AMD Ryzen 9 8945HSとRyzen 5 8645HSのベンチマークが登場。Core Ultra 7 165H並みのCPU性能を発揮
AMDでは2024年初旬に現行のRyzen 7040シリーズのリフレッシュ版にあたるRyzen 8040シリーズの投入を計画しています。このRyzen 8040シリーズではCPUにはZen 4、GPUにはRDNA3を搭載するなど現行モデルとアーキテクチャーは同じですが、AI機能を司るXDNAについては性能が1.6倍引き上げられており、Windows 12で重視されるAI性能の強化が主に行われています。
今回、そんなリフレッシュモデルのハイエンドモデル、Ryzen 8945HSとミドルレンジモデルのRyzen 5 8645HSのCPUおよびGPUのGeekbench結果が登場しました。
スペックについては上位のRyzen 9 8945HSでは8コア16スレッド構成のCPUになっており、ベンチマークで記録されている動作クロックは4.0 GHzのベース、5.2 GHzのブーストクロックが記録されています。他のキャッシュ構成などは現行のRyzen 7040シリーズと同じく、L2は1 MB、L3は16 MB構成になっています。
ミドルレンジのRyzen 5 8645HSでは6コア12スレッド構成で、動作クロックは4.3 GHzのベース、5 GHzのブーストクロックに設定されています。
今回のベンチマークはすべてES品で行われており、市販版においては動作クロックは更に向上すると見られています。TDPについてはRyzen 8040HSシリーズは標準が45Wで、OEMの設定によって35~54Wの間で変更が可能になっています。今回のTDPは不明ですが、ES品という事で標準仕様の45Wでベンチマークが取られていると推察されます。
プロセッサー名 | Multi-Core スコア | Single-Core スコア |
---|---|---|
Ryzen 7 7745HX (8-Core) | 13100 | 2700 |
Core Ultra 7 155H (14-Core) | 12853 | 2346 |
Core i9-13900H (14-Core) | 12800 | 2486 |
Ryzen 9 8945HS (8-Core) | 12683 | 2608 |
Core Ultra 7 165H (14-Core) | 12545 | 2502 |
Ryzen 9 7940HS (8-Core) | 12000 | 2500 |
Core Ultra 5 125H (12-Core) | 11826 | 2200 |
Ryzen 7 7840HS (8-Core) | 11563 | 2439 |
Core i7-13700H (14-Core) | 11133 | 2300 |
Ryzen 5 8645HS (6-Core) | 10627 | 2490 |
Core i5-13500H (12-Core) | 10000 | 2208 |
Ryzen 5 7640HS (6-Core) | 9600 | 2350 |
Ryzen 9 6900HX (8-Core) | 9434 | 1970 |
Core Ultra 5 135U (12-Core) | 9396 | 2174 |
Ryzen 7 6800H (8-Core) | 8987 | 1865 |
Ryzen 5 6600H (6-Core) | 7208 | 1757 |
Ryzen 9 8945HSの性能は先代のRyzen 9 7940HSに対してマルチコアは5.7%、シングルコアは7%とリフレッシュモデルではあるものの5%を超えるなど高めのスコアになっています。そのため、同等のTDP45W帯のCPUであるCore i9-13900H並みのマルチコア性能を発揮しています。
しかし、TDP 28W帯のCore Ultra 7 155Hに対しては1.5%ほど劣っており、TDPの差を考えると電力効率の面ではCore Ultra 7の方が優れている可能性がありそうです。(ただし、バッテリー持続時間がRyzen 9 7840HSに劣ると言う結果もある他、Ryzen 9 8945HSはES品で最適化不足の可能性もあり)
ただ、シングルコア性能については大きく向上しており、断トツでCore i9-13900Hに対しては5%、Core Ultra 7 155Hに対して10%優れる結果になっています。
Ryzen 5 8645HSについても先代のRyzen 5 7640HSに対してマルチコアは7%、シングルコアは6%とスコアの改善が見られており、Core i5-13500Hを6%上回り、Core i7-13700Hに対して4.5%劣るレベルにまで迫っているためミドルレンジ向けCPUとしては高いパフォーマンスを発揮しています。
グラフィックスカード | スコア |
---|---|
RTX 2050 (Laptop) | 40716 |
GTX 1650 TI (Laptop) | 39219 |
Arc A380 (Desktop) | 37035 |
GTX 1060 6 GB (Desktop) | 35355 |
GTX 1650 (Laptop) | 33832 |
Radeon 780M (Ryzen 7040) | 33641 |
Radeon 780M (Ryzen 8040) | 33422 |
MX550 (Laptop) | 31975 |
GTX 1060 (Laptop) | 29484 |
Arc A310 (Desktop) | 29267 |
Arc A370M (Desktop) | 29110 |
Radeon 760M (Ryzen 8040) | 28628 |
Radeon 760M (Ryzen 7040) | 26889 |
Arc A350M (Laptop) | 25121 |
今回のベンチマークではGeekbenchのVulkanスコアも明らかになっていますが、内蔵GPU性能については同じアーキテクチャーで動作クロックも変わっていない事からRyzen 7040シリーズに対してスコア差はありません。なお、これはES品であるため性能が同じ可能性もありますが、CPUほど大幅なスコア向上は期待しない方が良さそうです。
AMDのRyzen 8040シリーズについては2024年2月から搭載ノートPCの出荷が開始される予定になっており、さらなる詳細は2024年1月初めに開催されるCES2024で明らかにされる予定です。
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