。
CPU | Ryzen 9 8945HS / Ryzen 7 8845HS @TDP 45W |
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グラフィックス | Radeon 780M (12CU) |
メモリー | DDR5 5600MT/s 16GB x 2 = 32GB |
ストレージ | PCIe Gen 4 NVMe SSD 1TB or 2TB |
OS | Windows 11 Pro |
インターフェイス | フロント側 – USB3.2 Gen2 Type-A x 2 (1つはPD対応) – 3.5mm ステレオジャック リア側 – USB3.2 Gen 2 Type-A x 1 – USB 2.0 Type-A x1 – USB 3.2 Gen 2 Type-C (PD/Alt-Mode対応) x1 – USB4 Gen 3 Type-C (PD/Alt-Mode対応) x1 – 2.5Gbps イーサーネットポート – HDMI 2.0 x 2 側面 – SDカードリーダー |
拡張スロット | なし |
ワイアレス機能 | Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.2 |
サイズ | 幅112.4 x 奥行き112.4 x 高さ37mm |
電源 | USB-PD / 19V ACアダプター |
価格 | Ryzen 9 8945HS:158,000円 Ryzen 7 8845HS:122,000円 |
パッケージ内容と同梱物
箱はシンプルで、Apple製品などでお馴染みの箱を持ち上げると、重力で本体を同梱する下側の箱が落ちて来るパッケージになっており、箱の外側にはシュリンク包装がされています。
同梱されている付属品はACアダプターの他に、長さ100cmのHDMIケーブル、モニターの裏面にA8を設置するためのマウントに加え、簡単な説明書が入っています。
ACアダプターの大きさは極めて普通なのですが、同封されているプラグ部分が日本では一般的ではない3ピンであるため、変換プラグなどを用意する必要がありそうです。(今回GEEKOMからはサンプル品を頂いているため、一般販売されているモデルでは2ピンなのか確認中です)
GEEKOM A8のデザインと品質、拡張性について
ここではGEEKOM A8のデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。
デザインと品質:本体は全面アルミ筐体
外観は一般的なミニPCでよくある正方形デザインになっています。また、素材はケーブル類がある裏面と、底面を除く全周アルミニウム合金で作られています。表面はサンドブラスト加工が行われており、触れた感触はさらさらとした手触りで、持ち上げる際には堅牢かつ電源オフ時はひんやりとした手触りで、質感は非常に高いと言えます。
アルミニウム合金で作られた外装に対して、前面および後面のインターフェイス類との合わせ面も左右にズレていると言った事はなく、品質感が高くなっています。
インターフェイスは、前面にUSB Gen3.2に対応するType-Aポートが2つとオーディオジャックがあり、後面にはUSB4とUSB3.2 Gen2対応のType-Cポートがそれぞれ1つずつ、USB Type-AポートとHDMIポートがそれぞれ2つと2.5Gbpsまで対応するイーサーネットがあります。
インターフェイス類がまとめられた後面は各ポートが綺麗に並べられています。特にHDMIの上に位置するUSB Type-CはHDMIポートのど真ん中にUSB Type-Cポートが配置されるなど細かいところまで綺麗に作ろうという気持ちが感じられます。
拡張性:SSDやメモリーの交換が可能
本体底面にはゴム足が4つあり、これを取るとネジが出てきます。このネジを取り外すことで本体内にアクセスすることができます。
ちなみに、ゴム足は両面テープで固定がされているのですが、よく見るとゴム足自体に突起が設けられているため、本体を何度か分解する中で両面テープの粘着性が無くなっても、ゴム足が取れないようになっています。
本体底面を覆っている蓋にはWi-Fi用のアンテナが内蔵されているため、本体側と蓋は細いケーブルで繋がれています。そのため、底面の蓋を開ける際は注意する必要があります。
拡張性としては、2つのSO-DIMMスロットが設けられているため、1枚あたり32GBのメモリーモジュールまで対応しているため最大64GBのDDR5を備える事が可能になっています。また、PCIe Gen 4に対応するNVMe SSDも1つ備わっているため、さらに容量の大きいNVMe SSDに交換することが可能になっています。
