AMDの800シリーズチップセット搭載マザボは600シリーズのリネーム版? USB4以外に変更点は見られず。
AMDはComputex 2024にてZen 5アーキテクチャーを搭載するRyzen 9000シリーズと共に、ハイエンドマザーボードの800シリーズチップセットを搭載したX870EとX870の投入を発表しましたが、これら2つのチップセットについて現行の600シリーズチップセットに対してほとんど変更点が無いようです。
X870E | X670E | X870 | X670 | |
---|---|---|---|---|
グラフィクス | 1 x16 PCIe 5.0 / 2 x8 PCIe 5.0 | 1 x16 PCIe 5.0 / 2 x8 PCIe 5.0 | 1 x16 PCIe 5.0 / 2 x8 PCIe 5.0 | 1 x16 PCIe 4.0 / 2 x8 PCIe 4.0 |
NVMe | 1 x4 PCIe 5.0 | 1 x4 PCIe 5.0 | 1 x4 PCIe 5.0 | 1 x4 PCIe 5.0 |
PCIe 合計 | 44 | 44 | 36 | 44 |
PCIe 5.0 (max.) | 24 | 24 | 24 | 8 |
PCIe 4.0 (max.) | 12 | 12 | 8 | 28 |
PCIe 3.0 (max.) | 8 | 8 | 4 | 8 |
USB4 | 〇 | オプション | 〇 | オプション |
USB 20 Gbps (max.) | 2 | 2 | 1 | 2 |
USB 10 Gbps (max.) | 12 | 12 | 6 | 12 |
USB 5 Gbps (max.) | 2 | 2 | 1 | 2 |
SATA | 8 | 8 | 4 | 8 |
CPUオーバークロック | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
メモリーオーバークロック | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
今回発表されたX870E、X870の仕様情報と、先代のX670E、X670を比較するとほとんどの仕様は同じで、新機能としてはUSB4への対応が800シリーズチップセットでは行われている以外にはありません。
また、細かな仕様としては今までグラフィックカード用のx16レーンにPCIe Gen 5が搭載されていたのはX670Eなど末尾にEが付くExtremeモデルのみでしたが、800シリーズからはグラフィックカード用スロットもPCIe Gen 5が標準対応する様に変更されているなど、多少のアップグレードが行われています。ただ、X870では先代のX670に比べてPCIeの合計レーン数や最大の様々なUSB帯域が減るなどダウングレードされる点もあります。
X870 | B650E | |
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グラフィクス用 | 1 x16 PCIe 5.0 / 2 x8 PCIe 5.0 | 1 x16 PCIe 5.0 / 2 x8 PCIe 5.0 |
NVMe | 1 x4 PCIe 5.0 | 1 x4 PCIe 5.0 |
PCIe 合計 | 36 | 36 |
PCIe 5.0 (max.) | 24 | 24 |
PCIe 4.0 (max.) | 8 | 8 |
PCIe 3.0 (max.) | 4 | 4 |
USB4 | 〇 | オプション |
USB 20 Gbps (max.) | 1 | 1 |
USB 10 Gbps (max.) | 6 | 6 |
USB 5 Gbps (max.) | 1 | 1 |
SATA | 4 | 4 |
CPUオーバークロック | 〇 | 〇 |
メモリーオーバークロック | 〇 | 〇 |
このPCIeレーン数やUSB帯域の減少についてはX870がX670の後継であるにも関わらずなぜ?と疑問に思える変更ですが、仕様を見てみるとX870はB650Eの後継であると言えます。そのため、このX870はUSB4対応が追加されただけのB650Eマザーボードで、実質的にB650Eのリネーム版とも言えるモデルになっています。
弱点でもあったマザーボードラインアップの幅が広がる?
AMDのソケットAM5対応マザーボードは600シリーズまではハイエンドに寄ったマザーボードが多く、価格帯が高めでしたが800シリーズでは870Eなど最上位モデルの位置づけはそのままですが、最上位モデルに非常に近かったX670はX870でスペックダウンを図ることで、価格帯をミドルレンジモデルに近付けることで競争力を確保すると考えられます。加えて、800シリーズではミドルレンジに位置するB650の後継のB850に加え、B840と呼ばれるエントリーに近いミドルレンジモデルも投入されるため、従来よりもソケットAM5に対応した構成で組みやすくなると言えます。
なお、現時点でX870EとX870の価格などは明らかにされていませんので、物価高騰やUSB4対応が理由でX870がB650E以上に高価である可能性は無いとは言えません。ただ、しばらくの間は600シリーズマザーボードの販売は継続されると考えられるため、800シリーズマザーボードが高ければ600シリーズに逃げることも可能になっています。
AMDはIntelがArrow Lake-S向けに800シリーズチップセットを導入するため、わざわざ600シリーズチップセットの後継は700シリーズを飛ばして800シリーズとしていたのですが、仕様の面ではUSB4追加以外ないなど非常に残念な仕様になっています。また、X870EはほとんどX670Eと同じ仕様ですが、X870はB650E相当にスペックダウンしているというトラップも仕組まれているので、なかなか居ないと思いますが、X670からX870に乗り換えることを検討している人は要注意です。
仕様的に、AMDの800シリーズチップセットを使う必要性は無いに等しいので、コストパフォーマンスを重視したRyzen 9000シリーズ搭載PCを組む場合は600シリーズチップセットで組んでしまうのがよさそうです。
AMD X870E und X870: Die „neuen“ Chipsätze im Vergleich zu X670(E) und B650(E) | ComputerBase
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