ただ、余分にNVMe SSDスロットが備わってはいないため、換装はできますが、拡張性はないです。
GEEKOM A8の各種パフォーマンスについて
内蔵のRyzen 9 8945HSについて
今回提供されたサンプルモデルではRyzen 9 8945HSが備えられているため、ベンチマークもすべてこの最上位APUで行われます。このRyzen 9 8945HSはAMDが2024年に投入したHawk Pointと呼ばれるAPUで、CPU側にはZen 4アーキテクチャーを8コア備え、16スレッド構成になっています。
動作クロックはベースが4.0 GHzで、スペック上のブーストクロックは最大5.2 GHzに設定されています。ただ、A8では発熱とファン騒音を抑えるためTDPが45Wに抑えられているため、動作クロックは最大4.9 GHzに抑えられています。
GPU側にはRDNA 3アーキテクチャーで構成される12コアのCompute Unitを備えたRadeon 780Mが搭載されています。これは動作クロックが最大2.8 GHzで動作する設定になっているため、Steam DeckやRyzen Z1 Extremeを搭載するASUS ROG Allyを超えるようなゲーミング性能が発揮できます。
GEEKOM A8のCPUパフォーマンス
CPU性能は、Zen 4 CPUを8コア搭載している事もあり、シングルコア、マルチコア共に非常に高いスコアを記録しています。そのため、デスクトップ向けCore i5-14400を超える性能を発揮するなどCPU性能においてはミドルレンジのデスクトップPCと遜色がない性能が期待できます。特にTDPが45Wに抑えられている中でこのスコアはなかなか高いです。
PCMark 10のスコア:動画編集も1440pまでなら可能?
PCMark10においては合計7043ポイント記録されています。
各項目においてはウェブブラウジングや各アプリの起動など日常用途の快適性を表すEssentialsでは10875ポイントを記録しているため、日常的な使用で不満に感じる部分は無いと言えます。
Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を示すProductivityにおいては10408ポイントでデスクトップ向けCPUと比べるとCore i7-12700K並みを記録しているため、行と列が膨大なエクセルであっても不自由に感じる場面は無いと言えます。
RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては9563ポイントを記録しています。こちらのスコアではグラフィックカードの性能も考慮されるのですが、このスコア自体はCore i7-12700KとGeForce RTX 3050を組み合わせた様なPCに近しいスコアであるため同等とは言えませんがデスクトップPCと遜色ない性能を発揮できると言えます。具体的には4K動画の編集なども可能で、1440p程度の解像度であればエフェクトを加えた状態でも問題なく編集が可能と言えるレベルになっています。また、RAW画像編集も5000万画素を超えるようなデータでも特にもたつくことなく編集可能と言えます。
A8のゲーミング性能
A8ではRDNA3アーキテクチャーで構成されるGPUコアを合計12基搭載し、動作クロックも最大2.8 GHzで動作するなどCPU内蔵GPUでありながらメジャーなタイトルであれば快適にプレイできるだけのグラフィックス性能があります。
3DMark TimeSpyにおいてはGraphics Scoreが2841ポイントを記録しており、ノートPC向けグラフィックスカードのGeForce GTX 1650 Max-Qに迫る性能を記録しています。
Apex Legendsは余裕でプレイできる。1080p高画質設定では60fps近傍でプレイ可能
Apex Legendsでは解像度1080p、高画質設定でチームデスマッチをプレイした結果、フレームレートは多くの場面で60fpsを超え、平均85fpsを記録しています。ただしフレームレートの安定度は低く、下がっても50fps程度なのですが、最大130fps程度まで伸びる場合もあるためフレームレートに制限を設けるなどした方が快適にプレイすることが可能になります。
A8の消費電力と長時間の負荷を与えた際の動き
A8の消費電力についてはCinebench R23のマルチコアを10分間動作させた際にはブーストがかかり最大92Wを記録しています。この時の動作クロックも瞬間的に4.9 GHzに到達していますが、そのあとはCPU温度が許容されている最大の92℃に到達することから、動作クロックは4.3 GHzに下がり、このクロックを維持したままベンチマークを完走します。そのため、冷却性能は動作クロックが右肩下がりとはなっていないため、意図された通りに動いていると考えられます。ただ、もう少し高めの動作クロックで動いてほしいと思うところもあります。
アイドル時の消費電力の平均12W程度でノートPC向けのAPUを搭載していることから非常に低い消費電力で動作するようになっています。
内蔵されているSSDの性能
A8に内蔵されているSSDはAcer製N7000 Shadow Nightと呼ばれるPCIe Gen 4対応NVMe SSDが搭載されています。容量は2TBとかなり大きめのサイズになっています。
このN7000は読み取り性能が約7000MB/s、書き込みが約6100MB/sと非常に高速なNVMe SSDが標準で搭載されている事がわかります。これだけ高速なNVMe SSDであるため動画編集やゲームなどで不満に思う事は無いです。
GEEKOM A8の日常での使い心地と使い勝手
PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。
ファンノイズは小さめ。アイドル時は無音に等しく
ミニPCでは高回転で回るブロワー型ファンを搭載しているため、高負荷時にはモーターノイズと共に甲高い風切り音が目立ちつケースが多いです。このGEEKOM A8の場合、高負荷時はファンが高回転で回るため、ファンノイズは聞こえますが一般的なノートPCとほとんど変わらないレベルで収まっています。また、アイドル時は消費電力が低いことからファンノイズはほとんど聞こえません。
ミニPCでは置き場所を机の下やモニターの裏などファンノイズが聞こえにくい場所に置くこともできるのですが、遮蔽物が何か1つあればファンノイズは高負荷時でもわずかに聞こえるレベルまで下げられます。
何気に珍しいSDカード対応
ここ最近、ノートPCにおいてもSDカードリーダーを搭載しない機種がありますが、このGEEKOM A8ではフルサイズのSDカードリーダーが搭載されています。そのため、カメラから写真や動画の取り込みが楽にできます。
ACアダプターが嵩張りやすい、かつ本体側はUSB-PDに対応せず
A8に同梱されているACアダプターは最大120Wの出力を持つACアダプターになっておりACアダプター自体のサイズはそこまで大きくはありません。しかし、ミッキー型のACケーブルを繋ぐ必要があるため、持ち運びをする際には嵩張りやすい点が少し残念なところになっています。できればプラグ部分とACアダプターを組み合わせたものだと持ち運びやケーブルの取り回しが良くなり、使いやすさがさらに向上すると言えます。
また、A8ではPD対応のUSB Type-Cポートを備えてはいるのですが、PD出力に対応するだけで入力には対応していません。そのため、USB-C対応モニターにケーブル1本でつなぐと言った使い方はできません。このUSB-PDを使って電源供給をするミニPCは増えてきているので、この点は次世代モデルで対応に期待したいところです。
GEEKOM A8の最終評価:ゲームもプレイできる万能ミニPC
- 非常にコンパクトな筐体にRyzen 9 8945HSが搭載可能
- 設定次第でメジャーなゲームも快適にプレイ可能
- ストレージ2TB、メモリー32GBと容量に困らない構成が選べる
- 金属製筐体で質感が高い
- SDカードスロット標準搭載
- USB-PD入力には非対応
- 追加のNVMe SSDなどは搭載できない
GEEKOM A8はRyzen 9 8945HSが搭載可能と言う事で価格帯は定価で10万円を超えるなどミニPCとしてはハイエンドな分類になりますが、ミニPCと言う事でNVMe SSDの拡張性などは有していない他、USB-PDによってPCを起動させることができないなど少々残念なところがあります。
しかし、本体の質感や作りこみ、機能性は高い次元にあります。また、肝心な性能はCPUはデスクトップ向けCPUに迫るほか、グラフィックス性能もメジャーなタイトルは十分快適にプレイできるため、日常的に使えて、ゲームもプレイできる万能型のミニPCが欲しい人にとっては最適なモデルであると言えます。
コメント
コメント一覧 (1件)
中華製ミニPCでよく問題になる、Windowsのライセンスについての調査・レビューが欲しかったところです。